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第二章 少女期 瘴気編
第百九十話 クリスタルロード攻略1(ミーシャ視点)
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クリスタルロードの攻略メンバーは、イルト殿下、私、セイさん、ローラン先生、鋼君、メリーさんという構成だった。本当は、アルト様や、ティト様達、お姉様のお父上も来たがっていたものの、残念ながら、アルト様はもうすぐ王太子として立太子するし、ティト様達やお姉様のお父上もそれぞれの立場があるとのことで、危険を伴う可能性のあるクリスタルロード攻略には参加できなかった。
(さて、ここからが問題…………私、クリスタルロードがどんなだったか、覚えてないよぉぉおっ!!)
かろうじて、クリスタルロードの攻略が必要不可欠であることは思い出しても、その攻略方法など、何一つ覚えていない。いや、それどころか……。
「本当に、ここに入り口があるんだよね?」
一つ羽ばたけば、致死毒から眠り薬まで自在に撒き散らせる大きな翅を出して問いかけてきたセイさんに、私は『多分』とだけ答える。
クリスタルロードを攻略しなければならないことは理解していても、その入り口がどこにあるのかが全く分からなかった。
「こうまで広いと、中々見つかりませんね」
入り口に繋がる仕掛けを率先して捜してくれているメリーさんは、穏やかな物言いながら、その目は酷く鋭い。ついでに、その片手には、なぜか暗器らしきものが握られている。
「俺は、こういうのはあんまり得意じゃねぇんだよなぁ」
「きゅーん」
壁をペタペタ触りながら難しい顔をするローラン先生に、地面の匂いを嗅いでは耳をペタンと垂らす鋼君。しかし、私は忘れていない。最初、ローラン先生は壁を確認する素振りでクリスタルの壁に手を置いたかと思えば、次の瞬間には破壊していたし、鋼君は全身の毛を逆立てて地面を踏み締める度に亀裂を走らせていたことを。そして……。
「ユミリア……ふふふ、今助けるからね?」
浄化魔法は成功したはずなのに、なぜか闇のオーラを撒き散らしているようにしか見えないイルト殿下。
(う、うん? このメンバー、大丈夫、だよね?)
なぜか、私以外は破壊力だとか、危険指数だとかがかなり上位にあるような気がする。しかし、イルト殿下はともかく、メリーさんはただのメイドさんだし、セイさんは翅さえなければ非力な妖精、ローラン先生は、確かに腕っぷしは強そうだが、それは竜人由来のものであり、鋼君は……きっと、何かの見間違いだ。
(大丈夫、大丈夫……私だって、お姉様に鍛えてもらったんだからっ!)
一抹の不安を抱きながらも、今はとにかく、入り口を捜すことが先決だとばかりに壁をペタペタと確認して……ちょっと心配なので、イルト殿下に浄化魔法を飛ばすのだった。
(さて、ここからが問題…………私、クリスタルロードがどんなだったか、覚えてないよぉぉおっ!!)
かろうじて、クリスタルロードの攻略が必要不可欠であることは思い出しても、その攻略方法など、何一つ覚えていない。いや、それどころか……。
「本当に、ここに入り口があるんだよね?」
一つ羽ばたけば、致死毒から眠り薬まで自在に撒き散らせる大きな翅を出して問いかけてきたセイさんに、私は『多分』とだけ答える。
クリスタルロードを攻略しなければならないことは理解していても、その入り口がどこにあるのかが全く分からなかった。
「こうまで広いと、中々見つかりませんね」
入り口に繋がる仕掛けを率先して捜してくれているメリーさんは、穏やかな物言いながら、その目は酷く鋭い。ついでに、その片手には、なぜか暗器らしきものが握られている。
「俺は、こういうのはあんまり得意じゃねぇんだよなぁ」
「きゅーん」
壁をペタペタ触りながら難しい顔をするローラン先生に、地面の匂いを嗅いでは耳をペタンと垂らす鋼君。しかし、私は忘れていない。最初、ローラン先生は壁を確認する素振りでクリスタルの壁に手を置いたかと思えば、次の瞬間には破壊していたし、鋼君は全身の毛を逆立てて地面を踏み締める度に亀裂を走らせていたことを。そして……。
「ユミリア……ふふふ、今助けるからね?」
浄化魔法は成功したはずなのに、なぜか闇のオーラを撒き散らしているようにしか見えないイルト殿下。
(う、うん? このメンバー、大丈夫、だよね?)
なぜか、私以外は破壊力だとか、危険指数だとかがかなり上位にあるような気がする。しかし、イルト殿下はともかく、メリーさんはただのメイドさんだし、セイさんは翅さえなければ非力な妖精、ローラン先生は、確かに腕っぷしは強そうだが、それは竜人由来のものであり、鋼君は……きっと、何かの見間違いだ。
(大丈夫、大丈夫……私だって、お姉様に鍛えてもらったんだからっ!)
一抹の不安を抱きながらも、今はとにかく、入り口を捜すことが先決だとばかりに壁をペタペタと確認して……ちょっと心配なので、イルト殿下に浄化魔法を飛ばすのだった。
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