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第二章 少女期 瘴気編
第二百二十七話 新人信者
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イルト様に連れられた先は、貴族達のパーティーに使う大きな会場ではなく、小さなホームパーティーができるように作られた広間だった。そして、そこに入った瞬間……。
「おめでとうっ、ユミリア!」
お父様の嬉しそうな声が響き渡った。
会場に居たのは、私の家族と、王族の方々、攻略対象者とその家族、それと、ミーシャ……だけが、本来の予定だったらしいのだが、それに加えて、宰相様やら、どこぞの侯爵から男爵までの地位のある方々などが集まっていた。
「……兄さん、これは、どういうこと?」
それぞれに誕生日を祝う言葉を受け、特に面識がないはずの貴族達からはなぜか崇拝するような視線を向けられ、前者はともかく、後者は居心地が悪いと感じながらも、美味しい料理を頬張っていると、近くに寄ってきたアルト様に、イルト様が質問していた。
(あぁ、やっぱり、あの方達の参加は予定してなかったんだ)
あの崇拝するような視線さえなければ、別にどうということはないと思いながらも、食事の手を止めてアルト様へと視線を移す。
「うん、それなんだが……その、彼らは、ユミリア嬢の信者なんだ」
「…………みゅ?」
今、何か物凄く奇妙な単語が聞こえた気がする。
「……あぁ、あれか」
「ユミリア嬢には苦労をかけるけど、害はないから大丈夫だろう」
スッと目を細めるイルト様と、どこか遠い目をするアルト様。しかし、そこで納得されて話を進められても、私には何が何だか分からない。
「お姉様、こちらのお肉、とっても柔らかくて美味しいですよっ」
「おう、楽しんでるか? ユミリア嬢!」
いったいどういうことなのか問いただそうとしたところで、ミーシャとハイルがやってきたため、そちらへと振り向く。
「ありがとう。ミーシャ。それと、しっかり楽しんでるよ」
美味しそうなローストビーフのお皿を受け取りながら、ハイルへと応えて、ふと、この二人は彼らのことを知らないだろうかと考えて質問してみる。
「ところで、あちらに居られる方々について、私は何も知らないのだけど、二人は何か知ってる?」
「あぁ、あちらの方々は、新人ではありますが、そこそこの地位やら能力やらを持っていますので、アルト様と一緒にお願いして、この場に来ていただいたんです」
ニコニコと笑みを浮かべるミーシャ。その様子に、なぜか寒気がしたものの、ここでしっかり聞いておかなければならないような、聞かない方が良いような、何とも言えない感覚に襲われて、どう言葉を紡ぐべきか悩む。
「ま、言ってみりゃ。あそこに居る連中は、ユミリア嬢に救われて、ユミリア嬢を信仰するようになった信者だなっ!」
「みゅ!?」
私の悩みなど関係ないとばかりに、結論を出したハイル。そして、その言葉に私は目を剥いて『どういうこと!?』と内心で叫ぶのだった。
「おめでとうっ、ユミリア!」
お父様の嬉しそうな声が響き渡った。
会場に居たのは、私の家族と、王族の方々、攻略対象者とその家族、それと、ミーシャ……だけが、本来の予定だったらしいのだが、それに加えて、宰相様やら、どこぞの侯爵から男爵までの地位のある方々などが集まっていた。
「……兄さん、これは、どういうこと?」
それぞれに誕生日を祝う言葉を受け、特に面識がないはずの貴族達からはなぜか崇拝するような視線を向けられ、前者はともかく、後者は居心地が悪いと感じながらも、美味しい料理を頬張っていると、近くに寄ってきたアルト様に、イルト様が質問していた。
(あぁ、やっぱり、あの方達の参加は予定してなかったんだ)
あの崇拝するような視線さえなければ、別にどうということはないと思いながらも、食事の手を止めてアルト様へと視線を移す。
「うん、それなんだが……その、彼らは、ユミリア嬢の信者なんだ」
「…………みゅ?」
今、何か物凄く奇妙な単語が聞こえた気がする。
「……あぁ、あれか」
「ユミリア嬢には苦労をかけるけど、害はないから大丈夫だろう」
スッと目を細めるイルト様と、どこか遠い目をするアルト様。しかし、そこで納得されて話を進められても、私には何が何だか分からない。
「お姉様、こちらのお肉、とっても柔らかくて美味しいですよっ」
「おう、楽しんでるか? ユミリア嬢!」
いったいどういうことなのか問いただそうとしたところで、ミーシャとハイルがやってきたため、そちらへと振り向く。
「ありがとう。ミーシャ。それと、しっかり楽しんでるよ」
美味しそうなローストビーフのお皿を受け取りながら、ハイルへと応えて、ふと、この二人は彼らのことを知らないだろうかと考えて質問してみる。
「ところで、あちらに居られる方々について、私は何も知らないのだけど、二人は何か知ってる?」
「あぁ、あちらの方々は、新人ではありますが、そこそこの地位やら能力やらを持っていますので、アルト様と一緒にお願いして、この場に来ていただいたんです」
ニコニコと笑みを浮かべるミーシャ。その様子に、なぜか寒気がしたものの、ここでしっかり聞いておかなければならないような、聞かない方が良いような、何とも言えない感覚に襲われて、どう言葉を紡ぐべきか悩む。
「ま、言ってみりゃ。あそこに居る連中は、ユミリア嬢に救われて、ユミリア嬢を信仰するようになった信者だなっ!」
「みゅ!?」
私の悩みなど関係ないとばかりに、結論を出したハイル。そして、その言葉に私は目を剥いて『どういうこと!?』と内心で叫ぶのだった。
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