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第三章 少女期 女神編
第三百六十二話 ネシスの紹介(イルト視点)
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ユミリアに、こっぴどく叱られた。きっと、ユレイラの記憶がないままのユミリアであれば、簡単に誤魔化されてくれたのだろうが、あのユレイラの記憶を持つユミリアに敵うはずがない。
「さて、イルト様? 私が、守られるだけの女じゃないことは、ご存知ですよね?」
「……ハイ」
「あと、呪いを受けていたとか、初耳なんですけど?」
「モウシワケアリマセン」
今の状況を端的に表せば……正座させられた上で、お説教されている状態だ。しかも、膝の上にはネシスを乗せられて、普通に抱きあげれば大した重さではないものの、この状態は、かなりきつい。
「そうですねぇ、イルト様成分が足りなさ過ぎてツライので、全部解決した後に、三日イルト様を独占できる権利をくれるのであれば、それで手を打ちましょう」
「分かった!」
そういう願いは、僕も歓迎だとばかりに応えれば、ユミリアは、とても……冷たく微笑む。
(僕は、何も間違ってない、よな?)
そんな不安を抱えながらも、そろそろメリー達が不安だろうから戻ろうという提案をされ、クリスタルロードの入り口へと再び戻る。
「お嬢様!」
「イルトっ、ユミリア様!」
「ユミリア様っ!」
「あんた達、ねぇ」
戻ってみれば、そこには、こちらへ着いたばかりらしいローランも居て、僕達へと声をかけてくる。そして……。
「「「「誰?」」」」
「……?」
ユミリアの後ろに隠れていたネシスを見つけ、ネシスを知らない彼らが、口を揃えて問いかける。ネシスもネシスで、特に何も喋ることなく、ゆっくりと首をかしげるだけなので、メリー達も首をかしげることしかできない。
「こちらはネシス。私とイルト様の大切な仲間よ」
「お嬢様……ユミリアお嬢様が何を拾ってきても口出しするつもりはございませんが……誘拐はさすがに犯罪ですよ?」
「ユミリア様、確かに、その子供は可愛いかもしれませんが、ちゃんと親元に返してやらなきゃ不味いんじゃあ……?」
「ローラン、もしかしたら、親に虐待されていたかもしれません。となれば、ユミリア様の行いは保護という形になるのでは?」
「……あんた達、とにかく落ち着きなさいっ! まずは、小娘達の話を聞くわよっ!」
ネシスを前に混乱があるのは理解していたが、一番非常識な姿のエイリーンが常識的なことを告げていることだけは理解したくなかった。
「ネシスは、神であった前世を持っている子供だ」
そう紹介したところで、ネシスが今、何の種族なのかを聞いていなかったと振り返れば、ネシスもおずおずと前へ出る。
「ネシス、です。…………闇の、使者と、呼ばれる種族、です」
その紹介を行った瞬間、メリー達は、大いに頬を引つらせた。
「さて、イルト様? 私が、守られるだけの女じゃないことは、ご存知ですよね?」
「……ハイ」
「あと、呪いを受けていたとか、初耳なんですけど?」
「モウシワケアリマセン」
今の状況を端的に表せば……正座させられた上で、お説教されている状態だ。しかも、膝の上にはネシスを乗せられて、普通に抱きあげれば大した重さではないものの、この状態は、かなりきつい。
「そうですねぇ、イルト様成分が足りなさ過ぎてツライので、全部解決した後に、三日イルト様を独占できる権利をくれるのであれば、それで手を打ちましょう」
「分かった!」
そういう願いは、僕も歓迎だとばかりに応えれば、ユミリアは、とても……冷たく微笑む。
(僕は、何も間違ってない、よな?)
そんな不安を抱えながらも、そろそろメリー達が不安だろうから戻ろうという提案をされ、クリスタルロードの入り口へと再び戻る。
「お嬢様!」
「イルトっ、ユミリア様!」
「ユミリア様っ!」
「あんた達、ねぇ」
戻ってみれば、そこには、こちらへ着いたばかりらしいローランも居て、僕達へと声をかけてくる。そして……。
「「「「誰?」」」」
「……?」
ユミリアの後ろに隠れていたネシスを見つけ、ネシスを知らない彼らが、口を揃えて問いかける。ネシスもネシスで、特に何も喋ることなく、ゆっくりと首をかしげるだけなので、メリー達も首をかしげることしかできない。
「こちらはネシス。私とイルト様の大切な仲間よ」
「お嬢様……ユミリアお嬢様が何を拾ってきても口出しするつもりはございませんが……誘拐はさすがに犯罪ですよ?」
「ユミリア様、確かに、その子供は可愛いかもしれませんが、ちゃんと親元に返してやらなきゃ不味いんじゃあ……?」
「ローラン、もしかしたら、親に虐待されていたかもしれません。となれば、ユミリア様の行いは保護という形になるのでは?」
「……あんた達、とにかく落ち着きなさいっ! まずは、小娘達の話を聞くわよっ!」
ネシスを前に混乱があるのは理解していたが、一番非常識な姿のエイリーンが常識的なことを告げていることだけは理解したくなかった。
「ネシスは、神であった前世を持っている子供だ」
そう紹介したところで、ネシスが今、何の種族なのかを聞いていなかったと振り返れば、ネシスもおずおずと前へ出る。
「ネシス、です。…………闇の、使者と、呼ばれる種族、です」
その紹介を行った瞬間、メリー達は、大いに頬を引つらせた。
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