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第三章 少女期 女神編
第四百五話 奇襲(リリアナ視点)
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一通りの邪神は討伐した。そのため、助けた神々とともに、コルトやネシス達と合流しようとしたところで……異変に気づく。
「……? なぜ、邪神の気配が……?」
周囲には、仲間しか居ない。そして、邪神はあらかた討伐済み。それにもかかわらず、その場には濃厚な邪神の気配が残っていた。
ただの残り香のようなもの、というにはあまりにも濃い気配。近くに邪神が潜んでいると確信するには十分なもの。それなのに……私達は、対応に遅れた。
「ぐぁっ!!」
不意に、至近距離で放たれた魔法。激痛を訴える右腕を庇って、とにかく距離を取ろうと、本能のままに飛び退く。
「な、な……ぜ?」
攻撃を受けたのは、私だけではなかった。不意打ちによって絶命した神、意識を飛ばした神、大怪我を負った神が、そこには大量に居た。そして……。
「なぜ、こんなに、邪神が……?」
今まで、居なかったはずの邪神が、なぜか、唐突にこの場に現れていた。……いや、本当は違う。私も、それを理解してはいた。ただ、現実を受け入れることが難しかっただけだ。
「なぜ……っ。お前達は、先程まで私達の仲間だっただろうっ!!」
仲間として救出した神の約半数。それが、いきなり邪神へと堕ちたのだ。
「兄さん! 不味いよこれっ!」
「くっ、何だってこんなっ! おいっ! これじゃあ、俺らじゃあ味方を巻き込むぞ!!」
幸い、レインボードラゴン達にはダメージはなかったものの、それでも、彼らの本領は大規模殲滅魔法だ。敵味方が入り乱れた戦場で、彼らの力は使えない。
「ぐっ、くそっ! 誰が味方なのか、判然としないっ」
しかも、最悪なことに、いきなり邪神へと堕ちた彼らは、まだ堕ちたばかりであるせいで、私達と同じ気配も纏っている。そうなれば、邪神なのかどうなのかの判断が難しくなってくる。私達と同じその気配を前面に出されてしまえば、邪神とは思えなくなってしまうのだ。
戦いは、完全なる混戦。邪神だけを都合よく倒せる攻撃など存在しない。となれば、慎重にならざるを得ない。ただし、邪神側は自分の仲間を認識しているのか、その攻撃に躊躇いはなかった。
(戦闘系の神ばかりなのが災いしたか……。ここに、探知系の神でも居ればっ)
そうすれば、十分に状況を打開できる。そうは思えども、探知に長けた神は、今、存在しない。いや、例え存在していたとしても、恐らくは、最初の不意打ちで殺されていたことだろう。
そして、悪いことというのは続くものだ。殲滅を終えたと思っていた邪神の軍勢は……どうやら、今のために潜んでいただけだったらしい。
「っ!? レインボードラゴン! 逃げろぉぉおっ!!!」
邪神の軍勢の狙いは、大規模殲滅魔法を扱うレインボードラゴン達。彼らの一体でも欠ければ、彼らは力を発揮できなくなり、こちらに勝ち目はなくなる。しかし、レインボードラゴン達へ向かう邪神達の強力な攻撃の嵐に、私は、何も手を出すことができなかった。目の前の状況に対処することで精一杯だった。
私同様、攻撃に気づいたレインボードラゴン達。ただし、逃げろと言っても、逃げ道など、どこにも残されていなかった。周囲をぐるりと包囲する邪神達。そこから放たれる攻撃は、レインボードラゴン達の身動きを完全に封じていた。そうして……轟音とともに、空に居たレインボードラゴン達へ、攻撃が着弾した。
「……? なぜ、邪神の気配が……?」
周囲には、仲間しか居ない。そして、邪神はあらかた討伐済み。それにもかかわらず、その場には濃厚な邪神の気配が残っていた。
ただの残り香のようなもの、というにはあまりにも濃い気配。近くに邪神が潜んでいると確信するには十分なもの。それなのに……私達は、対応に遅れた。
「ぐぁっ!!」
不意に、至近距離で放たれた魔法。激痛を訴える右腕を庇って、とにかく距離を取ろうと、本能のままに飛び退く。
「な、な……ぜ?」
攻撃を受けたのは、私だけではなかった。不意打ちによって絶命した神、意識を飛ばした神、大怪我を負った神が、そこには大量に居た。そして……。
「なぜ、こんなに、邪神が……?」
今まで、居なかったはずの邪神が、なぜか、唐突にこの場に現れていた。……いや、本当は違う。私も、それを理解してはいた。ただ、現実を受け入れることが難しかっただけだ。
「なぜ……っ。お前達は、先程まで私達の仲間だっただろうっ!!」
仲間として救出した神の約半数。それが、いきなり邪神へと堕ちたのだ。
「兄さん! 不味いよこれっ!」
「くっ、何だってこんなっ! おいっ! これじゃあ、俺らじゃあ味方を巻き込むぞ!!」
幸い、レインボードラゴン達にはダメージはなかったものの、それでも、彼らの本領は大規模殲滅魔法だ。敵味方が入り乱れた戦場で、彼らの力は使えない。
「ぐっ、くそっ! 誰が味方なのか、判然としないっ」
しかも、最悪なことに、いきなり邪神へと堕ちた彼らは、まだ堕ちたばかりであるせいで、私達と同じ気配も纏っている。そうなれば、邪神なのかどうなのかの判断が難しくなってくる。私達と同じその気配を前面に出されてしまえば、邪神とは思えなくなってしまうのだ。
戦いは、完全なる混戦。邪神だけを都合よく倒せる攻撃など存在しない。となれば、慎重にならざるを得ない。ただし、邪神側は自分の仲間を認識しているのか、その攻撃に躊躇いはなかった。
(戦闘系の神ばかりなのが災いしたか……。ここに、探知系の神でも居ればっ)
そうすれば、十分に状況を打開できる。そうは思えども、探知に長けた神は、今、存在しない。いや、例え存在していたとしても、恐らくは、最初の不意打ちで殺されていたことだろう。
そして、悪いことというのは続くものだ。殲滅を終えたと思っていた邪神の軍勢は……どうやら、今のために潜んでいただけだったらしい。
「っ!? レインボードラゴン! 逃げろぉぉおっ!!!」
邪神の軍勢の狙いは、大規模殲滅魔法を扱うレインボードラゴン達。彼らの一体でも欠ければ、彼らは力を発揮できなくなり、こちらに勝ち目はなくなる。しかし、レインボードラゴン達へ向かう邪神達の強力な攻撃の嵐に、私は、何も手を出すことができなかった。目の前の状況に対処することで精一杯だった。
私同様、攻撃に気づいたレインボードラゴン達。ただし、逃げろと言っても、逃げ道など、どこにも残されていなかった。周囲をぐるりと包囲する邪神達。そこから放たれる攻撃は、レインボードラゴン達の身動きを完全に封じていた。そうして……轟音とともに、空に居たレインボードラゴン達へ、攻撃が着弾した。
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