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第二章 少女期 瘴気編
第百九十五話 クリスタルロード攻略6(メリー視点)
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「ねぇ、何言ってるのかな? この竜は?」
「本当に、身の程知らずだ」
最初に発言をしたのは、セイ殿とイルト殿下だった。
《なっ、貴様らっ、我を誰と心得る! 我こそは、マルディックゲインの守護竜、マルディックぞ!》
「それが? ここは、もう、マルディックゲインなんかじゃない。この国は、リーリス王国。お前の国は、とっくに滅びてる」
《滅ん、だ……? な、何故だっ! 我は、あやつに加護を与えて、しっかりと守ってきたのだぞ? それなのに、我の加護がありながら、何故っ!!》
恐らくは、マルディックゲインの建国の竜と呼ばれていたであろう存在は、記憶が混濁しているのか、敵意を消失させ、ただただ混乱に陥る。そんな竜に対して、イルト殿下はただただ冷たい視線を注ぐ。
「では、お聞きしますが、マルディック殿は、なぜ、このような状況になっておいでなのですか?」
《我が……そうだ。我は、人間どもに……あやつを殺すと脅されて……》
「メリー、そんなやつの事情なんてどうでも良い。それより、早くユミリアを助ける手立てを手に入れたい」
一応は、事情を聞いてあげようかと思って発言したものの、イルト殿下は、早くユミリアお嬢様を助けたいようで、その話を打ち切ろうとする。
「お待ちください。今は、できるだけこの竜から情報を引き出して、魔王のことを知るべきです」
《魔王っ!? そうだっ、やつらも、あやつのことを魔王だなどとっ! 貴様らも、あの人間どもと同じかっ!!》
『魔王』の単語に反応した竜は、再び敵意をぶつけてくる。
「……本当に、こんなやつの情報が必要?」
取り乱した様子の竜を前に、イルト殿下はさらに冷たい視線を注ぐ。
「一応、念のため、万が一に備えて、必要です」
「……分かった」
実際、どんな情報が役立つか分からない。特に、魔王のこととなれば、どんな些細なことでも、ユミリアお嬢様の助けになる可能性は高い。
「まぁ、落ち着けよ。俺らの言う魔王と、お前が知る魔王が同じかどうかすら怪しいだろうが」
ローランの冷静な指摘に、竜はぐぐぐっと唸る。
《む、ぐぅ……では、貴様らは、どんな者を魔王と呼んでいるのだ?》
「ん? そうだな……その時々によって違うことはあるが、今、俺達が思っているのは、主を傷つけた奴のことだな」
《主……ふんっ、ならば、あやつは関係ないな。あやつは、無害だったのだからっ。何よりも平和を愛する男だったのだからっ》
「ねぇっ、じーちゃんに似た竜さんっ! ぼく、その人のこと聞きたい!」
《じっ……ま、まぁ良い。そんなに聞きたければ、話してやろうではないか!》
ローランと鋼様の的確な誘導によって、機嫌を良くした竜は、私達に様々な情報をもたらしてくれた。魔王の好き嫌いから、考え方、趣味や取り巻く環境。そして、竜自身が最後に見た光景まで。
《我は……助けられなかった。あやつが、あの後どうなったのか……我は、悔しい。悔しい、のだ……》
マルディックの加護を受けたマルディックゲイン国の第三王子。彼は、王位継承権を持ちながらも、野心の欠片も持ってはいなかった。しかし、建国の竜、マルディックと出会い、マルディックがうっかり加護を授けたことで、争いが勃発。第三王子は、その争いの最中に異質な力を手に入れて、国を滅ぼしかねない存在になったらしい。人間達は、第三王子を討つために手を取り合い、マルディックを脅して封印し、第三王子は恐らく殺害されたのだと、マルディックは話した。
マルディックにとって、その第三王子はかなり大切な存在だったのだろう。しかし、状況から考えるに、私達が思っている魔王と、マルディックが思っている第三王子は同一人物だ。第三王子である魔王が、マルディックゲインを滅ぼしたのだろう。
《それで? お前達は、なぜここに来たのだ? ソレは、浄化魔法の使い手だろう?》
