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第三章 少女期 女神編
第三百二十七話 要請と違和感
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トラップ階段。そこは、ゲーム内では人食い階段と呼ばれる場所で、文字通り、人を食らう、時々色々な場所に移動している階段だ。……いや、人だけではない。恐らくは、生き物ならばどんなものでも食らうだろう。あの階段を降りたら最後、奴の胃袋に直行というわけだ。そして……。
(あの夥しい血……ナニカが、あの階段を降りたことに間違いはないはず)
セイ達が、何かの封印を解いたことは間違いない。そのいくらかは、この階段に食われ、いくらかは、外に出たかもしれない。少なくとも、ここに封印されていたような存在が、良いものであるはずはないため、今からでもクリスタルロードに繋がる道を警備してもらうべきだろう。
(イルト様に、要請をしておいて、魔王とミルにも協力してもらって……後は、ここに留まっている存在と、もしかしたら居るかもしれない精霊王か妖精王にも会わなきゃ、ね)
『イルト様、聞こえますか?』
『ユミリア!? 何かあったっ? やっぱり僕もそっちに』
『いえ、あったと言えばありましたが、そちらで対処してほしいことができたんです』
『そう。僕は、何をすれば良い?』
今回使用したのは、仕事用の方のイヤリング。問題への対処のためにのみ利用する、思念での通信用魔導具だ。もちろん、私的に利用する方のイヤリングも存在していて、そちらの方が使用頻度は高い。
『最低限、魔王とミルに協力を仰いで、精鋭部隊にクリスタルロードの入り口を監視、及び、何かが出てきた時、それの足止めをお願いしたいんです』
『何があったかは?』
『全容は分かりませんが、ナニカの封印が解けていて、もしかしたら、それが外に出るかもしれない、という状態です』
『なら、騎士団長も向かわせよう』
『ありがとうございます』
短い会話で、事情を把握してくれたイルト様。それに感謝しながら、私は、扉の状態を確認する。
(やっぱり、おかしい)
ここは、クリスタルロード最深部。深い闇に閉ざされ、欺王と偽牙に守られた門の前。欺王と偽牙が居ないのは、討伐したからだと分かっている。ただし、ここが明るくなっている理由が分からないし、扉がここまで禍々しいのも理解ができなかった。一面に、ドクロが埋め込まれた黒い扉。それが、目の前の光景だ。
「ユミリア? 行くんじゃないの?」
イルト様との会話が終わったことに気づいて、セイが話しかけてくるが、どうやら、この扉の違和感に気づいているのは私だけ……いや、どうやら、スーちゃんも気づいているらしい。
(となると、前回探索したメンバーと私達で分かれてる、か……)
「うん、行くよ。全員、準備は良いね?」
この現象には心当たりがある。そして、元凶をどうにかしなければ、どうにもならないということも分かっている。だから、私は何事もないかのように装って、扉へと手を伸ばした。
(あの夥しい血……ナニカが、あの階段を降りたことに間違いはないはず)
セイ達が、何かの封印を解いたことは間違いない。そのいくらかは、この階段に食われ、いくらかは、外に出たかもしれない。少なくとも、ここに封印されていたような存在が、良いものであるはずはないため、今からでもクリスタルロードに繋がる道を警備してもらうべきだろう。
(イルト様に、要請をしておいて、魔王とミルにも協力してもらって……後は、ここに留まっている存在と、もしかしたら居るかもしれない精霊王か妖精王にも会わなきゃ、ね)
『イルト様、聞こえますか?』
『ユミリア!? 何かあったっ? やっぱり僕もそっちに』
『いえ、あったと言えばありましたが、そちらで対処してほしいことができたんです』
『そう。僕は、何をすれば良い?』
今回使用したのは、仕事用の方のイヤリング。問題への対処のためにのみ利用する、思念での通信用魔導具だ。もちろん、私的に利用する方のイヤリングも存在していて、そちらの方が使用頻度は高い。
『最低限、魔王とミルに協力を仰いで、精鋭部隊にクリスタルロードの入り口を監視、及び、何かが出てきた時、それの足止めをお願いしたいんです』
『何があったかは?』
『全容は分かりませんが、ナニカの封印が解けていて、もしかしたら、それが外に出るかもしれない、という状態です』
『なら、騎士団長も向かわせよう』
『ありがとうございます』
短い会話で、事情を把握してくれたイルト様。それに感謝しながら、私は、扉の状態を確認する。
(やっぱり、おかしい)
ここは、クリスタルロード最深部。深い闇に閉ざされ、欺王と偽牙に守られた門の前。欺王と偽牙が居ないのは、討伐したからだと分かっている。ただし、ここが明るくなっている理由が分からないし、扉がここまで禍々しいのも理解ができなかった。一面に、ドクロが埋め込まれた黒い扉。それが、目の前の光景だ。
「ユミリア? 行くんじゃないの?」
イルト様との会話が終わったことに気づいて、セイが話しかけてくるが、どうやら、この扉の違和感に気づいているのは私だけ……いや、どうやら、スーちゃんも気づいているらしい。
(となると、前回探索したメンバーと私達で分かれてる、か……)
「うん、行くよ。全員、準備は良いね?」
この現象には心当たりがある。そして、元凶をどうにかしなければ、どうにもならないということも分かっている。だから、私は何事もないかのように装って、扉へと手を伸ばした。
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