悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌

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第三章 少女期 女神編

第三百三十二話 最適解はどれ?

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 セイと鋼が倒れ、私はすぐに、何があったのかを探る。


「攻撃は、されてないはず。毒? ううん、それも違う」


 セイも鋼も、私に従属する立場ではあるものの、私にとっては大切な友達だ。それも、セイと鋼は初めての友達であり、今の私は、動揺のあまり泣きそうだった。それでも、私にできる手はどんなものでも打ってみせる。その思いだけで持ちこたえて、セイ達の様子を確認していく。


「呪いもなし、瘴気もなし。他の魔法の気配は……何か、ある?」


 何かと応急処置をしなければならない場面に出くわすことが多かったため、検査キットを作っておいたのが功を奏した。毒、病、呪い、瘴気、魔力にそれぞれ反応するだけの五つの魔石。将来的には、これを一纏めにして、一度で全ての検査を終了させられるようにしたいものの、今のところは、一つ一つ、相手の体に当てて、魔力を流して確認するしか方法はない。その中で最後の一つであった赤い魔石が、ほのかに光って異常を知らせる。セイと鋼に対して、同時進行で検査をして、同じように発光したため、何かの魔法の影響で、二人が倒れたことだけは分かった。


「時限式? マルディックっ、スーちゃんっ、ちょっとこれ持って!」


 新たに取り出した検査キットから、やはり赤い魔石を取り出して、すぐに指示に従ってこちらへ来た二人に渡してみる。それと同時に、どちらでも良いから、同じようにして私を検査してほしいと頼んで、他の魔法を受けていないかの検査を行う。
 もしも、他の面々も異常が出ているのであれば、早く対処しなければ全員が戦闘不能になって殺されかねない。それだけは阻止しなければと、セイと鋼に何が起こったのかを考えながら魔石を見つめる。


「異常、なし? 二人だけが、何かを受けた?」


 結果、魔石が光ることはなく、セイと鋼だけが、何らかの異常を起こしていることを確認する。


「攻撃の類を受けた様子は……いや、精神に働きかけるものであれば」


 そうなると、私が魔王の精神に干渉した時のように、ローランが竜神様の精神に干渉した時のように、二人の精神に干渉しなければならないのかもしれない。ただ、それは、この場が安全であればできるというものであり、今、それを試すわけにはいかない。


(脈拍も、心音も正常。なら、ひとまず保護したまま、あの影をどうにかしさえすれば……)


 理性的に考えれば、それが最適解。しかし、どうにもモヤモヤとするのも確かで、それではダメだと、本能が訴える。今すぐどうにかしなければ、セイと鋼を永遠に失ってしまう。そんな気がしてならなかった。


「おいっ、娘! そいつら、魂が侵食されているぞっ!?」

「えっ!?」


 そして、マルディックの言葉によって、私はその予感が間違っていなかったことを知った。
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