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第二章 少女期 瘴気編
第二百一話 クリスタルロード攻略12(セイ視点)
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水に流されて、離れ離れになった僕達。しかも、どうやらランダムに転移させられるような仕掛けがあったらしく、僕は現在……たまたま近くに居て、手が届いたイルト殿下とともに、探索中だったりする。
「……」
(……き、気まずい……)
実を言うと、僕達は、ユミリアのためにこの王子の護衛をしていたことはあれど、まともに話したことは一度もない。それも、こうして一対一で話す機会など、欠片たりとも存在しなかった。
黙々と出てくる魔物を倒しては進むだけの僕達。イルト殿下は、さすがに僕達に及ぶほどではないものの、それでも人外じみた力を持っている。人間にはつらいであろう魔物相手でも、眉一つ動かすことなく、淡々と討伐していく。
「……セイ、一つ、聞いても良いか?」
「っ、な、何?」
赤い花を咲かせる植物型の魔物を一掃したところで、ふいにイルト殿下から話しかけられて、僕は慌てて返事をする。
「ユミリアは、いつから、お前達を僕の護衛につけていたんだ?」
そうして問われたのは、僕達がイルト殿下を護衛しているという事実に気づいた上での質問。いや、もしかしたら、まだ僕達がいつも護衛しているという確証はないのかもしれない。僕達は今まで、イルト殿下に護衛のことを悟られたと感じたことはなかったのだから。ただ、それでも、僕はイルト殿下の質問に答えようと思った。
「ずっと、昔から。ユミリアと殿下が婚約者として顔合わせをした後、手紙を送り始めたところくらいから、かな?」
「そんなに、昔から……」
最初は、イルト殿下がどんな人物なのかを知りたいがために、監視として、僕達が自主的に向かったはずだと思いながらも、イルト殿下が勘違いをしているらしいのをそのままにしておく。
「ユミリアは、常々、殿下のことを心配していたよ。もちろん、それをする余裕があったっていうのもあるんだろうけど、ユミリアは最初から、殿下にぞっこんだったからね」
そう茶化してやれば、イルト殿下は頬をほんのり赤く染める。
ユミリアさえ居れば、後はどうでも良いと考えがちなイルト殿下ではあるが、殿下もまだ十二歳。経験豊富なわけもなく、いつまで経っても初心な反応を見せてくれる。
(まぁ、だからこそ、僕達も安心してユミリアの側に居させることができるんだけどね?)
これが、表情を全く変えないとかになってくると、少しばかり警戒せざるをえなかっただろうが、殿下はユミリアの前だと、どこか可愛くなってしまうため、警戒しようという気がなくなってしまう。
「ユミリアは、僕のことを、何か言っていなかったか?」
「うーん、そうだねぇ。『大好き』とか、『愛してる』なんて言葉は日常茶飯事だけど」
「そ、そう、か」
先程までは、無表情に剣を振るい、闇魔法を駆使して魔物を蹴散らしてきたのに、今は、赤い顔でモジモジとしている。
(あ、なんか、楽しくなってきた)
そうして、僕は普段のユミリアがいかにイルト殿下を愛しているのかを力説して、イルト殿下が赤面で戦闘不能になる様子をじっくりと観察した後、次に繋がる階段へと足を踏み出すのだった。
「……」
(……き、気まずい……)
実を言うと、僕達は、ユミリアのためにこの王子の護衛をしていたことはあれど、まともに話したことは一度もない。それも、こうして一対一で話す機会など、欠片たりとも存在しなかった。
黙々と出てくる魔物を倒しては進むだけの僕達。イルト殿下は、さすがに僕達に及ぶほどではないものの、それでも人外じみた力を持っている。人間にはつらいであろう魔物相手でも、眉一つ動かすことなく、淡々と討伐していく。
「……セイ、一つ、聞いても良いか?」
「っ、な、何?」
赤い花を咲かせる植物型の魔物を一掃したところで、ふいにイルト殿下から話しかけられて、僕は慌てて返事をする。
「ユミリアは、いつから、お前達を僕の護衛につけていたんだ?」
そうして問われたのは、僕達がイルト殿下を護衛しているという事実に気づいた上での質問。いや、もしかしたら、まだ僕達がいつも護衛しているという確証はないのかもしれない。僕達は今まで、イルト殿下に護衛のことを悟られたと感じたことはなかったのだから。ただ、それでも、僕はイルト殿下の質問に答えようと思った。
「ずっと、昔から。ユミリアと殿下が婚約者として顔合わせをした後、手紙を送り始めたところくらいから、かな?」
「そんなに、昔から……」
最初は、イルト殿下がどんな人物なのかを知りたいがために、監視として、僕達が自主的に向かったはずだと思いながらも、イルト殿下が勘違いをしているらしいのをそのままにしておく。
「ユミリアは、常々、殿下のことを心配していたよ。もちろん、それをする余裕があったっていうのもあるんだろうけど、ユミリアは最初から、殿下にぞっこんだったからね」
そう茶化してやれば、イルト殿下は頬をほんのり赤く染める。
ユミリアさえ居れば、後はどうでも良いと考えがちなイルト殿下ではあるが、殿下もまだ十二歳。経験豊富なわけもなく、いつまで経っても初心な反応を見せてくれる。
(まぁ、だからこそ、僕達も安心してユミリアの側に居させることができるんだけどね?)
これが、表情を全く変えないとかになってくると、少しばかり警戒せざるをえなかっただろうが、殿下はユミリアの前だと、どこか可愛くなってしまうため、警戒しようという気がなくなってしまう。
「ユミリアは、僕のことを、何か言っていなかったか?」
「うーん、そうだねぇ。『大好き』とか、『愛してる』なんて言葉は日常茶飯事だけど」
「そ、そう、か」
先程までは、無表情に剣を振るい、闇魔法を駆使して魔物を蹴散らしてきたのに、今は、赤い顔でモジモジとしている。
(あ、なんか、楽しくなってきた)
そうして、僕は普段のユミリアがいかにイルト殿下を愛しているのかを力説して、イルト殿下が赤面で戦闘不能になる様子をじっくりと観察した後、次に繋がる階段へと足を踏み出すのだった。
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