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第二章 少女期 瘴気編
第二百六話 クリスタルロード攻略17(ミーシャ視点)
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ズシンズシンと、巨大な二つの影が、大股でゆっくりと歩く。それに対して……私は、必死に足を動かして、そいつらから逃げようとしていた。
欺きの王と書いて、欺王という名を持つ赤鬼と、偽りの牙と書いて偽牙という名を持つ青鬼。彼らは、ここ、クリスタルロードにおける最強の番人であり、最悪の鬼。獲物をなぶることを快楽とする彼らは、本来、クリスタルロード最深部にある最後の扉に触れなければ動き出すことはない。あまりにも悪行の限りを尽くす二体の鬼に、神々が怒ってここに閉じ込めたのだと言われているが、それならば完全に動かないように封じていてほしかったと思うのは私だけではないだろう。
「ぐっ、またっ」
欺王と偽牙は、私をいつでも仕留めることができる。しかし、奴らは人の絶望した顔が何よりも好きなサディストだ。弱く、力を持たない私に好きなだけ抵抗させて、逃げ惑わさせて、最後にはゆっくり、じっくり殺していくつもりなのだ。そして、その一貫として、彼らはダンジョンの道を操り、選んだ道を行き止まりにしたり、新たな道を増やして混乱させたりとしてきていた。
(足を止めたら、殺されるっ)
そう思うと、私は何が何でも逃げる以外になかった。
まぁ、そもそもなぜ、こんなことになったのかというと……。
「我は竜ぞ? 貴様らっ、道を開けぬかっ!!」
自らを竜と称する、この白トカゲが原因だったりする。そして、この尊大な物言いから分かる通り……これは、マルディックだったりする。なぜ縮んだのかとか、頭だけだったのに、体が生えているのはどういうことだとか、聞きたいことは山ほどあったのだが、今は、逃げることが優先だ。例え『ダメだと言ったのに、何で扉に触ったんだ!』とか、『竜だと言うなら、この鬼達を何とかしろっ!』とか叫びたくとも、今はそんなことをしている暇などない。
「はっ、はっ」
もうすでに、息切れが酷く、足もふらつき始めている。しかし、それでも、このままお姉様に会えない状態で死ぬことだけは避けたかった。それに、もしかしたら、このクリスタルロードに一緒に来ていた他の誰かが、助けに来てくれるかもしれない。その希望さえなくならなければ、私は大丈夫だと思えた。ただし……。
「おいっ、貴様らっ、聞いているのかっ!」
ついつい、一緒に逃げてきたが、この白トカゲ、放り出しても良いだろうか?
少しは役に立つかと思えば『今は力が使えぬっ』と堂々と宣言され、それから逃げ回る羽目になっているのだ。重さは感じないが、肩に乗って、耳元で叫ばれるのはツラい。
「あっ」
そんな風に、少しばかり思考を逸らしていたのが悪かったのか、ただでさえふらついていた私は、上手く足を上げられず、冷たい石畳に転ぶ。
「っ、つぅ……」
「っ、おいっ、娘! 大丈夫か!?」
そんなマルディックの言葉を聞いた直後、ズシン、と鬼達がすぐ側で立ち止まった。
欺きの王と書いて、欺王という名を持つ赤鬼と、偽りの牙と書いて偽牙という名を持つ青鬼。彼らは、ここ、クリスタルロードにおける最強の番人であり、最悪の鬼。獲物をなぶることを快楽とする彼らは、本来、クリスタルロード最深部にある最後の扉に触れなければ動き出すことはない。あまりにも悪行の限りを尽くす二体の鬼に、神々が怒ってここに閉じ込めたのだと言われているが、それならば完全に動かないように封じていてほしかったと思うのは私だけではないだろう。
「ぐっ、またっ」
欺王と偽牙は、私をいつでも仕留めることができる。しかし、奴らは人の絶望した顔が何よりも好きなサディストだ。弱く、力を持たない私に好きなだけ抵抗させて、逃げ惑わさせて、最後にはゆっくり、じっくり殺していくつもりなのだ。そして、その一貫として、彼らはダンジョンの道を操り、選んだ道を行き止まりにしたり、新たな道を増やして混乱させたりとしてきていた。
(足を止めたら、殺されるっ)
そう思うと、私は何が何でも逃げる以外になかった。
まぁ、そもそもなぜ、こんなことになったのかというと……。
「我は竜ぞ? 貴様らっ、道を開けぬかっ!!」
自らを竜と称する、この白トカゲが原因だったりする。そして、この尊大な物言いから分かる通り……これは、マルディックだったりする。なぜ縮んだのかとか、頭だけだったのに、体が生えているのはどういうことだとか、聞きたいことは山ほどあったのだが、今は、逃げることが優先だ。例え『ダメだと言ったのに、何で扉に触ったんだ!』とか、『竜だと言うなら、この鬼達を何とかしろっ!』とか叫びたくとも、今はそんなことをしている暇などない。
「はっ、はっ」
もうすでに、息切れが酷く、足もふらつき始めている。しかし、それでも、このままお姉様に会えない状態で死ぬことだけは避けたかった。それに、もしかしたら、このクリスタルロードに一緒に来ていた他の誰かが、助けに来てくれるかもしれない。その希望さえなくならなければ、私は大丈夫だと思えた。ただし……。
「おいっ、貴様らっ、聞いているのかっ!」
ついつい、一緒に逃げてきたが、この白トカゲ、放り出しても良いだろうか?
少しは役に立つかと思えば『今は力が使えぬっ』と堂々と宣言され、それから逃げ回る羽目になっているのだ。重さは感じないが、肩に乗って、耳元で叫ばれるのはツラい。
「あっ」
そんな風に、少しばかり思考を逸らしていたのが悪かったのか、ただでさえふらついていた私は、上手く足を上げられず、冷たい石畳に転ぶ。
「っ、つぅ……」
「っ、おいっ、娘! 大丈夫か!?」
そんなマルディックの言葉を聞いた直後、ズシン、と鬼達がすぐ側で立ち止まった。
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