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第二章 少女期 瘴気編
第百八十七話 謹慎が解けて(イルト視点)
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僕の謹慎が解けたのは、あれから一週間後だった。その間、兄さんやミーシャ嬢から情報を聞き出したものの、手がかりは全くないとのことで心がバラバラになりそうだった。
(ユミリア、ユミリアっ、どこっ、どこにっ)
ミーシャ嬢の話では、ユミリアの家族もまた、瘴気に侵されており、唯一無事だったのが、ユミリアの弟ギリアだけだった。しかし、ギリアが何か知っているのかと問われれば、それも違う。そして、ギリアが瘴気に侵されなかった原因は、ミーシャ嬢にも分からないとのことだった。
「ユミリアは、何で……」
謹慎が解けて、すぐにでもユミリアを捜すために行動しようとしたものの、僕がやろうと思うことは、もうすでに、全て実施された後だった。僕自身もユミリアを捜すために様々な場所を訪れたいとは思ったものの、王族であるがゆえに、その辺りの勝手な行動は許されなかった。ただ、待つしかない。その事実に、心も体も、引き裂かれる思いだ。
「イルト、ユミリア嬢なら、きっと大丈夫だ。今頃、瘴気が発生した原因を探っているんじゃないかな?」
「っ、そうですっ、アルト様! 瘴気の原因ですっ!」
意味もなく、城の廊下をウロウロしていたところで、兄さんとミーシャ嬢に見つかった僕は、現在、兄さんの私室に訪れて、小さなテーブルを三人で囲んでいた。
「瘴気の原因?」
それは、ユミリアに繋がる手がかりになるのだろうかと、僕はそっと尋ねてみる。
「はいっ! 瘴気というのはそもそも、ある時代の魔王が発する魔力のことを指していまして、それに触れたものは、全て、負の感情に呑まれたっていう設定だったはずなんです」
「それは、前世の……?」
「はいっ」
兄さんの言葉にはっきりと返事をするミーシャ嬢。しかし……。
「それが分かっても、手がかりに繋がるとは思えないけど?」
「そ、それは、そうかもしれませんが……でもっ、ここからが重要なんです!」
必死に言うミーシャ嬢に、僕は、とりあえず話を聞くことにする。
「魔王は、人に乗り移ることができるんですっ」
そんなミーシャ嬢の言葉で思い出すのは、小屋を出て、辛そうに僕達を拒絶するユミリア。
「ユミリアは、魔王に乗り移られた……?」
「ひぇっ」
頭に血が上ったのか、僕の目の前は真っ赤だった。
「……その魔王、絶対に排除する」
魔力があふれている自覚もないままに、僕は殺意をたぎらせた。
(ユミリア、ユミリアっ、どこっ、どこにっ)
ミーシャ嬢の話では、ユミリアの家族もまた、瘴気に侵されており、唯一無事だったのが、ユミリアの弟ギリアだけだった。しかし、ギリアが何か知っているのかと問われれば、それも違う。そして、ギリアが瘴気に侵されなかった原因は、ミーシャ嬢にも分からないとのことだった。
「ユミリアは、何で……」
謹慎が解けて、すぐにでもユミリアを捜すために行動しようとしたものの、僕がやろうと思うことは、もうすでに、全て実施された後だった。僕自身もユミリアを捜すために様々な場所を訪れたいとは思ったものの、王族であるがゆえに、その辺りの勝手な行動は許されなかった。ただ、待つしかない。その事実に、心も体も、引き裂かれる思いだ。
「イルト、ユミリア嬢なら、きっと大丈夫だ。今頃、瘴気が発生した原因を探っているんじゃないかな?」
「っ、そうですっ、アルト様! 瘴気の原因ですっ!」
意味もなく、城の廊下をウロウロしていたところで、兄さんとミーシャ嬢に見つかった僕は、現在、兄さんの私室に訪れて、小さなテーブルを三人で囲んでいた。
「瘴気の原因?」
それは、ユミリアに繋がる手がかりになるのだろうかと、僕はそっと尋ねてみる。
「はいっ! 瘴気というのはそもそも、ある時代の魔王が発する魔力のことを指していまして、それに触れたものは、全て、負の感情に呑まれたっていう設定だったはずなんです」
「それは、前世の……?」
「はいっ」
兄さんの言葉にはっきりと返事をするミーシャ嬢。しかし……。
「それが分かっても、手がかりに繋がるとは思えないけど?」
「そ、それは、そうかもしれませんが……でもっ、ここからが重要なんです!」
必死に言うミーシャ嬢に、僕は、とりあえず話を聞くことにする。
「魔王は、人に乗り移ることができるんですっ」
そんなミーシャ嬢の言葉で思い出すのは、小屋を出て、辛そうに僕達を拒絶するユミリア。
「ユミリアは、魔王に乗り移られた……?」
「ひぇっ」
頭に血が上ったのか、僕の目の前は真っ赤だった。
「……その魔王、絶対に排除する」
魔力があふれている自覚もないままに、僕は殺意をたぎらせた。
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