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第三章 少女期 女神編
第三百九十九話 暗中模索
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創世神様、私、ミーシャ、セイがイルト様とルクレチアの救出担当。リリアナ様、鋼、ネシス、レインボードラゴン達が邪神の殲滅担当に分かれて、それぞれに行動を開始する。
(そういえば、次元が安定してないなら、いつ、魔王が来てもおかしくないのかも……?)
ふと、神界に来る前に、ミルラスへ手渡すよう頼んでおいた、魔王をこちらへ喚ぶための道具を思い出して、首を振る。
(それよりも、今は、こっち)
ルクレチアの結界は後回しにして、まずは、イルト様の方へと取りかかることにする。
「創世神様、破壊装置というのは、魂に直接馴染ませたもので、分離は不可能ということで良いですか?」
「うむ、そうじゃ。ワシの知る限り、無理に分離させようとすれば、神界を滅ぼすほどの威力の大爆発が起きるらしい」
そんな創世神様の言葉で、やはり、分離というのは無理だと判断する。
「この破壊装置というのは、ワシの上司に当たる神々が与えた命令式じゃ。その時が来たと判断されれば、それは発動し、イリアスとルクレチアの意思なぞ関係なしにイリアスとルクレチア自身が神界を滅ぼしにかかる。止める方法は、討伐のみ。それ以外に関する情報は、ここに」
創世神様から渡された資料にざっと目を通して確認をした私は、いくつかの推測をしながら、イルト様に目を向ける。
「……なら、ちょっと、色々調べてみますね」
「うむ、頼む」
イリアスとルクレチアにかけられた破壊装置たる所以の命令式。その性質さえ理解できれば、対処法も浮かぶかもしれない。
創世神様も、ただ黙って二人が破壊装置として動き出す瞬間を見るつもりはなかったらしく、様々な神が調べた結果が資料として残されていた。医学的な観点、生物学的な観点はもちろん、呪術や神力、魔力、ウイルスなどなど、思いつく限り、全ての方面で、専門の神々が知見を残していた。
(魔法一辺倒ではないっていうのが、複雑にしてる部分もあるみたいだね……)
イルト様の胸に両手を置いて、じっと、資料と照らし合わせて確認作業を進めていく。
(呪術に近いものと、神力、魔力による歪み、あとは、異物に変なウイルスまでっ。神として覚醒しなければ、こんなの気づけなかった)
ユレイラの頃は、そもそもここまで深く、イリアスを調べることはなかった。そして、ユミリアとしてイルト様の状態を確認する機会はいくらでもあったが、これほどの情報は、神にならなければ確認できない領域でもある。
「これは……」
分離ができないのであれば、発動させないようにするか、解除するしかない。
私が今、試みようとしているのは完全なる解除であり、それの途方もない難しさに、どうしても、その成功を思い描けず唇を噛む。
「お姉様……」
「ユミリア……」
「……大丈夫。まだ、考えてることはあるから」
そもそも、私のような新米からちょっと育ったくらいの神に解除できるのであれば、創世神様もこんなに悩まなかったに違いない。
「創世神様、ちょーっとキツイですけど、実験に付き合ってくださいね?」
「う、うむ」
イルト様とルクレチアを助けるためなのだ。そんなに青ざめないでもらいたい。そう思いながらも、実験リストを作成して、創世神様へ説明を始めた。
(そういえば、次元が安定してないなら、いつ、魔王が来てもおかしくないのかも……?)
ふと、神界に来る前に、ミルラスへ手渡すよう頼んでおいた、魔王をこちらへ喚ぶための道具を思い出して、首を振る。
(それよりも、今は、こっち)
ルクレチアの結界は後回しにして、まずは、イルト様の方へと取りかかることにする。
「創世神様、破壊装置というのは、魂に直接馴染ませたもので、分離は不可能ということで良いですか?」
「うむ、そうじゃ。ワシの知る限り、無理に分離させようとすれば、神界を滅ぼすほどの威力の大爆発が起きるらしい」
そんな創世神様の言葉で、やはり、分離というのは無理だと判断する。
「この破壊装置というのは、ワシの上司に当たる神々が与えた命令式じゃ。その時が来たと判断されれば、それは発動し、イリアスとルクレチアの意思なぞ関係なしにイリアスとルクレチア自身が神界を滅ぼしにかかる。止める方法は、討伐のみ。それ以外に関する情報は、ここに」
創世神様から渡された資料にざっと目を通して確認をした私は、いくつかの推測をしながら、イルト様に目を向ける。
「……なら、ちょっと、色々調べてみますね」
「うむ、頼む」
イリアスとルクレチアにかけられた破壊装置たる所以の命令式。その性質さえ理解できれば、対処法も浮かぶかもしれない。
創世神様も、ただ黙って二人が破壊装置として動き出す瞬間を見るつもりはなかったらしく、様々な神が調べた結果が資料として残されていた。医学的な観点、生物学的な観点はもちろん、呪術や神力、魔力、ウイルスなどなど、思いつく限り、全ての方面で、専門の神々が知見を残していた。
(魔法一辺倒ではないっていうのが、複雑にしてる部分もあるみたいだね……)
イルト様の胸に両手を置いて、じっと、資料と照らし合わせて確認作業を進めていく。
(呪術に近いものと、神力、魔力による歪み、あとは、異物に変なウイルスまでっ。神として覚醒しなければ、こんなの気づけなかった)
ユレイラの頃は、そもそもここまで深く、イリアスを調べることはなかった。そして、ユミリアとしてイルト様の状態を確認する機会はいくらでもあったが、これほどの情報は、神にならなければ確認できない領域でもある。
「これは……」
分離ができないのであれば、発動させないようにするか、解除するしかない。
私が今、試みようとしているのは完全なる解除であり、それの途方もない難しさに、どうしても、その成功を思い描けず唇を噛む。
「お姉様……」
「ユミリア……」
「……大丈夫。まだ、考えてることはあるから」
そもそも、私のような新米からちょっと育ったくらいの神に解除できるのであれば、創世神様もこんなに悩まなかったに違いない。
「創世神様、ちょーっとキツイですけど、実験に付き合ってくださいね?」
「う、うむ」
イルト様とルクレチアを助けるためなのだ。そんなに青ざめないでもらいたい。そう思いながらも、実験リストを作成して、創世神様へ説明を始めた。
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