242 / 574
第三章 セイクリア教国の歪み
第二百四十一話 緩和方法
しおりを挟む
教皇が眠る一室。そこへ、我輩とバルディスは聖騎士、ハッシュに案内された。我輩、一度は来たことがある場所ではあったが、それを口にすることなく、とにかく寝台の上に横たわっている教皇の元へと駆け寄る。
「どうだ? タロ?」
「にゃあ。にゃっ(今から見てみるのだ。『探索』開始っ)」
『ジアス・ディバン。
男。
五十八歳。
セイクリア教国教皇。
『宵闇の一日』にディルク・ディバンによって呪いをかけられた。症状は食欲減退、全身の疼痛、吐き気。寿命は残り五年。また、キリギリ毒は解毒が行われたため、現在はこの呪いだけである。
解呪の方法は、呪いを術者に返すか、術者の殺害、術者に自主的に解かせる以外にない』
「にゃあ……(やはり、都合の良い解呪方法はないのだ……)」
「……なら、症状の緩和なんかはできないか? セイクリアの教皇といえば、大きな支援魔法の使い手で、その魔法によって幾度も困難な戦場を乗り越えたと言われている。せめて、その支援魔法が使えるまでの状態にできれば、ミルテナ帝国に打撃を与えられるかもしれない」
そうバルディスが提案すると、ハッシュがコクコクと首を縦に振っていた。バルディスの情報に間違いはないらしい。
「にゃ。にゃ(調べてみるのだ。『探索』)」
『呪いの症状緩和方法その一。呪いをかけた術者の血とシアンの実を混ぜて潰し、無属性魔法『定着』をかけたものを飲ませることで呪いの症状が緩和する。ただし、とてもそれは不味く、稀に心臓を止めてしまう者も居るため、取扱い注意』
とりあえず、その方法をバルディスに話すと、すぐに却下と言われる。確かに、術者の血なんて手に入れられないし、そもそも心臓を止めてしまったら意味がない。我輩、この方法は諦めて次の方法を読み上げる。
『呪いの症状緩和方法その二。呪いを受けた人物の血縁者に、呪いの症状を移すことによって、一時的に緩和させることができる。方法は、契約の魔法陣を用いる。
呪いを受けた人物と血縁者が互いの血液を契約の魔法陣に垂らし、何らかの媒体を代償に呪いの移し替えを宣言することによって緩和できる。
ただし、効力を発揮する呪いの移し替えのために用いた媒体の力によって左右される。また、呪いが移し替えられている状態ではどのような方法を用いても解呪できない』
「それは、保留だな。他にはないか?」
そう言われ、我輩、最後の方法を読み上げる。できればこれは、読みたくなかったと思いながら……。
『呪いの症状緩和方法その三。動物を犠牲に呪いを緩和させることができる。生け贄となる動物(できれば猫が好ましい)を百匹用意し、専用の魔法陣を用いて呪いの緩和を行う。
ただし、その動物(主に猫)の中に魔力を持つ個体が居た場合、呪いの症状を悪化させる場合もある』
「よし、分かった。二番目のやつにしよう」
ちょっと涙目になりながら読み上げると、バルディスはすぐさま三番目の案を却下してくれた。もし、バルディスが猫を使うなどと言い出せば全力で止めるところだったのだが、即座に判断してくれたことで我輩、何もせずにすんだのだ。
「あの、結局どのような方法になったのですか?」
そうして、オズオズと話しかけてきたハッシュに、バルディスは今までの話の流れも踏まえて説明を行ったのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
呪いを単純に解呪できる方法がないっ。
しかも、緩和させる方法は結構えげつないです。
「にゃあっ(同胞を生け贄にだなんて、酷すぎるのだっ)」
なぜ、猫が推奨されたかといえば、猫には九つの魂があるという設定だからなんですけどね?
そして、魔力を持つ猫は、生け贄にされたら強い怨念を抱いて呪いをかけるという設定です。
まぁ、滅多にそんな猫は居ないんですけど……。
「にゃー。にゃーっ(酷いのだ。酷いのだっ)」
それでは、また!
