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第三章 少女期 女神編
第三百二十二話 混ざりもの(セイ視点)
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話が進まないからということで、とりあえず、僕達は妖精王に認められるために、神界に殴り込みをかけるためにここに訪れたのだと説明すると、妖精王達はブルリと震え上がり、認めるから、さっさと立ち去ってくれと懇願してきた。
「ダメ。まだ、聞きたいことがあるから」
用事は終わったと思ったものの、ユミリアはまだ、何かあるらしい。
「他の妖精王や精霊王の居場所に関する情報と……なぜ、セイ達を嫌うのかを教えて」
真剣な表情で、震える妖精王達へ問いかけるユミリア。最初の内容は、納得できるものだった。ただ、次の内容は、聞いてどうするのだろうと思わざるを得ない。
「ほ、他の奴の場所は、知らないよっ」
「わ、私達はっ、ここ以外、知らないっ」
「……そう、じゃあ、もう一つの質問の答えは?」
怯えながら答える妖精王達へ、ユミリアは淡々と問いただす。
「ユミリア、そんなの、聞く必要ないと思うけど?」
僕達は、混ざりもの。別々の属性の妖精、もしくは、別種族同士での交配の結果、生まれた忌むべき存在。
『わーいっ、あたったぁっ!』
『まざりものっ、まとあてげーむっ』
石を投げられることは、数え切れないほど。追いかけ回されて、何度も何度も、動けなくなるまで追い詰められるのは、いつものこと。
『あれー? なんで、こんなところにまざりものが?』
『まざりものは、おもちゃなんだよねー』
知能の低い最下級の妖精。そんな彼らにすら虐げられるほどに弱かった僕。必死に、居場所を見つけようと逃げ回るものの、中々外に出るだけの力は持てなくて、まともに食事もできなくて、どんどん弱る一方だった僕。
『あ……ここ、なら……』
長い、長い虐待の日々。何度も死にかけて、何度も泣き叫んで、涙も涸れた頃、僕は、妖精の森に辿り着いた。自然豊かで、濃厚な魔力に満ちたその場所であれば、食事に困ることはない。もちろん、他の妖精達からは虐げられるだろうが、力をつければどこかに篭もることだって可能だろう。そう考えて、初めて辿り着いた泉を拠点として生活を始めた僕。なぜか、他の妖精達は、泉に近寄ろうとしなかったため、思いの外、快適に生活を続けて、力を蓄えてきた。ただ、それでも、他の妖精に比べればひ弱で、虐げられる環境から抜け出すことはできなかった。
「混ざりもの。ただそれだけが、僕達の虐げられる理由だよ」
そこに深い意味などない。ただただ、異質な存在だから虐めたというだけのこと。しかし……。
「セイはこう言うけど、実際は違うよね」
ユミリアは、妙に確信を持った様子で、そう告げていた。
「ダメ。まだ、聞きたいことがあるから」
用事は終わったと思ったものの、ユミリアはまだ、何かあるらしい。
「他の妖精王や精霊王の居場所に関する情報と……なぜ、セイ達を嫌うのかを教えて」
真剣な表情で、震える妖精王達へ問いかけるユミリア。最初の内容は、納得できるものだった。ただ、次の内容は、聞いてどうするのだろうと思わざるを得ない。
「ほ、他の奴の場所は、知らないよっ」
「わ、私達はっ、ここ以外、知らないっ」
「……そう、じゃあ、もう一つの質問の答えは?」
怯えながら答える妖精王達へ、ユミリアは淡々と問いただす。
「ユミリア、そんなの、聞く必要ないと思うけど?」
僕達は、混ざりもの。別々の属性の妖精、もしくは、別種族同士での交配の結果、生まれた忌むべき存在。
『わーいっ、あたったぁっ!』
『まざりものっ、まとあてげーむっ』
石を投げられることは、数え切れないほど。追いかけ回されて、何度も何度も、動けなくなるまで追い詰められるのは、いつものこと。
『あれー? なんで、こんなところにまざりものが?』
『まざりものは、おもちゃなんだよねー』
知能の低い最下級の妖精。そんな彼らにすら虐げられるほどに弱かった僕。必死に、居場所を見つけようと逃げ回るものの、中々外に出るだけの力は持てなくて、まともに食事もできなくて、どんどん弱る一方だった僕。
『あ……ここ、なら……』
長い、長い虐待の日々。何度も死にかけて、何度も泣き叫んで、涙も涸れた頃、僕は、妖精の森に辿り着いた。自然豊かで、濃厚な魔力に満ちたその場所であれば、食事に困ることはない。もちろん、他の妖精達からは虐げられるだろうが、力をつければどこかに篭もることだって可能だろう。そう考えて、初めて辿り着いた泉を拠点として生活を始めた僕。なぜか、他の妖精達は、泉に近寄ろうとしなかったため、思いの外、快適に生活を続けて、力を蓄えてきた。ただ、それでも、他の妖精に比べればひ弱で、虐げられる環境から抜け出すことはできなかった。
「混ざりもの。ただそれだけが、僕達の虐げられる理由だよ」
そこに深い意味などない。ただただ、異質な存在だから虐めたというだけのこと。しかし……。
「セイはこう言うけど、実際は違うよね」
ユミリアは、妙に確信を持った様子で、そう告げていた。
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