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第二章 少女期 瘴気編
第二百九十八話 竜神の事情3
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「これは、あくまでも仮説ではあるのですが」
そう前置きをして話した邪神の言葉に、私達は、呆気にとられることとなる。
「恐らくは、私の力の一端が、過去の世界へと飛び、それが、魔王へ力を授けるきっかけになったのでしょう。……ふむ、そうなると、その魔王は、ローランにどこか似ていたのではないでしょうか?」
ローランに似た魔王、というのは、一応、心当たりがないわけではない。それは、今の魔王にも共通するところではあるものの、特に、ローランが戦った魔王とのエピソードで、一番、引っかかるところでもあった。
「黒目、黒髪……」
呟いたのは、いったい誰だったか。しかし、そんなことはどうでも良いのだ。問題なのは、この邪神が、自分のせいでローランが迫害されたと知ったら、どんな行動に出るのか分からないということだ。魔王が黒目黒髪だったせいで、ローランは次の魔王になると言われ、迫害された。そんな過去があったからこそ、このリーリス国で、黒目黒髪は忌み子として扱われてきた。
悲しい歴史の起点が、まさか、自分にあると思ってもみなかったローランは、少しショックを受けているようだったが、きっと、ローランなら大丈夫だろう。
「ところで、さ。竜神様って、堕ちた神、ではあるんだよね? それって、大丈夫なの?」
早急に、話題を変える必要があると考えたのは私だけではなかったらしく、セイがそんな発言をする。
「大丈夫、とは言えませんね。恐らく、私はこのまま、もうしばらく経てば、消えることとなるでしょう。それが、一度堕ちてしまった神の末路です」
淡々と、他人事のように告げる邪神に、声をあげたのは、当然ながら、ローランだった。
「っ、何で! 竜神様が消えなきゃならねぇんだっ!! 竜神様は、俺を守ろうと、救おうとしてくれたんだろっ! なのにっ、何でっ」
ローランは、もちろん理解している。この邪神が行ったことが許されることではないということを。それでも、感情までがついてくるわけではない。きっと、ローランにとって、『竜神様』はとても、とても大切な人なのだから……。
「すみません、ローラン。私は「仕組み」はい?」
何かを言いかけた邪神を遮って、私は、質問をする。
「どうして、堕ちたら消えることになるのか、その仕組みを、詳細に説明して」
「は? えっ、いや、説明、と言われましても」
「説明、して?」
そう言って、チラリと、またガタガタうるさく鳴り始めた箱へ視線を移せば、邪神は、真っ青になって、説明を始めた。
そう前置きをして話した邪神の言葉に、私達は、呆気にとられることとなる。
「恐らくは、私の力の一端が、過去の世界へと飛び、それが、魔王へ力を授けるきっかけになったのでしょう。……ふむ、そうなると、その魔王は、ローランにどこか似ていたのではないでしょうか?」
ローランに似た魔王、というのは、一応、心当たりがないわけではない。それは、今の魔王にも共通するところではあるものの、特に、ローランが戦った魔王とのエピソードで、一番、引っかかるところでもあった。
「黒目、黒髪……」
呟いたのは、いったい誰だったか。しかし、そんなことはどうでも良いのだ。問題なのは、この邪神が、自分のせいでローランが迫害されたと知ったら、どんな行動に出るのか分からないということだ。魔王が黒目黒髪だったせいで、ローランは次の魔王になると言われ、迫害された。そんな過去があったからこそ、このリーリス国で、黒目黒髪は忌み子として扱われてきた。
悲しい歴史の起点が、まさか、自分にあると思ってもみなかったローランは、少しショックを受けているようだったが、きっと、ローランなら大丈夫だろう。
「ところで、さ。竜神様って、堕ちた神、ではあるんだよね? それって、大丈夫なの?」
早急に、話題を変える必要があると考えたのは私だけではなかったらしく、セイがそんな発言をする。
「大丈夫、とは言えませんね。恐らく、私はこのまま、もうしばらく経てば、消えることとなるでしょう。それが、一度堕ちてしまった神の末路です」
淡々と、他人事のように告げる邪神に、声をあげたのは、当然ながら、ローランだった。
「っ、何で! 竜神様が消えなきゃならねぇんだっ!! 竜神様は、俺を守ろうと、救おうとしてくれたんだろっ! なのにっ、何でっ」
ローランは、もちろん理解している。この邪神が行ったことが許されることではないということを。それでも、感情までがついてくるわけではない。きっと、ローランにとって、『竜神様』はとても、とても大切な人なのだから……。
「すみません、ローラン。私は「仕組み」はい?」
何かを言いかけた邪神を遮って、私は、質問をする。
「どうして、堕ちたら消えることになるのか、その仕組みを、詳細に説明して」
「は? えっ、いや、説明、と言われましても」
「説明、して?」
そう言って、チラリと、またガタガタうるさく鳴り始めた箱へ視線を移せば、邪神は、真っ青になって、説明を始めた。
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