悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌

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第一章 幼少期編

第七十七話 モフ恋のシナリオ4

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 残すは魔法省長官の息子、ティトと、公爵家の息子、ディランだ。


「ティトのルートは、ティトの魔力が、魔法省長官の息子としてはかなり低いもので、ティトは幼い頃から厳しい教育を受けてきたっていう前提から始まる。ティトは、同じく厳しい教育を受けているであろうアルト王子に負けるのは、悔しくとも良きライバルとして見れていたんだけど、突然現れたミーシャに成績を抜かされたことで、ミーシャに対して強い嫉妬と憎しみを覚えることになる。最初はミーシャに嫌味ばかりで接していたのだけど、途中からミーシャが努力家だと分かり、次第に態度を軟化させていく。一方で、ユミリアは必ず自分の上の成績を取るミーシャが煩わしくて、彼女に嫌がらせを続けていき、ついには暗殺未遂を起こす。それで、ティトはユミリアの悪事の証拠を集めるものの、公爵家の娘が男爵家の娘を虐げたくらいで罰することはできず、アルト王子に相談をする。そこからは大きな分岐。バッドエンドは、ユミリアがミーシャに直接手を下すために部屋に向かう途中、運悪くティトがその場に居合わせて殺害されてしまい、それを知って取り乱したミーシャも殺害。アルト王子が騎士達を動かした頃にはすでに何もかもが手遅れで、ユミリアは貴族の殺害という重罪で裁かれて処刑され、魔王が復活、世界の滅亡。ハッピーエンドの方は、ユミリアがティトに出会うことなく、ミーシャに扮したアルト王子へと刃を向けて、取り押さえられる。アルト王子の温情で身分剥奪の上王都から追放という処分を受ける。それで、二人が結ばれてめでたしめでたし」

「ふむ、こちらでは、ハッピーエンドならば魔王は復活しないのか」

「それより、今回は第二王子が出てないみたいだけど?」

「みゅ……そ、れは……その、イルト様が出ていた記憶はあるんだけど、具体的に覚えていないというか、どこかで死んでしまったのは確実なんだけど、あまり活躍していなかったというか……」


 今でこそ、イルト王子にゾッコンな私だけど、前世ではイルト王子の顔が分からないこともあって、ただのモブくらいにしか思っていなかったのだ。だから、私が覚えていないのは当然なのだけれど、それを皆は『あり得ないっ』とでも言いたげな目で見つめてくる。


「シナリオの中では、イルト様は常に顔を隠していたし、滅多に話さないし、全く掴みどころがなさ過ぎて何も分からなかったんだもん……」


 そう言えば、今度は『あのイルト王子が?』といった表情になる。だから、私はイルト王子が本来どういった未来を辿って顔を隠すことになるのかを説明して回った。
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