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第二章 少女期 瘴気編
第百五十四話 ヒロイン登場!
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(あ、危なかった……)
イルト様の色気とか、色気とか、色気とかで、私は全てを白状させられそうになるのを何とか押し留め、最終的にアルト様の登場によって、会話を終わらせることができた。
横目でチラリと見るイルト様の表情は、少し不満そうではあるものの、こればかりは仕方ない。
「さてと、早めに来たとはいえ、早く行った方が良いだろうから、会場に向かおうか」
そんなアルト様の提案に、私達はうなずき、入学式の会場へと向かう。しかし、その道すがら、何やらとても聞き覚えのある声がこちらに迫って来ていた。
「おぉぉぉぉねぇぇぇぇえぇぇぇぇさぁぁぁぁまぁぁぁぁぁぁっ!!」
淑女にあるまじき全力疾走。それを、ヒール付きの靴で行うのだから、恐れ入る。
そう、前方から走ってくるのは、少女だった。茶色の天然パーマに、青いくりっとした目、人懐っこそうな可愛い顔立ちの、小動物のような少女。彼女の名前は、ミーシャ。ミーシャ・リグナー。半年前、リグナー男爵に引き取られた平民であり、『モフ恋』におけるヒロイン。そして、現在は……。
「お姉様! 私もっ、私も同じクラスでしたよっ!」
ミーシャは、私の前で立ち止まると、喜びをあらわに花のような笑みを浮かべる。そう、今の彼女は、私にぞっこんな少女となっていた。
「そ、そう」
「お姉様っ、私も、ご一緒しても「よくない。お前はどっか行け」はっ! 殿下方もご一緒でした!? ごごごごごっ、ごめんなさいっ! 私は一人で行きますので、お姉様は、しっかり、ガッツリ、殿下とラブラブしててくださいねっ!」
「えっ? あの」
「言われなくとも分かっている。ユミリアは、僕が愛して、愛して、甘やかして、甘やかして、僕なしじゃ生きていけないようにする予定だから」
「イ、イルト様?」
「はいっ!! では、ミーシャ、行っきまーすっ!!」
怒濤の会話の嵐に、私は突っ込みが追い付かず、とうとうミーシャは行ってしまう。
「おぉー、やっぱり、ミーシャ嬢の度胸はすごいなぁ」
さすがにもう、パチパチと拍手をすることはなくなったものの、アルト様は感心した様子でミーシャを見送る。
私はというと……なぜか、イルト様に背後から抱き締められて、身動きが全く取れない。
「……入学式なんてすっぽかして、ユミリアを愛でたい」
「……イルト、ユミリア嬢が真っ赤になって、倒れる寸前だぞ?」
「倒れたら、看病を口実にユミリアと一緒に「だめでしゅっ」…………」
どうにかこうにか、入学式には参加したいと思って口を開けば、舌が回らず、語尾がおかしなことになる。
「おぉーっ、イルトが真っ赤!」
「……ユミリアが可愛すぎるのが悪い」
結局、お互いに赤面して茹だった顔で、ゆっくりゆっくり歩いて、時間ギリギリに会場へと到着するのだった。
イルト様の色気とか、色気とか、色気とかで、私は全てを白状させられそうになるのを何とか押し留め、最終的にアルト様の登場によって、会話を終わらせることができた。
横目でチラリと見るイルト様の表情は、少し不満そうではあるものの、こればかりは仕方ない。
「さてと、早めに来たとはいえ、早く行った方が良いだろうから、会場に向かおうか」
そんなアルト様の提案に、私達はうなずき、入学式の会場へと向かう。しかし、その道すがら、何やらとても聞き覚えのある声がこちらに迫って来ていた。
「おぉぉぉぉねぇぇぇぇえぇぇぇぇさぁぁぁぁまぁぁぁぁぁぁっ!!」
淑女にあるまじき全力疾走。それを、ヒール付きの靴で行うのだから、恐れ入る。
そう、前方から走ってくるのは、少女だった。茶色の天然パーマに、青いくりっとした目、人懐っこそうな可愛い顔立ちの、小動物のような少女。彼女の名前は、ミーシャ。ミーシャ・リグナー。半年前、リグナー男爵に引き取られた平民であり、『モフ恋』におけるヒロイン。そして、現在は……。
「お姉様! 私もっ、私も同じクラスでしたよっ!」
ミーシャは、私の前で立ち止まると、喜びをあらわに花のような笑みを浮かべる。そう、今の彼女は、私にぞっこんな少女となっていた。
「そ、そう」
「お姉様っ、私も、ご一緒しても「よくない。お前はどっか行け」はっ! 殿下方もご一緒でした!? ごごごごごっ、ごめんなさいっ! 私は一人で行きますので、お姉様は、しっかり、ガッツリ、殿下とラブラブしててくださいねっ!」
「えっ? あの」
「言われなくとも分かっている。ユミリアは、僕が愛して、愛して、甘やかして、甘やかして、僕なしじゃ生きていけないようにする予定だから」
「イ、イルト様?」
「はいっ!! では、ミーシャ、行っきまーすっ!!」
怒濤の会話の嵐に、私は突っ込みが追い付かず、とうとうミーシャは行ってしまう。
「おぉー、やっぱり、ミーシャ嬢の度胸はすごいなぁ」
さすがにもう、パチパチと拍手をすることはなくなったものの、アルト様は感心した様子でミーシャを見送る。
私はというと……なぜか、イルト様に背後から抱き締められて、身動きが全く取れない。
「……入学式なんてすっぽかして、ユミリアを愛でたい」
「……イルト、ユミリア嬢が真っ赤になって、倒れる寸前だぞ?」
「倒れたら、看病を口実にユミリアと一緒に「だめでしゅっ」…………」
どうにかこうにか、入学式には参加したいと思って口を開けば、舌が回らず、語尾がおかしなことになる。
「おぉーっ、イルトが真っ赤!」
「……ユミリアが可愛すぎるのが悪い」
結局、お互いに赤面して茹だった顔で、ゆっくりゆっくり歩いて、時間ギリギリに会場へと到着するのだった。
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