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第二章 少女期 瘴気編
第百九十二話 クリスタルロード攻略3(ミーシャ視点)
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「「「「…………」」」」
あれが、竜のアギトが……いや、もっと具体的に言うならば、あの竜のお口の中が入り口かもしれないという発言に、私達は固まる。しかし、そんな推測をものともしない人は、確かに存在した。
「あそこに行けば、ユミリアを助けられる? なら、早く行こう」
「まぁお待ちください、殿下。その前に、退路は確実に確保しておかなければ。……上顎も下顎も切断しておかなければ、ね?」
「確かに」
恐ろし過ぎる会話を交わしている一人は、予想に違わぬイルト殿下。しかし、もう一人は、ただのメイドさんだと、百歩譲っても、お姉様の乳母という立場でしかないメリーさんだ。そして、二人はブルブルと震える私達をよそに、どうやれば効率的に竜の口が閉まらないようにできるだろうかと、物騒な話し合いを続行している。
「あー、ちぃとばかし、落ち着け、お二人さん」
「邪魔するの?」
「何でしょうか? ローラン殿?」
イルト殿下は、分かりやすく殺気をにじませてローラン先生をにらむ。対して、メリーさんは一見落ち着いているようにも見えるが、その目は全く笑っていない。
「まず、あれが入り口だと確定したわけじゃねぇ。そんで、もし、あれが入り口に繋がる仕掛けだった場合、お前達がやろうとしてることによって、それが機能しなくなることだってあり得る。だから、とりあえずは検証してみようぜ?」
ローラン先生が声をあげた瞬間、私は内心、ローラン先生のことを勇者だと讃えていたものの、その物言いにふと、違和感を覚える。
「あれ? あの竜が、本物の竜で、生きてる場合とかは考えなくて良かったのかな?」
もしも生きているのであれば、上下の顎を切断されるのがかなり可哀想に思えてくる。
「ミーシャ嬢。あれが生きていようが、死んでいようが、やることは何も変わらない」
わずかな呟きのつもりだったが、それを正確に捉えたイルト殿下によって答えがもたらされ……思わず乾いた笑いが漏れる。
つまり、このイルト殿下は、あの竜が生きていようが関係なく、自分達の都合に合わせて竜の状態を悲惨なものにするかもしれないのだ。
(お姉様ぁぁぁあっ!! 早くっ、早くっ、帰ってきてくださいぃぃぃいっ!!)
私が内心、そう叫んでしまったのは、きっと当然のことだろう。
「ってことで、ミーシャ嬢、よろしくねっ」
「はぇ?」
盛大に現実逃避の旅へと出掛けていた私は、唐突にセイさんから話しかけられて、気の抜けた返事をしてしまう。
「まぁ、死にはしねぇだろうから、頑張れや」
「ぼく、応援する!」
「ちゃんと成果を出してね? ミーシャ嬢?」
「御武運を」
ローラン先生、鋼君、イルト殿下、メリーさんの四人に立て続けに不吉な言葉を投げ掛けられて、私は何を聞き逃したのかと冷や汗が止まらない。
「それじゃあ、行こっか」
「え? あの、え? え?」
ひょいっとセイさんから俵抱きをされた私は、何が何やら分からないまま……重力に逆らった。
あれが、竜のアギトが……いや、もっと具体的に言うならば、あの竜のお口の中が入り口かもしれないという発言に、私達は固まる。しかし、そんな推測をものともしない人は、確かに存在した。
「あそこに行けば、ユミリアを助けられる? なら、早く行こう」
「まぁお待ちください、殿下。その前に、退路は確実に確保しておかなければ。……上顎も下顎も切断しておかなければ、ね?」
「確かに」
恐ろし過ぎる会話を交わしている一人は、予想に違わぬイルト殿下。しかし、もう一人は、ただのメイドさんだと、百歩譲っても、お姉様の乳母という立場でしかないメリーさんだ。そして、二人はブルブルと震える私達をよそに、どうやれば効率的に竜の口が閉まらないようにできるだろうかと、物騒な話し合いを続行している。
「あー、ちぃとばかし、落ち着け、お二人さん」
「邪魔するの?」
「何でしょうか? ローラン殿?」
イルト殿下は、分かりやすく殺気をにじませてローラン先生をにらむ。対して、メリーさんは一見落ち着いているようにも見えるが、その目は全く笑っていない。
「まず、あれが入り口だと確定したわけじゃねぇ。そんで、もし、あれが入り口に繋がる仕掛けだった場合、お前達がやろうとしてることによって、それが機能しなくなることだってあり得る。だから、とりあえずは検証してみようぜ?」
ローラン先生が声をあげた瞬間、私は内心、ローラン先生のことを勇者だと讃えていたものの、その物言いにふと、違和感を覚える。
「あれ? あの竜が、本物の竜で、生きてる場合とかは考えなくて良かったのかな?」
もしも生きているのであれば、上下の顎を切断されるのがかなり可哀想に思えてくる。
「ミーシャ嬢。あれが生きていようが、死んでいようが、やることは何も変わらない」
わずかな呟きのつもりだったが、それを正確に捉えたイルト殿下によって答えがもたらされ……思わず乾いた笑いが漏れる。
つまり、このイルト殿下は、あの竜が生きていようが関係なく、自分達の都合に合わせて竜の状態を悲惨なものにするかもしれないのだ。
(お姉様ぁぁぁあっ!! 早くっ、早くっ、帰ってきてくださいぃぃぃいっ!!)
私が内心、そう叫んでしまったのは、きっと当然のことだろう。
「ってことで、ミーシャ嬢、よろしくねっ」
「はぇ?」
盛大に現実逃避の旅へと出掛けていた私は、唐突にセイさんから話しかけられて、気の抜けた返事をしてしまう。
「まぁ、死にはしねぇだろうから、頑張れや」
「ぼく、応援する!」
「ちゃんと成果を出してね? ミーシャ嬢?」
「御武運を」
ローラン先生、鋼君、イルト殿下、メリーさんの四人に立て続けに不吉な言葉を投げ掛けられて、私は何を聞き逃したのかと冷や汗が止まらない。
「それじゃあ、行こっか」
「え? あの、え? え?」
ひょいっとセイさんから俵抱きをされた私は、何が何やら分からないまま……重力に逆らった。
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