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第二章 少女期 瘴気編
第二百四十一話 優先すべきこと
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「……ま、お姉様っ!」
「はっ、ごめん、トリップしてた」
素材の宝庫を目の前にして、私の中では何を作ろうかという妄想が爆走しており、ミーシャの何度目かの呼びかけで、ようやく現実へと帰ってくる。
「お姉様、何か良いものがありましたか?」
私がようやく反応を返したことに、ものすごく安心したという表情を浮かべたミーシャは、軽く、そんなことを尋ねてくる。
「良いものなんてものじゃないよっ! 何これっ、ドラゴン系の素材は全部揃ってるから、ドラゴン系装備の最強装備が作れるしっ、マメッポキノコとかシーチーズとかっ、滅茶苦茶レアな食材もあるしっ、世界樹の枝とか、葉っぱとかっ、建築にも薬にも使えるレア素材もあるっ。それに、それにっ、むぐっ」
「ちょーっと待ってくださいっ。お姉様! その話、どのくらい続きます?」
「むご? むー……むっ!」
私は、指を一本だけ立てて、ミーシャへと示す。
「……一時間も付き合ってられません。ギリア君のことがあるんですよ?」
「むぅ……」
一時間ではなく、一日というつもりだったのだが、ミーシャには伝わらなかった。
「終わったら、いくらでも話を聞いてあげますから、今は、ギリア君のことを考えてください」
言質は取った。しかし、ミーシャが言うように、ギリアという私の弟のことも心配であるため、とりあえず、未完成品について書かれた資料をストレージの中から探し出す。
(うん、さすが私。ちゃんと日本語で書いてるっ)
この世界の言葉がどんなものかは分からないが、日本人の感性がこもった文字表記は私にゲームでの記憶を鮮やかに蘇らせてくれる。
「多分、これ、かな?」
話を聞く限り、どうやら、私は本来、イルト王子のためにこの薬を作ろうとしていたらしい。しかし、材料が足りなかったのか、それとも他に効率の良い方法でも見つけたのか、結局、この薬が完成することはなかった。
「『成長薬』……そのままですね」
「うん、まぁ、その方が分かりやすいでしょう? とりあえず、ちょっと読んでみるから、待ってて」
「私も一緒に読むのはダメですか?」
出した資料の表紙には、『成長薬作成過程及び効能の検証』と書かれている。それだけを見るなら、何かの論文っぽくて、多少難しくとも読めないことはないと思えてしまう。しかし……。
「……多分、読めないと思うよ?」
そう言って、証拠とばかりにミーシャへそれを手渡す。そして、ペラリと一ページ、二ページと捲り、パラパラと他のページを見てから、ミーシャはそれを私に返してくれる。
「ごめんなさい。私、暗号の解読はできません」
「うん、大丈夫。分かってるから」
生産ゲームの攻略情報を書くとき、私はかなりの部分を省いたり飛ばしたりして、ほとんど単語の羅列状態にしてしまう。しかし、私ならば、それを見て、私自身がどういう考えを持って、どんなことを試したのかを理解できてしまう。だから、ミーシャが読めないと諦めたのは、当然のことだ。暗号ならば解読すれば何とかなるかもしれないが、私のこの文章は、私とそっくりそのままの思考能力を持つ人物でない限り意味不明な代物となる。
これまでのことをイルト王子達に説明するからと断りを入れたミーシャに、私はうなずいて、大人しく資料へと目を向けた。
「はっ、ごめん、トリップしてた」
素材の宝庫を目の前にして、私の中では何を作ろうかという妄想が爆走しており、ミーシャの何度目かの呼びかけで、ようやく現実へと帰ってくる。
「お姉様、何か良いものがありましたか?」
私がようやく反応を返したことに、ものすごく安心したという表情を浮かべたミーシャは、軽く、そんなことを尋ねてくる。
「良いものなんてものじゃないよっ! 何これっ、ドラゴン系の素材は全部揃ってるから、ドラゴン系装備の最強装備が作れるしっ、マメッポキノコとかシーチーズとかっ、滅茶苦茶レアな食材もあるしっ、世界樹の枝とか、葉っぱとかっ、建築にも薬にも使えるレア素材もあるっ。それに、それにっ、むぐっ」
「ちょーっと待ってくださいっ。お姉様! その話、どのくらい続きます?」
「むご? むー……むっ!」
私は、指を一本だけ立てて、ミーシャへと示す。
「……一時間も付き合ってられません。ギリア君のことがあるんですよ?」
「むぅ……」
一時間ではなく、一日というつもりだったのだが、ミーシャには伝わらなかった。
「終わったら、いくらでも話を聞いてあげますから、今は、ギリア君のことを考えてください」
言質は取った。しかし、ミーシャが言うように、ギリアという私の弟のことも心配であるため、とりあえず、未完成品について書かれた資料をストレージの中から探し出す。
(うん、さすが私。ちゃんと日本語で書いてるっ)
この世界の言葉がどんなものかは分からないが、日本人の感性がこもった文字表記は私にゲームでの記憶を鮮やかに蘇らせてくれる。
「多分、これ、かな?」
話を聞く限り、どうやら、私は本来、イルト王子のためにこの薬を作ろうとしていたらしい。しかし、材料が足りなかったのか、それとも他に効率の良い方法でも見つけたのか、結局、この薬が完成することはなかった。
「『成長薬』……そのままですね」
「うん、まぁ、その方が分かりやすいでしょう? とりあえず、ちょっと読んでみるから、待ってて」
「私も一緒に読むのはダメですか?」
出した資料の表紙には、『成長薬作成過程及び効能の検証』と書かれている。それだけを見るなら、何かの論文っぽくて、多少難しくとも読めないことはないと思えてしまう。しかし……。
「……多分、読めないと思うよ?」
そう言って、証拠とばかりにミーシャへそれを手渡す。そして、ペラリと一ページ、二ページと捲り、パラパラと他のページを見てから、ミーシャはそれを私に返してくれる。
「ごめんなさい。私、暗号の解読はできません」
「うん、大丈夫。分かってるから」
生産ゲームの攻略情報を書くとき、私はかなりの部分を省いたり飛ばしたりして、ほとんど単語の羅列状態にしてしまう。しかし、私ならば、それを見て、私自身がどういう考えを持って、どんなことを試したのかを理解できてしまう。だから、ミーシャが読めないと諦めたのは、当然のことだ。暗号ならば解読すれば何とかなるかもしれないが、私のこの文章は、私とそっくりそのままの思考能力を持つ人物でない限り意味不明な代物となる。
これまでのことをイルト王子達に説明するからと断りを入れたミーシャに、私はうなずいて、大人しく資料へと目を向けた。
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