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第七章 過去との決別
第百十三話 処罰の内容
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タボック家のご令嬢が腐のつく女子だということが判明して、戦慄していると、ライナードはそれを気にすることなく(むしろ気づいていない?)話を進める。
「俺の裁量権はどこまでだ?」
「一応、命を取る行為に関しては許可が必要です。そうでなければ、タボック家当主及び、その家族や使用人、また、誘拐に関与した協力者への処罰は可能です」
「む、そうか」
それを聞いたライナードは一つうなずくと、なぜか、俺の方へと首を回す。
「カイト、どうする?」
「え? どうする、とは?」
「俺は、カイトを誘拐した奴らへの処罰の権利を手に入れた。必要ならば、奴らの命を奪うことも可能だろう」
問われた内容を詳しく聞いて、俺は咄嗟に言葉が出てこない。
「俺としては、今回暴走したタボック家当主には爵位の剥奪を、その家族は関与していなかったことが分かっているから、特に処罰せず、使用人に関しては、関与していた者のみ、五年の強制労働。そして、カイトを襲おうとしていた男には……極刑相当の罰を、と思っているのだが」
そんなライナードの意見を聞いて、俺は少し考えて、反論することにする。
「極刑は、やり過ぎだと思う」
確かに、怖い目にはあった。もうちょっとで、きっと俺は女として致命的なダメージを負っていたはずだ。しかし、結果論ではあるものの、それは未遂に終わっている。だから、大丈夫だと告げたのだが……どうにもライナードは不機嫌だ。
「カイト嬢。元々、彼は大きな罪を犯した罪人です。私の元で少しでも改心している様子が見られれば、情状酌量もあったでしょうが、今回の件でそれもなくなりました。カイト嬢が罰を下さなくとも、きっと、極刑か、もしくはそれに準じる罰が下されると思われます」
俺が罰を下そうと思わなくとも、結局のところは誰かが処罰する。だから、気にしなくとも良いのだと言っているように取れる言葉に、俺は少し悩んで……それでも、やり過ぎだと思ってしまう。
「それと、ライナードの進言も通りましたよ」
「進言?」
何のことだとライナードを見れば、ライナードは俺の頭をなぜか撫でて、それを話す。
「今、カイトを傷つけた奴らが、護送されてきている。そいつらに対する処罰の権利を、一部だけだがもらい受けた」
「傷つけたって……」
何のことだろうかと首をかしげれば、『旧レイリン王国』と言われて、ようやく誰のことかが分かる。
「別に気にしてないんだけど……」
「ダメだ。俺が気にする」
正直、城で置き去りにされるまでは散々な日々だったが、最終的に置き去りにされたことでライナードに会えたのだから、あまり憎しみらしい憎しみはない。
「明日、彼らは到着するそうです。ルティアスの片翼であるリリス嬢も彼らと面会して、罰を言い渡すそうなので、良ければ一緒に行ってみては?」
そう言われて、なぜ、リリスさんが、とも思ったが、リリスさんは、あのエルヴィス王子に冤罪をかけられて国外追放されたという話を聞いて納得する。
(なるほど、リリスさん、貴族だって言ってたしなぁ)
エルヴィス王子達には全く興味がないが、リリスさんを傷つけたのは許せそうにない。
「分かった。なら、明日、カイトと一緒に行くことにしよう」
「なら、後でルティアスをこちらに向かわせますね」
「頼む」
そして、最初に話していた誘拐事件に関連する処罰の件は、リオン以外はライナードの言った通りになるとのことで、ライナードが何かの書類にサインして、ラディスさんに渡していた。
「では、私はこれで失礼しますね」
「む」
「あ、あの、ありがとうございました」
席を立ち、挨拶をするラディスさんにお礼を言えば、ラディスさんはニコリと笑う。
「どういたしまして。結婚式にはぜひ、私も招いてくださいね」
「む」
「結婚式?」
俺が首をかしげると、ライナードがなぜかしゅんと悲しそうな表情になる。
「……頑張ってください」
「む」
頭の中に疑問符を発生させていると、ラディスさんがライナードの肩を叩き、ライナードがうなずいていた。
(誰の結婚式か、後で聞こうかな?)
