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第三章 少女期 女神編
第三百二十三話 辿り着けない真相(セイ視点)
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なぜそこまで確信を持っているのかは分からないものの、その一言に、妖精王達が微かに動揺したのは確かで、一瞬だけ、目が泳ぐのを確認する。
「ねぇ?」
「い、言えない」
「っ、ちょっと!?」
大した理由なんて、あるはずがないと思っていた僕にとって、その言葉は意外だった。金髪の妖精王の発言に緑髪の妖精王が慌てる様子も、ユミリアの発言を真実だと思わせるに足るものだった。
「……混ざりものは、異質だから嫌われるんじゃなかったの?」
ずっと、ずっと、そうだと思ってきた。昔、父親と離れる前の僕は、自分が異質だと知らなくて、幸せで……父親が失踪してから、初めて虐げられるようになった。そうして、僕は、虐げられる理由づけとして、異質な存在を受け入れられないのだろうと結論づけたのだ。
「もしそうなら、妖精王達はセイ達に嫌悪の視線を向けていたはずだよ。でも、実際に向けたのは殺気。しかも、ちょっと焦ってる雰囲気もあった。それはつまり、彼らにとって、セイ達みたいな存在が生きているのは困るってことなんじゃない?」
「ぼく達、何も、してないよ? 妖精王にも、初めて会ったんだよ?」
「そう、だよ。何で、知らない奴らから、敵意を向けられなきゃならない? 僕達が、何をしたって? 異質な存在を受け入れられない以外の理由って、何??」
今まで信じていた、虐げられる理由が否定された。それは、僕達自身に何か原因があるのか、それとも、彼ら自身に何かあるのか、それすらも分からない。ただ、僕が感じるのは、漠然とした怒り。
「「ひっ」」
殺気が漏れて、妖精王達は再びガタガタと震え出す。
「……ねぇ、何で? 何で、僕達は虐げられなきゃならなかったの?」
母親は知らない。父親は、優しかったが、突如としてその姿を消した。それから続く虐待の日々。そのせいで、父親のことを思い出すようになったのも、ユミリアに拾われてからだ。
しかし、今になって思う。僕がこれだけ虐げられてきて、父親には、本当に何もなかったのかと。もしかしたら、父親は、僕を庇い続けてきて、それに限界が来て、亡くなったのではないかと。
今回は、一応加減をした殺気をぶつけて、話すのに支障が出ないようにはしている。ただ、それでも、彼らが話し出す様子はない。
「どうしましょうか? 私が拷問にかけて、口を割らせる手もございますが?」
「おっ、それなら、俺も力を貸すぜ?」
メリーとローランが頼もしい発言をしてくれる。しかし……。
「ま、待って、私達はっ、本当に言えないの!」
「そ、そうだ。だって――」
何かを言おうとした金髪の妖精王は、不自然に口をパクパクとさせて、声を出さない状態になる。
「……拷問は、無駄みたい。彼ら、何か口止めのための魔法か何かを受けてるみたい」
そんなユミリアの言葉に、全員が眉を顰めたのは、仕方ないことだろう。
「ねぇ?」
「い、言えない」
「っ、ちょっと!?」
大した理由なんて、あるはずがないと思っていた僕にとって、その言葉は意外だった。金髪の妖精王の発言に緑髪の妖精王が慌てる様子も、ユミリアの発言を真実だと思わせるに足るものだった。
「……混ざりものは、異質だから嫌われるんじゃなかったの?」
ずっと、ずっと、そうだと思ってきた。昔、父親と離れる前の僕は、自分が異質だと知らなくて、幸せで……父親が失踪してから、初めて虐げられるようになった。そうして、僕は、虐げられる理由づけとして、異質な存在を受け入れられないのだろうと結論づけたのだ。
「もしそうなら、妖精王達はセイ達に嫌悪の視線を向けていたはずだよ。でも、実際に向けたのは殺気。しかも、ちょっと焦ってる雰囲気もあった。それはつまり、彼らにとって、セイ達みたいな存在が生きているのは困るってことなんじゃない?」
「ぼく達、何も、してないよ? 妖精王にも、初めて会ったんだよ?」
「そう、だよ。何で、知らない奴らから、敵意を向けられなきゃならない? 僕達が、何をしたって? 異質な存在を受け入れられない以外の理由って、何??」
今まで信じていた、虐げられる理由が否定された。それは、僕達自身に何か原因があるのか、それとも、彼ら自身に何かあるのか、それすらも分からない。ただ、僕が感じるのは、漠然とした怒り。
「「ひっ」」
殺気が漏れて、妖精王達は再びガタガタと震え出す。
「……ねぇ、何で? 何で、僕達は虐げられなきゃならなかったの?」
母親は知らない。父親は、優しかったが、突如としてその姿を消した。それから続く虐待の日々。そのせいで、父親のことを思い出すようになったのも、ユミリアに拾われてからだ。
しかし、今になって思う。僕がこれだけ虐げられてきて、父親には、本当に何もなかったのかと。もしかしたら、父親は、僕を庇い続けてきて、それに限界が来て、亡くなったのではないかと。
今回は、一応加減をした殺気をぶつけて、話すのに支障が出ないようにはしている。ただ、それでも、彼らが話し出す様子はない。
「どうしましょうか? 私が拷問にかけて、口を割らせる手もございますが?」
「おっ、それなら、俺も力を貸すぜ?」
メリーとローランが頼もしい発言をしてくれる。しかし……。
「ま、待って、私達はっ、本当に言えないの!」
「そ、そうだ。だって――」
何かを言おうとした金髪の妖精王は、不自然に口をパクパクとさせて、声を出さない状態になる。
「……拷問は、無駄みたい。彼ら、何か口止めのための魔法か何かを受けてるみたい」
そんなユミリアの言葉に、全員が眉を顰めたのは、仕方ないことだろう。
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