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第二章 少女期 瘴気編
第二百八十五話 恐怖な敵(ローラン視点)
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戻るといっても、まずは、あの瘴気を何とかしなければならない。そうでなければ、もし、あれに呑まれれば、俺達の意識がどうなるか、分かったものではない。しかし、そう告げる俺のことを予想していたのか、セイは、明確な解決策を用意していた。
「これは、エイリ……とある人物にいただいた、魔導具で、これを身につけている限り、瘴気の影響は受けないらしいよ」
セイが取り出したのは、ピンクの両翼がハートの形を描くペンダント。一瞬、その存在に禍々しいものを感じた気がしたものの、そういった道具はとてもありがたい。セイから手渡された瞬間、何か、ゾクリとしたものを感じたものの、魔法のエキスパートであるセイが渡してきたものなのだから、問題はないはずだと言い聞かせて、首にかける。
「あ、あのっ、僕、やっぱり、一緒に行った方が良いのではないかと思うんですっ」
ディランには待機と言い渡したにもかかわらず、彼は、なぜかそう主張する。
「……正直、ディランが一緒でも、何も変わらないと思うんだけど?」
「そ、そうかも、しれません。ですが、僕は、一度、敵に目をつけられています。だから、その……僕が一緒なら、敵にすぐ、見つけられるんじゃないかと……」
確かに、俺達は敵に見つかることも目的である。見つかって、どうなるかは分からないが、とにかく、それがなければ始まらない。ただ……。
「そうなれば、お前は、一時的に囮役をしてもらわなきゃならねぇぞ?」
そう、すぐに見つかってしまうのは、こちらとしても本意ではない。俺達の目的は、ユミリア様を助けることだ。だから、せめて、そこまでは行かなければならない。
「分かっています。僕が、敵の目を引き付けて、その間に、ユミリア様の元へ向かってください。それから、僕もそちらに合流します」
それは、あまりにも危険な行為だ。もちろん、そうしてもらえれば、俺達はユミリア様の元に向かえるかもしれないが、それで、ディランが無事でいられるとは思えない。
「お前、それは……」
「変わらないよ。それでも。そもそも……恐らくは、ローランが敵の探知範囲に入ってしまえば、ディランのことなんてそっちのけで、ローランのところに来るらしいし」
「はっ? ちょっ、何だそれ!?」
「ローラン、もてもて……?」
「ローラン、気を強く持って」
コウの言葉が怪しいとか、セイが目を逸らしながら励ましてきているとか、それらの現象よりも、俺の存在をソイツが探知した瞬間、こちらへ向かってくるだろうという予測が恐ろしかった。
「えっと…………す、すみません」
「頼むから、謝らないでくれっ」
今から向かう場所の危険性を改めて認識したところで、俺達は、ある程度動けるようになったディランをユミリア様の両親の元へ送り届け、すくみそうになる足を動かし、リーリス国へ向かった。
「これは、エイリ……とある人物にいただいた、魔導具で、これを身につけている限り、瘴気の影響は受けないらしいよ」
セイが取り出したのは、ピンクの両翼がハートの形を描くペンダント。一瞬、その存在に禍々しいものを感じた気がしたものの、そういった道具はとてもありがたい。セイから手渡された瞬間、何か、ゾクリとしたものを感じたものの、魔法のエキスパートであるセイが渡してきたものなのだから、問題はないはずだと言い聞かせて、首にかける。
「あ、あのっ、僕、やっぱり、一緒に行った方が良いのではないかと思うんですっ」
ディランには待機と言い渡したにもかかわらず、彼は、なぜかそう主張する。
「……正直、ディランが一緒でも、何も変わらないと思うんだけど?」
「そ、そうかも、しれません。ですが、僕は、一度、敵に目をつけられています。だから、その……僕が一緒なら、敵にすぐ、見つけられるんじゃないかと……」
確かに、俺達は敵に見つかることも目的である。見つかって、どうなるかは分からないが、とにかく、それがなければ始まらない。ただ……。
「そうなれば、お前は、一時的に囮役をしてもらわなきゃならねぇぞ?」
そう、すぐに見つかってしまうのは、こちらとしても本意ではない。俺達の目的は、ユミリア様を助けることだ。だから、せめて、そこまでは行かなければならない。
「分かっています。僕が、敵の目を引き付けて、その間に、ユミリア様の元へ向かってください。それから、僕もそちらに合流します」
それは、あまりにも危険な行為だ。もちろん、そうしてもらえれば、俺達はユミリア様の元に向かえるかもしれないが、それで、ディランが無事でいられるとは思えない。
「お前、それは……」
「変わらないよ。それでも。そもそも……恐らくは、ローランが敵の探知範囲に入ってしまえば、ディランのことなんてそっちのけで、ローランのところに来るらしいし」
「はっ? ちょっ、何だそれ!?」
「ローラン、もてもて……?」
「ローラン、気を強く持って」
コウの言葉が怪しいとか、セイが目を逸らしながら励ましてきているとか、それらの現象よりも、俺の存在をソイツが探知した瞬間、こちらへ向かってくるだろうという予測が恐ろしかった。
「えっと…………す、すみません」
「頼むから、謝らないでくれっ」
今から向かう場所の危険性を改めて認識したところで、俺達は、ある程度動けるようになったディランをユミリア様の両親の元へ送り届け、すくみそうになる足を動かし、リーリス国へ向かった。
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