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第一章 幼少期編
第百四十五話 救いの一手
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あまりにも禍々しい魔力。もちろん、そんな魔力に覚えがあるわけではないが、予想ができないわけではない。と、いうか、ここまでくれば、答えは一つと言っても良い。
(やっぱり、敵は、魔王……)
魔王は、瘴気を操る。瘴気の正体は、『モフ恋』の中では語られていなかったものの、恐らくは、この禍々しい魔力のことではないかと思えた。
(でも、それなら、やっぱり浄化が使えなきゃ……それなのに、イルト様の命は、五年……?)
いや、理解はしている。この『五年』というのは、最大限の希望的観測であり、実際には三年くらいだろうということは。しかし、その最大限の命の期限で考えたとしても、私が十二歳になるには足りない。浄化魔法を使える時まで、イルト王子の命はもたない。
「そ、んな……」
どうにもならない現実。それを前に、私は目の前が真っ暗になりかけて……。
「……いや、違う。ないなら、作れば良い」
「ユミリア嬢?」
「お医者様、イルト様は、しばらくは安定していると思っても構いませんか?」
「え、えぇ、恐らくは」
陛下の問いかけをひとまずは無視して、私は医師へと確認を取る。
「アルテナ嬢は、イルトを……わたくしの息子を救えるというのですか?」
酷く憔悴した様子の側妃様に問いかけられて、私はどういう心境の変化だろうかと思いながらうなずく。
「必ずっ。陛下、私はやることがありますので、失礼させていただきます」
「う、うむ?」
恐らくは、今回作るものは、そう簡単にできるものではない。
私が使えない浄化魔法を、私の生産系スキルをフル稼働させて、再現する道具を作ろうというのだから。
「ユミリアじょう。たのむ、わたしのたからものをあげるから、イルトをたすけてくれっ」
「はい、承りました」
アルト王子の言葉に、しっかりとした返事をすると、私は城を後にする。
城の玄関で、連絡を受けたお父様が笑顔で立っていたのがやたらと怖かったものの、結局、何も言われることなく馬車で屋敷へと帰る。
「それで、ユミリア? 何をしようとしているのかな?」
一緒に屋敷へ帰ってきたお父様は、帰って早々、私を執務室に呼び出して問いただす。
「浄化魔法を再現する道具を作ります」
「…………は?」
「イルト様には、それが必要なんです。ですから、イルト様を救う道具ができるまで、レッスンは延期してもらいたいと思っています」
「いや、レッスンの延期はかまわな「では、私は道具作りに移りますねっ」ユミリア!?」
一刻も早く、イルト王子を救いたい一心で、私はその日から、部屋へと籠ったのだった。
(やっぱり、敵は、魔王……)
魔王は、瘴気を操る。瘴気の正体は、『モフ恋』の中では語られていなかったものの、恐らくは、この禍々しい魔力のことではないかと思えた。
(でも、それなら、やっぱり浄化が使えなきゃ……それなのに、イルト様の命は、五年……?)
いや、理解はしている。この『五年』というのは、最大限の希望的観測であり、実際には三年くらいだろうということは。しかし、その最大限の命の期限で考えたとしても、私が十二歳になるには足りない。浄化魔法を使える時まで、イルト王子の命はもたない。
「そ、んな……」
どうにもならない現実。それを前に、私は目の前が真っ暗になりかけて……。
「……いや、違う。ないなら、作れば良い」
「ユミリア嬢?」
「お医者様、イルト様は、しばらくは安定していると思っても構いませんか?」
「え、えぇ、恐らくは」
陛下の問いかけをひとまずは無視して、私は医師へと確認を取る。
「アルテナ嬢は、イルトを……わたくしの息子を救えるというのですか?」
酷く憔悴した様子の側妃様に問いかけられて、私はどういう心境の変化だろうかと思いながらうなずく。
「必ずっ。陛下、私はやることがありますので、失礼させていただきます」
「う、うむ?」
恐らくは、今回作るものは、そう簡単にできるものではない。
私が使えない浄化魔法を、私の生産系スキルをフル稼働させて、再現する道具を作ろうというのだから。
「ユミリアじょう。たのむ、わたしのたからものをあげるから、イルトをたすけてくれっ」
「はい、承りました」
アルト王子の言葉に、しっかりとした返事をすると、私は城を後にする。
城の玄関で、連絡を受けたお父様が笑顔で立っていたのがやたらと怖かったものの、結局、何も言われることなく馬車で屋敷へと帰る。
「それで、ユミリア? 何をしようとしているのかな?」
一緒に屋敷へ帰ってきたお父様は、帰って早々、私を執務室に呼び出して問いただす。
「浄化魔法を再現する道具を作ります」
「…………は?」
「イルト様には、それが必要なんです。ですから、イルト様を救う道具ができるまで、レッスンは延期してもらいたいと思っています」
「いや、レッスンの延期はかまわな「では、私は道具作りに移りますねっ」ユミリア!?」
一刻も早く、イルト王子を救いたい一心で、私はその日から、部屋へと籠ったのだった。
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