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第四章 隠し事
第五十話 ポーカー
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ライナードの様子がおかしい。それは分かるのに、何が原因なのか、全く心当たりがなかった。
(何で、急に会えないなんて……)
別に、ライナードと会えないことに問題はない。……いや、嘘だ。ちょっとだけ、寂しい。しかし、それはきっと大きな問題ではない。問題は、俺のことを片翼だと言っていたライナードが、俺から離れようとしていることだ。
(片翼っていうのが、勘違いだった、とか?)
そうだとすれば、俺も悩む必要はなくなる。しかし、何とも辛そうに見えたライナードを思えば、その可能性は低そうだ。
「うーん……」
「どうなさいましたか? カイトお嬢様?」
側でしっかりとこちらを観察していたリュシリーに問いかけられて、俺は慌てて何でもないと告げる。今はまだ、誰かに相談するような段階ではないだろう。
(考えても仕方ない。とりあえずは……)
「書庫に行っても良いか?」
ここ最近、ライナードにガッツリ監視されている状態だったため言い出せなかったが、そろそろ自分に割り振られたお仕事をこなしたいところだ。
「許可できません」
「え?」
「許可できません」
間髪入れずに答えたリュシリーに、俺は聞き返して、やはり同じ言葉を告げられる。
「どうして……?」
「ライナード様より、二度と魔本の封印にカイトお嬢様を近づけてはならないと言いつかっております」
そう宣言するリュシリーは……何だか目がとても怖い。
「二度と、カイトお嬢様を傷つけるわけには参りませんので、ご容赦くださいませ」
「あ、あぁ」
鬼気迫る様子で告げるリュシリーを前に、俺は、反論することなどできなかった。
「もちろん、何か御入り用の本がございましたら、お持ちいたします」
「いや、本はあまり読まないから良いんだけど……でも、どうしよう、やることがない」
せっかくもらっていたお仕事だが、危険が伴うということであれば、禁止されてしまうのも仕方ないと思えた。むしろ、こうして心配してもらえるのは嬉しい。ただ、そうなると、俺には何もやることがなくなってしまう。
元々はレイリン王国へ旅するための資金集めが目的だったお仕事。しかし、今はもう、帰ることは諦めているため、そんなことをする必要はない。ただ、そうなると暇な時間が多くなってしまうというのが現状だった。
「カイトお嬢様は、何かお好きなことはございますか?」
そう問われて、俺は改めて考える。
「うーん……カードゲーム、とか?」
具体的には、トランプでできる遊び。しかも、運が試されるタイプの遊びが、俺は好きだった。
「では、ノーラに持ってこさせましょう」
そう言って、リュシリーは伝音魔法と呼ばれる魔法を使って、ノーラへと言葉を伝える。どんな魔法なのかを詳しく聞いてみると、スピーカー機能をオンにした状態で電話をするのと変わらない魔法だった。ただし、相手から距離が離れていると、それだけ魔力を使うことになるらしいので、基本的には同じ村や町に居る者同士で連絡を取るくらいの範囲でしか使えないらしい。しかも、相手の魔力を探知して、その場所を特定するという作業も必要なため、万人が使えるものというわけでもないそうだ。
ほどなくして、ノーラが持ってきたカードは……まごうことなき、トランプだった。
「相手は、私どもがいたしましょうか?」
「そうだね。時間があるなら頼むよ」
さすがに、トランプは一人ではできない。……いや、一人で遊ぶものもあるといえばあるが、それは楽しくない。
「なら、ポーカーでどうかな?」
「承知いたしました」
「ポーカーと言えば、賭けですね……何を賭けましょうか?」
「えっ? ……じゃあ、賭けとかじゃなく、勝った人の質問に答えるっていうのはどう?」
実をいうと、俺はまだ、この無表情な二人の侍女達と仲良くなれている気がしない。あまりにも取っつきにくいのが原因といえば原因なのだろうが、こうして、ゆっくり話すことがなかったのも原因の一つだ。
「「承知いたしました」」
ただ、その提案をした瞬間、なぜか肉食獣に睨まれたような心地になる。
「あ、うん。よろしく」
何を質問するつもりかは知らないが……ようは、負けなければ良いのだ。俺は今まで、ポーカーで負けたことは一度もない。
そうして、俺達のポーカーゲームが始まるのだった。
(何で、急に会えないなんて……)
別に、ライナードと会えないことに問題はない。……いや、嘘だ。ちょっとだけ、寂しい。しかし、それはきっと大きな問題ではない。問題は、俺のことを片翼だと言っていたライナードが、俺から離れようとしていることだ。
(片翼っていうのが、勘違いだった、とか?)
そうだとすれば、俺も悩む必要はなくなる。しかし、何とも辛そうに見えたライナードを思えば、その可能性は低そうだ。
「うーん……」
「どうなさいましたか? カイトお嬢様?」
側でしっかりとこちらを観察していたリュシリーに問いかけられて、俺は慌てて何でもないと告げる。今はまだ、誰かに相談するような段階ではないだろう。
(考えても仕方ない。とりあえずは……)
「書庫に行っても良いか?」
ここ最近、ライナードにガッツリ監視されている状態だったため言い出せなかったが、そろそろ自分に割り振られたお仕事をこなしたいところだ。
「許可できません」
「え?」
「許可できません」
間髪入れずに答えたリュシリーに、俺は聞き返して、やはり同じ言葉を告げられる。
「どうして……?」
「ライナード様より、二度と魔本の封印にカイトお嬢様を近づけてはならないと言いつかっております」
そう宣言するリュシリーは……何だか目がとても怖い。
「二度と、カイトお嬢様を傷つけるわけには参りませんので、ご容赦くださいませ」
「あ、あぁ」
鬼気迫る様子で告げるリュシリーを前に、俺は、反論することなどできなかった。
「もちろん、何か御入り用の本がございましたら、お持ちいたします」
「いや、本はあまり読まないから良いんだけど……でも、どうしよう、やることがない」
せっかくもらっていたお仕事だが、危険が伴うということであれば、禁止されてしまうのも仕方ないと思えた。むしろ、こうして心配してもらえるのは嬉しい。ただ、そうなると、俺には何もやることがなくなってしまう。
元々はレイリン王国へ旅するための資金集めが目的だったお仕事。しかし、今はもう、帰ることは諦めているため、そんなことをする必要はない。ただ、そうなると暇な時間が多くなってしまうというのが現状だった。
「カイトお嬢様は、何かお好きなことはございますか?」
そう問われて、俺は改めて考える。
「うーん……カードゲーム、とか?」
具体的には、トランプでできる遊び。しかも、運が試されるタイプの遊びが、俺は好きだった。
「では、ノーラに持ってこさせましょう」
そう言って、リュシリーは伝音魔法と呼ばれる魔法を使って、ノーラへと言葉を伝える。どんな魔法なのかを詳しく聞いてみると、スピーカー機能をオンにした状態で電話をするのと変わらない魔法だった。ただし、相手から距離が離れていると、それだけ魔力を使うことになるらしいので、基本的には同じ村や町に居る者同士で連絡を取るくらいの範囲でしか使えないらしい。しかも、相手の魔力を探知して、その場所を特定するという作業も必要なため、万人が使えるものというわけでもないそうだ。
ほどなくして、ノーラが持ってきたカードは……まごうことなき、トランプだった。
「相手は、私どもがいたしましょうか?」
「そうだね。時間があるなら頼むよ」
さすがに、トランプは一人ではできない。……いや、一人で遊ぶものもあるといえばあるが、それは楽しくない。
「なら、ポーカーでどうかな?」
「承知いたしました」
「ポーカーと言えば、賭けですね……何を賭けましょうか?」
「えっ? ……じゃあ、賭けとかじゃなく、勝った人の質問に答えるっていうのはどう?」
実をいうと、俺はまだ、この無表情な二人の侍女達と仲良くなれている気がしない。あまりにも取っつきにくいのが原因といえば原因なのだろうが、こうして、ゆっくり話すことがなかったのも原因の一つだ。
「「承知いたしました」」
ただ、その提案をした瞬間、なぜか肉食獣に睨まれたような心地になる。
「あ、うん。よろしく」
何を質問するつもりかは知らないが……ようは、負けなければ良いのだ。俺は今まで、ポーカーで負けたことは一度もない。
そうして、俺達のポーカーゲームが始まるのだった。
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