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第一章 囚われの身
第十七話 和解
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あれから、ライナードは飛んできたドム爺に連行されていった。俺は、ノーラとリュシリーに連れられて、その後に続く形となる。そして……。
「ライナード坊っちゃんっ! 淑女の前で裸を晒すとは何事ですかっ!」
ドム爺の説教が始まり、非常にいたたまれない。
(いや、そもそもは、俺が大浴場に向かったのが悪いわけで……)
「すまん」
ライナードもライナードで、申し訳なさそうにしているのが物凄く……罪悪感がある。
「申し訳ございません。私がカイトお嬢様にライナード様の居場所を教えたばかりに……」
「それを止めなかった私も同罪です。ノーラ」
「いや、私も勝手に入ってすみません」
ちなみに、あそこは男湯だったそうな。確かに、それらしい文字を見た記憶はあるが……残念ながら、中身が男な俺は、全く違和感を覚えることなくそのままスルーしてしまっていた。
(……あれ? と、いうか、この国の文字って日本語?)
「いくらこの国の言葉を話せるカイトお嬢様といえど、この国の文字まで分かるとは限りませんっ。きっと、男湯の文字も読めていなかったはずです」
(いや、読めてました。と、いうか、俺、この世界の文字は勝手に翻訳されちゃうみたいなんだけど……)
そう言いたい気もするが、それを言えば、異世界から召喚されたことも話さなければならないため、ひたすら口をつぐむしかない。
「あぁ、カイトお嬢様っ、申し訳ありませんっ。私どもが勝手なことを言ったばかりに……」
「すまん」
「「申し訳ございませんっ」」
「い、いえ、私も悪かったんです」
全員から謝罪を受けて、居心地が悪いことこの上ない。
(いや、ライナードの体を見ても、思ったのはすごい筋肉で羨ましいってことだけだったし……)
普通の女性ならば悲鳴を上げるであろう場面で、先に取り乱したのはライナードの方であったたま、俺は申し訳なさがどんどん募る。
「ノーラ、リュシリー、あなた達はカイトお嬢様をお送りしなさい。ライナード坊っちゃんは、まだ説教の続きです」
「「はい」」
「分かった」
しょんぼりとするライナードを見て、俺は必死にその説教が少しでも軽くなるように口を開く。
「えっと、えっと、ライナードをそんなに責めないであげてくださいっ」
「えぇ、ここはみっちりと言い聞かせておきますので、カイトお嬢様は心安らかにお過ごしください」
丁寧に礼をするドム爺に、俺は、言葉が通じていないことを知り……そのまま、ライナードの自室の隣の部屋に案内されるのだった。
翌日。
「すまなかった。カイト」
「……」
俺は、用意された俺用の、ちょっと可愛らしいタンスや小物が置いてある畳の部屋で身支度を整えて、障子を開けたところだったのだが……目の前に、いつからそこに居たのか、土下座しているライナードを見つけ、思わず固まる。
「えっと……とりあえず、立ち上がってくれないか?」
そう言えば、ライナードは立ち上がろうとして……膝立ちのまま固まる。
「……もしかして、足、痺れた?」
そっと目を逸らすライナードに、俺は図星だったのだと納得する。
「その……私は気にしてないから」
間抜けな状態で固まったライナードに、俺はとにかく、昨日の事件に関して許すことを告げる。
「そ、それより、あの、ハンバーグ、美味しかった」
「っ、そうかっ!」
嬉しそうに微笑むライナードは、しかし、未だ膝立ち状態だ。足の痺れは、そうとう頑固らしい。
「それと、逃げられるのは……戸惑うし、嫌だ」
「っ、今後は逃げない」
「そっか」
良かった。ちゃんと和解できた。そんな思いが胸を占める中、俺は、ドム爺達に頼まれていたことを思い出す。
「そういえば、片翼休暇ってやつのことなんだけど……」
「カイトに迷惑はかけられない。休暇は取り消して、仕事に戻る」
「いや、その……私は別に迷惑じゃないから……仕事に集中できないのは不味いと思うし……」
と、そこで、俺はライナードが護衛らしいことをしていたことを思い出す。
「ほら、仕事も危険なこととかあるだろ? それなのに集中できないのはそれこそ不味いからな」
そこまで言えば、ライナードは大きく目を見開く。
「心配、してくれるのか?」
「それはもちろん」
そう言えば、ライナードはポッと顔を赤くする。
「わ、分かった。片翼休暇を、申請する」
コクコクとうなずくライナードは、何だか可愛く見える。俺よりもよっぽど大きな体を持つライナードに、その感想はおかしい気がしたものの、今はそうとしか思えなかった。
「必ず、カイトの幸せのために動いてみせよう」
そう言いながら、ライナードは勢い良く立ち上がろうとして……片足を立てた段階で顔を強張らせるのだった。
「ライナード坊っちゃんっ! 淑女の前で裸を晒すとは何事ですかっ!」
ドム爺の説教が始まり、非常にいたたまれない。
(いや、そもそもは、俺が大浴場に向かったのが悪いわけで……)
「すまん」
ライナードもライナードで、申し訳なさそうにしているのが物凄く……罪悪感がある。
「申し訳ございません。私がカイトお嬢様にライナード様の居場所を教えたばかりに……」
「それを止めなかった私も同罪です。ノーラ」
「いや、私も勝手に入ってすみません」
ちなみに、あそこは男湯だったそうな。確かに、それらしい文字を見た記憶はあるが……残念ながら、中身が男な俺は、全く違和感を覚えることなくそのままスルーしてしまっていた。
(……あれ? と、いうか、この国の文字って日本語?)