「どうだ? タロ?」
「にゃあ。にゃっ(今から見てみるのだ。『探索』開始っ)」
『ジアス・ディバン。
男。
五十八歳。
セイクリア教国教皇。
『宵闇の一日』にディルク・ディバンによって呪いをかけられた。症状は食欲減退、全身の疼痛、吐き気。寿命は残り五年。また、キリギリ毒は解毒が行われたため、現在はこの呪いだけである。
解呪の方法は、呪いを術者に返すか、術者の殺害、術者に自主的に解かせる以外にない』
「にゃあ……(やはり、都合の良い解呪方法はないのだ……)」
「……なら、症状の緩和なんかはできないか? セイクリアの教皇といえば、大きな支援魔法の使い手で、その魔法によって幾度も困難な戦場を乗り越えたと言われている。せめて、その支援魔法が使えるまでの状態にできれば、ミルテナ帝国に打撃を与えられるかもしれない」
そうバルディスが提案すると、ハッシュがコクコクと首を縦に振っていた。バルディスの情報に間違いはないらしい。
「にゃ。にゃ(調べてみるのだ。『探索』)」
『呪いの症状緩和方法その一。呪いをかけた術者の血とシアンの実を混ぜて潰し、無属性魔法『定着』をかけたものを飲ませることで呪いの症状が緩和する。ただし、とてもそれは不味く、稀に心臓を止めてしまう者も居るため、取扱い注意』
とりあえず、その方法をバルディスに話すと、すぐに却下と言われる。確かに、術者の血なんて手に入れられないし、そもそも心臓を止めてしまったら意味がない。我輩、この方法は諦めて次の方法を読み上げる。
『呪いの症状緩和方法その二。呪いを受けた人物の血縁者に、呪いの症状を移すことによって、一時的に緩和させることができる。方法は、契約の魔法陣を用いる。
呪いを受けた人物と血縁者が互いの血液を契約の魔法陣に垂らし、何らかの媒体を代償に呪いの移し替えを宣言することによって緩和できる。
ただし、効力を発揮する呪いの移し替えのために用いた媒体の力によって左右される。また、呪いが移し替えられている状態ではどのような方法を用いても解呪できない』
「それは、保留だな。他にはないか?」
そう言われ、我輩、最後の方法を読み上げる。できればこれは、読みたくなかったと思いながら……。
『呪いの症状緩和方法その三。動物を犠牲に呪いを緩和させることができる。生け贄となる動物(できれば猫が好ましい)を百匹用意し、専用の魔法陣を用いて呪いの緩和を行う。
ただし、その動物(主に猫)の中に魔力を持つ個体が居た場合、呪いの症状を悪化させる場合もある』
「よし、分かった。二番目のやつにしよう」
ちょっと涙目になりながら読み上げると、バルディスはすぐさま三番目の案を却下してくれた。もし、バルディスが猫を使うなどと言い出せば全力で止めるところだったのだが、即座に判断してくれたことで我輩、何もせずにすんだのだ。
「あの、結局どのような方法になったのですか?」
そうして、オズオズと話しかけてきたハッシュに、バルディスは今までの話の流れも踏まえて説明を行ったのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
呪いを単純に解呪できる方法がないっ。
しかも、緩和させる方法は結構えげつないです。
「にゃあっ(同胞を生け贄にだなんて、酷すぎるのだっ)」
なぜ、猫が推奨されたかといえば、猫には九つの魂があるという設定だからなんですけどね?
そして、魔力を持つ猫は、生け贄にされたら強い怨念を抱いて呪いをかけるという設定です。
まぁ、滅多にそんな猫は居ないんですけど……。
「にゃー。にゃーっ(酷いのだ。酷いのだっ)」
それでは、また!
0
お気に入りに追加
324
あなたにおすすめの小説
[完結]婚約破棄されたけど、わたし、あきらめきれません
早稲 アカ
恋愛
公爵令嬢エリエルは、王太子から、突然の婚約破棄を通知されます。
原因は、最近、仲睦まじい男爵令嬢リリアナだと知り、彼女は幼なじみのアンドレに、破棄の解消を依頼するのですが……。
それぞれの人物の思惑が絡んで、物語は予期しない方向へ……。
勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした
赤白玉ゆずる
ファンタジー
【10/23コミカライズ開始!】
『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました!
颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。
【第2巻が発売されました!】
今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。
イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。サクヤとポンタ超可愛いですよ。ゾンダールもシブカッコイイです!
素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。
【ストーリー紹介】
幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。
そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。
養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。
だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。
『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。
貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。
『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。
『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。
どん底だった主人公が一発逆転する物語です。
※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。
転生して異世界の第7王子に生まれ変わったが、魔力が0で無能者と言われ、僻地に追放されたので自由に生きる。
黒ハット
ファンタジー
ヤクザだった大宅宗一35歳は死んで記憶を持ったまま異世界の第7王子に転生する。魔力が0で魔法を使えないので、無能者と言われて王族の籍を抜かれ僻地の領主に追放される。魔法を使える事が分かって2回目の人生は前世の知識と魔法を使って領地を発展させながら自由に生きるつもりだったが、波乱万丈の人生を送る事になる
異世界道中ゆめうつつ! 転生したら虚弱令嬢でした。チート能力なしでたのしい健康スローライフ!
マーニー
ファンタジー
※ほのぼの日常系です
病弱で閉鎖的な生活を送る、伯爵令嬢の美少女ニコル(10歳)。対して、亡くなった両親が残した借金地獄から抜け出すため、忙殺状態の限界社会人サラ(22歳)。
ある日、同日同時刻に、体力の限界で息を引き取った2人だったが、なんとサラはニコルの体に転生していたのだった。
「こういうときって、神様のチート能力とかあるんじゃないのぉ?涙」
異世界転生お約束の神様登場も特別スキルもなく、ただただ、不健康でひ弱な美少女に転生してしまったサラ。
「せっかく忙殺の日々から解放されたんだから…楽しむしかない。ぜっっったいにスローライフを満喫する!」
―――異世界と健康への不安が募りつつ
憧れのスローライフ実現のためまずは健康体になることを決意したが、果たしてどうなるのか?
魔法に魔物、お貴族様。
夢と現実の狭間のような日々の中で、
転生者サラが自身の夢を叶えるために
新ニコルとして我が道をつきすすむ!
『目指せ健康体!美味しいご飯と楽しい仲間たちと夢のスローライフを叶えていくお話』
※はじめは健康生活。そのうちお料理したり、旅に出たりもします。日常ほのぼの系です。
※非現実色強めな内容です。
※溺愛親バカと、あたおか要素があるのでご注意です。
ある平凡な女、転生する
眼鏡から鱗
ファンタジー
平々凡々な暮らしをしていた私。
しかし、会社帰りに事故ってお陀仏。
次に、気がついたらとっても良い部屋でした。
えっ、なんで?
※ゆる〜く、頭空っぽにして読んで下さい(笑)
※大変更新が遅いので申し訳ないですが、気長にお待ちください。
★作品の中にある画像は、全てAI生成にて貼り付けたものとなります。イメージですので顔や服装については、皆様のご想像で脳内変換を宜しくお願いします。★
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。
だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。
女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。
途方に暮れる主人公たち。
だが、たった一つの救いがあった。
三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。
右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。
圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。
双方の利害が一致した。
※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております
追放令嬢は隣国で幸せになります。
あくび。
ファンタジー
婚約者の第一王子から一方的に婚約を破棄され、冤罪によって国外追放を言い渡された公爵令嬢のリディアは、あっさりとそれを受け入れた。そして、状況的判断から、護衛を買って出てくれた伯爵令息のラディンベルにプロポーズをして翌日には国を出てしまう。
仮夫婦になったふたりが向かったのは隣国。
南部の港町で、リディアが人脈やチートを炸裂させたり、実はハイスペックなラディンベルがフォローをしたりして、なんだかんだと幸せに暮らすお話。
※リディア(リディ)とラディンベル(ラディ)の交互視点です。
※ざまぁっぽいものはありますが、二章に入ってからです。
※そこかしこがご都合主義で、すみません。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる