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第一章 幼少期編
第百八話 後片付け1
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私が襲われる瞬間を見た貴族は、それなりに多く居た。つまりは、不審者を転移させた後はパニックだ。何せ、あの不審者がいきなりどこかへ消えてしまったのだ。次は、自分の番かもしれない。そう思うのも、不思議ではなかった。
魔法灯は、そんなパニックが起こっている中で復旧し、より、その動揺を顕著に伝えてくることとなる。
「おいっ、君! 警備はどうなっている!?」
「申し訳ございません。現在、確認中です」
「お母様っ、私、怖いですわっ」
「えぇ、本当にっ」
……少し、訂正が必要だ。どうやら、パニックに陥っているのは、ごく一部の貴族だけらしい。むしろ、そんな風に騒いでいる連中は、他の貴族達から白い目で見られていた。
「しゅうあく……」
「イルト様、思ってても言っちゃダメです」
騎士を困らせるような貴族の姿に、イルト王子は辛辣な一言を投げかけるが、さすがにそれを本人に聞かれるわけにはいかない。そんなことをすれば、ただでさえドスドスと動き回って赤くなった顔が、怒りでさらに赤くなって、下手をしたら血管が切れるかも……。
(あっ、でも、それはそれでラッキーかな?)
興奮だけで、邪魔者が消えてくれるのはとても良いことのように思えて、一瞬悩みはしたものの、やはり、イルト王子を諌める側に回る。まだ、イルト王子に人の生き死にに関わるのは早いと思えた。
ただし、その代わりの手を打つことは忘れない。
「ユミリア!」
「ユミリアちゃんっ!」
保護者登場。私のお父様とお継母様は、やはり、騒ぎに気づいていたらしく、顔を真っ青にして、私の方へと駆けてきていた。
「大丈夫です。お父様、お継母様。不審者はしっかりと捕らえていますので」
そう返せば、二人とも『そういう問題じゃない』と言いたげな表情になったものの、周囲の貴族の反応を察知して、その言葉を呑み込んでくれる。
「そう、か。よくぞ、イルト王子をお守りした。王家の守り人として、相応しい姿を見せつけたことになるな」
「えぇ、そうですね。これで、ユミリアちゃんの実力を疑う者も居なくなるでしょう」
二人は、揃って私の望む言葉をくれる。この言葉での貴族の反応は、大きく分けて、二種類。私の活躍を疑うか、信じるかだ。
「ゆみりあじょう。たすけてくれて、ありがとう」
しかし、そんな何気ないイルト王子の言葉で、貴族達は、一気に私の実力を信じなければならなくなった。王族の言葉とは、それだけに重い。
これらのやり取りによって、パニックを起こしていた貴族達は、ようやく自分達がどんな目で見られていたのかを自覚したらしく、その場で小さくなる者が大半だった。しかし、中には空気を読めないお子様(頭の中が)も存在するわけで……。
「あのような子供が、刺客を捕らえられるわけがないでしょうっ?」
そんな言葉に私は内心、ニヤリと笑うのだった。
魔法灯は、そんなパニックが起こっている中で復旧し、より、その動揺を顕著に伝えてくることとなる。
「おいっ、君! 警備はどうなっている!?」
「申し訳ございません。現在、確認中です」
「お母様っ、私、怖いですわっ」
「えぇ、本当にっ」
……少し、訂正が必要だ。どうやら、パニックに陥っているのは、ごく一部の貴族だけらしい。むしろ、そんな風に騒いでいる連中は、他の貴族達から白い目で見られていた。
「しゅうあく……」
「イルト様、思ってても言っちゃダメです」
騎士を困らせるような貴族の姿に、イルト王子は辛辣な一言を投げかけるが、さすがにそれを本人に聞かれるわけにはいかない。そんなことをすれば、ただでさえドスドスと動き回って赤くなった顔が、怒りでさらに赤くなって、下手をしたら血管が切れるかも……。
(あっ、でも、それはそれでラッキーかな?)
興奮だけで、邪魔者が消えてくれるのはとても良いことのように思えて、一瞬悩みはしたものの、やはり、イルト王子を諌める側に回る。まだ、イルト王子に人の生き死にに関わるのは早いと思えた。
ただし、その代わりの手を打つことは忘れない。
「ユミリア!」
「ユミリアちゃんっ!」
保護者登場。私のお父様とお継母様は、やはり、騒ぎに気づいていたらしく、顔を真っ青にして、私の方へと駆けてきていた。
「大丈夫です。お父様、お継母様。不審者はしっかりと捕らえていますので」
そう返せば、二人とも『そういう問題じゃない』と言いたげな表情になったものの、周囲の貴族の反応を察知して、その言葉を呑み込んでくれる。
「そう、か。よくぞ、イルト王子をお守りした。王家の守り人として、相応しい姿を見せつけたことになるな」
「えぇ、そうですね。これで、ユミリアちゃんの実力を疑う者も居なくなるでしょう」
二人は、揃って私の望む言葉をくれる。この言葉での貴族の反応は、大きく分けて、二種類。私の活躍を疑うか、信じるかだ。
「ゆみりあじょう。たすけてくれて、ありがとう」
しかし、そんな何気ないイルト王子の言葉で、貴族達は、一気に私の実力を信じなければならなくなった。王族の言葉とは、それだけに重い。
これらのやり取りによって、パニックを起こしていた貴族達は、ようやく自分達がどんな目で見られていたのかを自覚したらしく、その場で小さくなる者が大半だった。しかし、中には空気を読めないお子様(頭の中が)も存在するわけで……。
「あのような子供が、刺客を捕らえられるわけがないでしょうっ?」
そんな言葉に私は内心、ニヤリと笑うのだった。
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