「いくらこの国の言葉を話せるカイトお嬢様といえど、この国の文字まで分かるとは限りませんっ。きっと、男湯の文字も読めていなかったはずです」
(いや、読めてました。と、いうか、俺、この世界の文字は勝手に翻訳されちゃうみたいなんだけど……)
そう言いたい気もするが、それを言えば、異世界から召喚されたことも話さなければならないため、ひたすら口をつぐむしかない。
「あぁ、カイトお嬢様っ、申し訳ありませんっ。私どもが勝手なことを言ったばかりに……」
「すまん」
「「申し訳ございませんっ」」
「い、いえ、私も悪かったんです」
全員から謝罪を受けて、居心地が悪いことこの上ない。
(いや、ライナードの体を見ても、思ったのはすごい筋肉で羨ましいってことだけだったし……)
普通の女性ならば悲鳴を上げるであろう場面で、先に取り乱したのはライナードの方であったたま、俺は申し訳なさがどんどん募る。
「ノーラ、リュシリー、あなた達はカイトお嬢様をお送りしなさい。ライナード坊っちゃんは、まだ説教の続きです」
「「はい」」
「分かった」
しょんぼりとするライナードを見て、俺は必死にその説教が少しでも軽くなるように口を開く。
「えっと、えっと、ライナードをそんなに責めないであげてくださいっ」
「えぇ、ここはみっちりと言い聞かせておきますので、カイトお嬢様は心安らかにお過ごしください」
丁寧に礼をするドム爺に、俺は、言葉が通じていないことを知り……そのまま、ライナードの自室の隣の部屋に案内されるのだった。
翌日。
「すまなかった。カイト」
「……」
俺は、用意された俺用の、ちょっと可愛らしいタンスや小物が置いてある畳の部屋で身支度を整えて、障子を開けたところだったのだが……目の前に、いつからそこに居たのか、土下座しているライナードを見つけ、思わず固まる。
「えっと……とりあえず、立ち上がってくれないか?」
そう言えば、ライナードは立ち上がろうとして……膝立ちのまま固まる。
「……もしかして、足、痺れた?」
そっと目を逸らすライナードに、俺は図星だったのだと納得する。
「その……私は気にしてないから」
間抜けな状態で固まったライナードに、俺はとにかく、昨日の事件に関して許すことを告げる。
「そ、それより、あの、ハンバーグ、美味しかった」
「っ、そうかっ!」
嬉しそうに微笑むライナードは、しかし、未だ膝立ち状態だ。足の痺れは、そうとう頑固らしい。
「それと、逃げられるのは……戸惑うし、嫌だ」
「っ、今後は逃げない」
「そっか」
良かった。ちゃんと和解できた。そんな思いが胸を占める中、俺は、ドム爺達に頼まれていたことを思い出す。
「そういえば、片翼休暇ってやつのことなんだけど……」
「カイトに迷惑はかけられない。休暇は取り消して、仕事に戻る」
「いや、その……私は別に迷惑じゃないから……仕事に集中できないのは不味いと思うし……」
と、そこで、俺はライナードが護衛らしいことをしていたことを思い出す。
「ほら、仕事も危険なこととかあるだろ? それなのに集中できないのはそれこそ不味いからな」
そこまで言えば、ライナードは大きく目を見開く。
「心配、してくれるのか?」
「それはもちろん」
そう言えば、ライナードはポッと顔を赤くする。
「わ、分かった。片翼休暇を、申請する」
コクコクとうなずくライナードは、何だか可愛く見える。俺よりもよっぽど大きな体を持つライナードに、その感想はおかしい気がしたものの、今はそうとしか思えなかった。
「必ず、カイトの幸せのために動いてみせよう」
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