ここからどうしたものかと思っていると、マルディックから質問が放たれ……セイ殿が、応じた。
「本当に、身の程知らずだ」
最初に発言をしたのは、セイ殿とイルト殿下だった。
《なっ、貴様らっ、我を誰と心得る! 我こそは、マルディックゲインの守護竜、マルディックぞ!》
「それが? ここは、もう、マルディックゲインなんかじゃない。この国は、リーリス王国。お前の国は、とっくに滅びてる」
《滅ん、だ……? な、何故だっ! 我は、あやつに加護を与えて、しっかりと守ってきたのだぞ? それなのに、我の加護がありながら、何故っ!!》
恐らくは、マルディックゲインの建国の竜と呼ばれていたであろう存在は、記憶が混濁しているのか、敵意を消失させ、ただただ混乱に陥る。そんな竜に対して、イルト殿下はただただ冷たい視線を注ぐ。
「では、お聞きしますが、マルディック殿は、なぜ、このような状況になっておいでなのですか?」
《我が……そうだ。我は、人間どもに……あやつを殺すと脅されて……》
「メリー、そんなやつの事情なんてどうでも良い。それより、早くユミリアを助ける手立てを手に入れたい」
一応は、事情を聞いてあげようかと思って発言したものの、イルト殿下は、早くユミリアお嬢様を助けたいようで、その話を打ち切ろうとする。
「お待ちください。今は、できるだけこの竜から情報を引き出して、魔王のことを知るべきです」
《魔王っ!? そうだっ、やつらも、あやつのことを魔王だなどとっ! 貴様らも、あの人間どもと同じかっ!!》
『魔王』の単語に反応した竜は、再び敵意をぶつけてくる。
「……本当に、こんなやつの情報が必要?」
取り乱した様子の竜を前に、イルト殿下はさらに冷たい視線を注ぐ。
「一応、念のため、万が一に備えて、必要です」
「……分かった」
実際、どんな情報が役立つか分からない。特に、魔王のこととなれば、どんな些細なことでも、ユミリアお嬢様の助けになる可能性は高い。
「まぁ、落ち着けよ。俺らの言う魔王と、お前が知る魔王が同じかどうかすら怪しいだろうが」
ローランの冷静な指摘に、竜はぐぐぐっと唸る。
《む、ぐぅ……では、貴様らは、どんな者を魔王と呼んでいるのだ?》
「ん? そうだな……その時々によって違うことはあるが、今、俺達が思っているのは、主を傷つけた奴のことだな」
《主……ふんっ、ならば、あやつは関係ないな。あやつは、無害だったのだからっ。何よりも平和を愛する男だったのだからっ》
「ねぇっ、じーちゃんに似た竜さんっ! ぼく、その人のこと聞きたい!」
《じっ……ま、まぁ良い。そんなに聞きたければ、話してやろうではないか!》
ローランと鋼様の的確な誘導によって、機嫌を良くした竜は、私達に様々な情報をもたらしてくれた。魔王の好き嫌いから、考え方、趣味や取り巻く環境。そして、竜自身が最後に見た光景まで。
《我は……助けられなかった。あやつが、あの後どうなったのか……我は、悔しい。悔しい、のだ……》
マルディックの加護を受けたマルディックゲイン国の第三王子。彼は、王位継承権を持ちながらも、野心の欠片も持ってはいなかった。しかし、建国の竜、マルディックと出会い、マルディックがうっかり加護を授けたことで、争いが勃発。第三王子は、その争いの最中に異質な力を手に入れて、国を滅ぼしかねない存在になったらしい。人間達は、第三王子を討つために手を取り合い、マルディックを脅して封印し、第三王子は恐らく殺害されたのだと、マルディックは話した。
マルディックにとって、その第三王子はかなり大切な存在だったのだろう。しかし、状況から考えるに、私達が思っている魔王と、マルディックが思っている第三王子は同一人物だ。第三王子である魔王が、マルディックゲインを滅ぼしたのだろう。
《それで? お前達は、なぜここに来たのだ? ソレは、浄化魔法の使い手だろう?》
ここからどうしたものかと思っていると、マルディックから質問が放たれ……セイ殿が、応じた。
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