悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌

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第二章 少女期 瘴気編

第三百十話 一件落着と新たな問題

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「ローラン、大丈夫?」

「は、はひひょうふひゃひゃいへふ(だ、大丈夫じゃないです)」


 私が作る気付け薬の中でも、一番強力で、一番副作用が少ないものを選んで、ローランに飲ませたものの、当のローランは、虚ろな目で未だにビクッと痙攣を続けている。


「ユ、ユミリア? これって、どういう状況……?」

「みゅう? えっと……この気付け薬の副作用は、口の中がからくなって一週間くらいは味覚が戻らなくなるのと、その記憶が時々フラッシュバックする現象が一月くらい続くだけ、なんだけど……」


 効果を強くしようと思えば、どうしても、副作用は出てくる。ただ、これは命に関わるものではないため、副作用としては弱い方だ。


「……ローラン、頑張って」


 そんなセイの慰めの言葉にも、まともに反応できないローランの姿を眺めながら、私は、さらに重症な元邪神であり、現在、竜神様と呼べる状態になった彼を見る。


「ぁ……おぉ…………」


 竜神様に対して使ったのは、ローランに使ったのと同じ気付け薬。ただし、ちょっとした意趣返しで、多少、感覚が鋭敏になるような魔法も一時的に使ったせいか、彼は、私達の声に反応することもできない。


「……何はともあれ、一件落着?」


 もうしばらくすれば、家族もアルテナ家へと帰ってくる。ギリアのための薬も完成して、先に渡してあるため、それも問題ない。魔王もミルラスも無事、イルト様は、ちょっとまだ話し合いをしなければならないが、他の人達も、だいたい無事が確認されてきている。


「ミーシャ、大丈夫かなぁ?」


 まだ分からないのは、アルト様とミーシャの二人。……いや、ミーシャの護衛である二体の竜もいるが、とにかく、そのメンバーのみ。
 窓の外を見つめて、ミーシャの様子を案じるセイの姿に、きっと大丈夫だと声をかけかけて……。


「ユミリア! 兄さんが、帰ってきたっ!!」


 どこか、切羽詰まったイルト様の声が、我がアルテナ家に響く。


「ミーシャ嬢が、大変なことにっ!」


 何かあったのかと、誰も口を挟まなかった結果、もたらされたのは、ミーシャの身に何かあったという情報。


「っ!?」


 それを聞いた瞬間、セイは一気に駆け出す。普段、室内で暴れるようなことのないセイが、この時ばかりは、力の制限すらできず、扉を破壊する勢いで、アルト様の魔力が感じられる場所へと駆ける。


「イルト様、状況を、教えてください」


 このままでは、アルト様が危険かもしれないが、何も知らずにセイを止めるのは難しい。私は、早口で、状況の説明を求めた。
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