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第四章 隠し事
第六十話 打ち明ける心
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最近コソコソしているライナードが、その理由を、一度は話すのを拒んだものの、結局は話してくれた。しかも、それは俺のためにやっていたことだった。
(俺を、元の世界に戻すため……?)
以前、ライナードには帰れない理由は告げたものの、正直、未練たらたらだった。そして、今も未練がないとは言わない。しかし……。
(ライナードが、俺のために……)
元の世界に帰る方法を探すというのは、確かに言っていた。ただ、俺はそれを拒んだし、本気にはしていなかった。何せ、片翼として、ライナードは俺を手放したくないように見えたから。
そしてそれは、あの、片翼を失ったという魔族を見て、さらに確信となる。片翼を失えば、魔族が狂うというのを目の当たりにして、俺は、いつの間にか、ライナードが俺を元の世界に帰す方法を見つけてくれるなんて、思わなくなっていた。ただただ、諦めて、この世界でやっていくしかないと思っていただけだった。それが……。
(俺を、手放すことになるはずなのに……)
ライナードの表情を見れば、俺を元の世界に帰したくないと思っているのは一目瞭然だった。だから、思わず俺は、ライナードの言葉を遮る。『そんなこと、しなくて良いよ』と。
(あぁ、俺は、ライナードに救われたんだ)
諦めるしかないと思って、実際に諦めていた俺。しかし、ライナードは諦めていなかった。俺の大切なものを、取り戻そうと、動いてくれていた。それだけで……それだけで、俺は、心が救われたのだ。
いつの間にか張りつめていた心が、柔らかく解されるのを感じながら、俺は、何とか誤解がないように、俺の気持ちを伝える。
未練がないわけではない。しかし、ライナードが俺をそれだけ想ってくれただけで、俺には十分だった。それだけで、俺は、この世界に残る決心ができる。この世界に、自分の足で立つことができる。
(問題が、ないわけじゃないけど……)
そうして、俺は今まで隠していた、元が男だという事実を話す決心がつく。きっと、拒絶されることはないと思っていても、少し怖いそれ。しかし、ライナードの心に、俺はどうしても応えたかった。
「俺は、元の世界では男だったんだ」
そう言って、俺はこの世界に来た瞬間、容姿も性別も変わってしまっていたこと。身を守るために、そして、違和感を持たせないために、必死に女性の演技を続けていたこと。ライナードに出会ってからは、最初はまだ警戒していたものの、途中から、隠すことが辛くなっていたこと。それらの全てを、じっくりと打ち明ける。
ライナードは、それを黙ったまま、じっと聞いていてくれていた。
「そうか」
全てを聞き終えたライナードは、一言そう告げると、おもむろに俺の側に歩いて膝をつくと、ギュッと俺を抱き締めてくる。
「カイトはカイトだ。俺にとって、カイトの性別など、関係ない。ただ、カイトだけが愛しい」
そして囁かれたのは、直球過ぎる愛の言葉。
「っ!?」
「愛している。カイト。どんなカイトでも、俺は、愛している」
元が男だと話したにも関わらず、全く変わらない態度。いや、むしろ、以前にも増して、直球に想いを伝えてくるライナードに、俺の頭の中はグルグルと考えが纏まらなくなる。
「っ!? そうだっ、カイトっ、体が変わって、何か不自由があったりはしないか? いや、それ以前に、肉体の変容というのは大きな負担が伴うはずだ。カイト、どこか辛いとか、そういったことはないか?」
一頻り愛の言葉を囁いたライナードだったが、急に、何かを思い出したかのように、俺から体を離して、必死に質問するライナード。
どうやら、俺の体のことを心配しているらしいが、不自由らしい不自由は……自分の裸を直視できなかったのは、最初の頃だけだし、幸い、女性と一緒にお風呂に入るとか、そういったイベントは起こっていない。と、いうわけで、今は、不自由などなく、ライナードが言っていた体の負担というのも自覚がない。
「大丈夫っ、大丈夫だからっ、ライナードっ」
今にも医者を……いや、ルティアスさんを呼びつけそうな勢いのライナードに、俺は必死になって無事を主張するはめになる。そして……。
(あぁ、俺を保護してくれたのが、ライナードで良かった)
俺は心から、ライナードとの幸運な出会いに感謝して、幸せな笑みを浮かべるのだった。
(俺を、元の世界に戻すため……?)
以前、ライナードには帰れない理由は告げたものの、正直、未練たらたらだった。そして、今も未練がないとは言わない。しかし……。
(ライナードが、俺のために……)
元の世界に帰る方法を探すというのは、確かに言っていた。ただ、俺はそれを拒んだし、本気にはしていなかった。何せ、片翼として、ライナードは俺を手放したくないように見えたから。
そしてそれは、あの、片翼を失ったという魔族を見て、さらに確信となる。片翼を失えば、魔族が狂うというのを目の当たりにして、俺は、いつの間にか、ライナードが俺を元の世界に帰す方法を見つけてくれるなんて、思わなくなっていた。ただただ、諦めて、この世界でやっていくしかないと思っていただけだった。それが……。
(俺を、手放すことになるはずなのに……)
ライナードの表情を見れば、俺を元の世界に帰したくないと思っているのは一目瞭然だった。だから、思わず俺は、ライナードの言葉を遮る。『そんなこと、しなくて良いよ』と。
(あぁ、俺は、ライナードに救われたんだ)
諦めるしかないと思って、実際に諦めていた俺。しかし、ライナードは諦めていなかった。俺の大切なものを、取り戻そうと、動いてくれていた。それだけで……それだけで、俺は、心が救われたのだ。
いつの間にか張りつめていた心が、柔らかく解されるのを感じながら、俺は、何とか誤解がないように、俺の気持ちを伝える。
未練がないわけではない。しかし、ライナードが俺をそれだけ想ってくれただけで、俺には十分だった。それだけで、俺は、この世界に残る決心ができる。この世界に、自分の足で立つことができる。
(問題が、ないわけじゃないけど……)
そうして、俺は今まで隠していた、元が男だという事実を話す決心がつく。きっと、拒絶されることはないと思っていても、少し怖いそれ。しかし、ライナードの心に、俺はどうしても応えたかった。
「俺は、元の世界では男だったんだ」
そう言って、俺はこの世界に来た瞬間、容姿も性別も変わってしまっていたこと。身を守るために、そして、違和感を持たせないために、必死に女性の演技を続けていたこと。ライナードに出会ってからは、最初はまだ警戒していたものの、途中から、隠すことが辛くなっていたこと。それらの全てを、じっくりと打ち明ける。
ライナードは、それを黙ったまま、じっと聞いていてくれていた。
「そうか」
全てを聞き終えたライナードは、一言そう告げると、おもむろに俺の側に歩いて膝をつくと、ギュッと俺を抱き締めてくる。
「カイトはカイトだ。俺にとって、カイトの性別など、関係ない。ただ、カイトだけが愛しい」
そして囁かれたのは、直球過ぎる愛の言葉。
「っ!?」
「愛している。カイト。どんなカイトでも、俺は、愛している」
元が男だと話したにも関わらず、全く変わらない態度。いや、むしろ、以前にも増して、直球に想いを伝えてくるライナードに、俺の頭の中はグルグルと考えが纏まらなくなる。
「っ!? そうだっ、カイトっ、体が変わって、何か不自由があったりはしないか? いや、それ以前に、肉体の変容というのは大きな負担が伴うはずだ。カイト、どこか辛いとか、そういったことはないか?」
一頻り愛の言葉を囁いたライナードだったが、急に、何かを思い出したかのように、俺から体を離して、必死に質問するライナード。
どうやら、俺の体のことを心配しているらしいが、不自由らしい不自由は……自分の裸を直視できなかったのは、最初の頃だけだし、幸い、女性と一緒にお風呂に入るとか、そういったイベントは起こっていない。と、いうわけで、今は、不自由などなく、ライナードが言っていた体の負担というのも自覚がない。
「大丈夫っ、大丈夫だからっ、ライナードっ」
今にも医者を……いや、ルティアスさんを呼びつけそうな勢いのライナードに、俺は必死になって無事を主張するはめになる。そして……。
(あぁ、俺を保護してくれたのが、ライナードで良かった)
俺は心から、ライナードとの幸運な出会いに感謝して、幸せな笑みを浮かべるのだった。
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