悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌

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第二章 少女期 瘴気編

第二百六十八話 スペースドラゴンの最後

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 スペースドラゴンの元に辿り着いた私達は……とりあえず、私を見た瞬間に失神したスペースドラゴンの耳元へと近づいてみる。


「意識を失ってるなら、ちょっと、素材集めをしても良いかなぁ?」

「キュッ、キュオォォォオンッ!!?」


 こそっと耳打ちをすれば、意識を失っていたはずのスペースドラゴンは、盛大な叫び声をあげて目を覚ます。


「おはようございます。スペースドラゴンさん?」

「キュッ……」


 そして、私を見たスペースドラゴンは、ビクゥっと体を震わせた後、ガタガタと、地面が揺れるくらいに震え出す。


「怯えなくて良いですよ? もう、用事は終わったので、帰る挨拶に来ただけですから」

「キュッ!?」


 そう言えば、スペースドラゴンは、希望の光を見つけたかのように、目をキラキラとさせる。


「では、失礼しますね? また、素材が必要になれば、獲りにきますから」


 と、そう言った途端。


「キュッ、キュウゥゥゥウンッ!!」


 悲痛な叫びが、辺り一帯に響き渡る。


「お、お姉様。ちょっと、待ってください。えっと……また、獲りにくる予定が……?」

「みゅ? もちろんっ。だって、素材集めってそんなものでしょう?」

「……ちょっとだけ、スペースドラゴンと話す時間をもらえませんか?」

「みゅ? 構わないけど……」

「できれば、一対一で」

「……分かった。なら、ちょっと待っててね?」


 ミーシャの言葉に、私は、目の前でうちひしがれるスペースドラゴンの耳元へと移動する。


「ねぇ、スペースドラゴン? ミーシャが話したいって言うから、今からミーシャと二人っきりにするけど……ミーシャに何かしたら、死ぬより辛い目に遇わせるからね?」


 最後の言葉だけは、スペースドラゴンにだけ聞こえるように囁く。ちゃんと、ビクゥっと反応して、ブンブンと長い首を縦に振っていたため、問題はないだろう。


「じゃあ、ちょっとだけ、スペースドラゴンと話してきて良いよ。私達は、外で待ってるから」

「はいっ、ありがとうございますっ」


 素直にお礼を言うミーシャに微笑んで、私は、イルト様やメリーを促して外に出る。

 それから、数分後、小さな黒いドラゴンを伴ったミーシャが出てくることになるのだが、その時の私は、何も知らなかった。
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