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第二章 少女期 瘴気編
第二百七話 クリスタルロード攻略18(ミーシャ視点)
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膝を強く打ち付けたせいか、立ち上がることができないままに、私は欺王と偽牙が目の前まで来るのを見ることしかできない。
(ま、ずい……)
欺王も偽牙も、人を弄ぶことが大好きな鬼だ。赤鬼の欺王は、顔に対して大きなギョロリとした目を持っており、その口は裂けているのかと思うほどに横に長い。青鬼の偽牙は、細く鋭い目を持ち、口は欺王と似たり寄ったりの長さだ。そして、そいつらは、私が動けないことを理解したようで、私の前でしゃがみ込むと、ニタァァァアッと笑う。
「ひっ……ぁ……」
おぞましく、邪悪なその笑みに、全身が総毛立ち、震えが止まらなくなる。
「っ、娘! おいっ、貴様ら! 我の加護者に指一本でも触れてみよっ! 何がなんでも、八つ裂きにしてやるからなっ!!」
マルディックが、私の前に立って吼えてくれてはいるものの、私の頭の中は恐怖で満たされていた。
《ほぅっ? 面白いっ。兄者、このトカゲはおいらがもらっても良いか? トカゲには痛覚とかなかったかもしれないから、色々薬液を注射して、痛みに悶えられるようにしたいんだっ》
《ふむふむ、では、俺はこの子供か? クククッ、どうしてやるのが良いか? 獣どもの中に放り込んで、少しずつ喰われる様子を見るのも面白そうだなぁ?》
欺王と偽牙は、ただの魔物ではない。知性を持ち、言葉を解する魔物だ。だから、そんな風に話しかけられるのも想定内ではあったものの、予想通りの残虐性に、今すぐ逃げ出したい気持ちに駆られる。
しかし、どうやら足は動いてくれない。痛みを我慢しながらも必死になるが、きっと、骨折したのだろうということは、頭の片隅で理解していた。
《あっ、でも、おいらにもちょっと味見させてよ? 腕一本で良いからさぁ?》
《まぁ待て、ショック死できないように処置を施してからだ》
「やっ、いやぁっ!!」
怖くて怖くて、悲鳴がもれる。しかし、この場に、助けてくれるような人は居ない。いや、助けられる人が居ない。
(私、こんなところで、死ぬの?)
それも、恐らくは人としての尊厳も奪われて、最悪の形で最期を迎えることになる。その予想だけで、私は発狂しそうなほどの恐怖に襲われて……。
「黙って聞いておれば、勝手なことをっ!」
その瞬間、鮮烈な魔力がマルディックの体に満ちたかと思えば……なぜか、ダンジョン全体が様々な色に輝き出す。
「我が、加護者をみすみす殺させるわけがなかろう?」
ドスの効いた声で睨むマルディックに、欺王と偽牙は、マルディックが纏う魔力とダンジョンの異常も相俟って狼狽える。
「さぁ、覚悟は良いか?」
そして、マルディックは……最強の種族の竜は、牙を剥いた。
(ま、ずい……)
欺王も偽牙も、人を弄ぶことが大好きな鬼だ。赤鬼の欺王は、顔に対して大きなギョロリとした目を持っており、その口は裂けているのかと思うほどに横に長い。青鬼の偽牙は、細く鋭い目を持ち、口は欺王と似たり寄ったりの長さだ。そして、そいつらは、私が動けないことを理解したようで、私の前でしゃがみ込むと、ニタァァァアッと笑う。
「ひっ……ぁ……」
おぞましく、邪悪なその笑みに、全身が総毛立ち、震えが止まらなくなる。
「っ、娘! おいっ、貴様ら! 我の加護者に指一本でも触れてみよっ! 何がなんでも、八つ裂きにしてやるからなっ!!」
マルディックが、私の前に立って吼えてくれてはいるものの、私の頭の中は恐怖で満たされていた。
《ほぅっ? 面白いっ。兄者、このトカゲはおいらがもらっても良いか? トカゲには痛覚とかなかったかもしれないから、色々薬液を注射して、痛みに悶えられるようにしたいんだっ》
《ふむふむ、では、俺はこの子供か? クククッ、どうしてやるのが良いか? 獣どもの中に放り込んで、少しずつ喰われる様子を見るのも面白そうだなぁ?》
欺王と偽牙は、ただの魔物ではない。知性を持ち、言葉を解する魔物だ。だから、そんな風に話しかけられるのも想定内ではあったものの、予想通りの残虐性に、今すぐ逃げ出したい気持ちに駆られる。
しかし、どうやら足は動いてくれない。痛みを我慢しながらも必死になるが、きっと、骨折したのだろうということは、頭の片隅で理解していた。
《あっ、でも、おいらにもちょっと味見させてよ? 腕一本で良いからさぁ?》
《まぁ待て、ショック死できないように処置を施してからだ》
「やっ、いやぁっ!!」
怖くて怖くて、悲鳴がもれる。しかし、この場に、助けてくれるような人は居ない。いや、助けられる人が居ない。
(私、こんなところで、死ぬの?)
それも、恐らくは人としての尊厳も奪われて、最悪の形で最期を迎えることになる。その予想だけで、私は発狂しそうなほどの恐怖に襲われて……。
「黙って聞いておれば、勝手なことをっ!」
その瞬間、鮮烈な魔力がマルディックの体に満ちたかと思えば……なぜか、ダンジョン全体が様々な色に輝き出す。
「我が、加護者をみすみす殺させるわけがなかろう?」
ドスの効いた声で睨むマルディックに、欺王と偽牙は、マルディックが纏う魔力とダンジョンの異常も相俟って狼狽える。
「さぁ、覚悟は良いか?」
そして、マルディックは……最強の種族の竜は、牙を剥いた。
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