そんなことを考えていると、ラディスさんは、今度こそ屋敷から去っていくのだった。
「俺の裁量権はどこまでだ?」
「一応、命を取る行為に関しては許可が必要です。そうでなければ、タボック家当主及び、その家族や使用人、また、誘拐に関与した協力者への処罰は可能です」
「む、そうか」
それを聞いたライナードは一つうなずくと、なぜか、俺の方へと首を回す。
「カイト、どうする?」
「え? どうする、とは?」
「俺は、カイトを誘拐した奴らへの処罰の権利を手に入れた。必要ならば、奴らの命を奪うことも可能だろう」
問われた内容を詳しく聞いて、俺は咄嗟に言葉が出てこない。
「俺としては、今回暴走したタボック家当主には爵位の剥奪を、その家族は関与していなかったことが分かっているから、特に処罰せず、使用人に関しては、関与していた者のみ、五年の強制労働。そして、カイトを襲おうとしていた男には……極刑相当の罰を、と思っているのだが」
そんなライナードの意見を聞いて、俺は少し考えて、反論することにする。
「極刑は、やり過ぎだと思う」
確かに、怖い目にはあった。もうちょっとで、きっと俺は女として致命的なダメージを負っていたはずだ。しかし、結果論ではあるものの、それは未遂に終わっている。だから、大丈夫だと告げたのだが……どうにもライナードは不機嫌だ。
「カイト嬢。元々、彼は大きな罪を犯した罪人です。私の元で少しでも改心している様子が見られれば、情状酌量もあったでしょうが、今回の件でそれもなくなりました。カイト嬢が罰を下さなくとも、きっと、極刑か、もしくはそれに準じる罰が下されると思われます」
俺が罰を下そうと思わなくとも、結局のところは誰かが処罰する。だから、気にしなくとも良いのだと言っているように取れる言葉に、俺は少し悩んで……それでも、やり過ぎだと思ってしまう。
「それと、ライナードの進言も通りましたよ」
「進言?」
何のことだとライナードを見れば、ライナードは俺の頭をなぜか撫でて、それを話す。
「今、カイトを傷つけた奴らが、護送されてきている。そいつらに対する処罰の権利を、一部だけだがもらい受けた」
「傷つけたって……」
何のことだろうかと首をかしげれば、『旧レイリン王国』と言われて、ようやく誰のことかが分かる。
「別に気にしてないんだけど……」
「ダメだ。俺が気にする」
正直、城で置き去りにされるまでは散々な日々だったが、最終的に置き去りにされたことでライナードに会えたのだから、あまり憎しみらしい憎しみはない。
「明日、彼らは到着するそうです。ルティアスの片翼であるリリス嬢も彼らと面会して、罰を言い渡すそうなので、良ければ一緒に行ってみては?」
そう言われて、なぜ、リリスさんが、とも思ったが、リリスさんは、あのエルヴィス王子に冤罪をかけられて国外追放されたという話を聞いて納得する。
(なるほど、リリスさん、貴族だって言ってたしなぁ)
エルヴィス王子達には全く興味がないが、リリスさんを傷つけたのは許せそうにない。
「分かった。なら、明日、カイトと一緒に行くことにしよう」
「なら、後でルティアスをこちらに向かわせますね」
「頼む」
そして、最初に話していた誘拐事件に関連する処罰の件は、リオン以外はライナードの言った通りになるとのことで、ライナードが何かの書類にサインして、ラディスさんに渡していた。
「では、私はこれで失礼しますね」
「む」
「あ、あの、ありがとうございました」
席を立ち、挨拶をするラディスさんにお礼を言えば、ラディスさんはニコリと笑う。
「どういたしまして。結婚式にはぜひ、私も招いてくださいね」
「む」
「結婚式?」
俺が首をかしげると、ライナードがなぜかしゅんと悲しそうな表情になる。
「……頑張ってください」
「む」
頭の中に疑問符を発生させていると、ラディスさんがライナードの肩を叩き、ライナードがうなずいていた。
(誰の結婚式か、後で聞こうかな?)
そんなことを考えていると、ラディスさんは、今度こそ屋敷から去っていくのだった。
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