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第一章 幼少期編
第七十六話 モフ恋のシナリオ3
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「ユミリア?」
あり得ない事態に戸惑っていると、お父様から心配そうな声をかけられる。
「いえ、大丈夫、です」
まだ、意図的に誰かが干渉したと決まったわけではない。むしろ、そんなことができるとすれば、あの女神くらいしか思い浮かばないのだが、そんなことをする意味が分からない。
「五人目は分からないとして、それ以外の攻略対象者っていうのは、どういう経緯で主人公と関わるようになっていくの?」
セイは、とりあえず五人目のことは保留にしておこうと判断したらしく、そう尋ねてくる。
「確か、ハイルとティトは、アルト王子の側に居たから、自動的にアルト王子に関わるようになったミーシャに目を向けるようになる。それで、公爵家の息子であるディランは、魔力を見る力を持っていたために、ミーシャの特殊な力に目をつけて、利用しようと近づくって内容だったと思う」
そんな前提を話してから、私はそれぞれのルートの説明に入る。
「まず、アルト王子は白の獣つきであったがために孤独で、その孤独を埋めてくれるミーシャに少しずつ惹かれていく。それで、それが気にくわないアルト王子の婚約者であるユミリアは、イルト王子と共謀してミーシャに嫌がらせを行い……バッドエンドなら、ユミリアがミーシャに毒を飲ませ、殺害。そして、それに怒り狂ったアルト王子によってユミリアはイルト王子ともども斬られて死亡。そして、魔王出現で世界が滅亡。ハッピーエンドなら、すんでのところでアルト王子が毒に気づき、ユミリアとイルト王子は国外追放され、二人が結ばれてめでたしめでたし」
「それは……だいぶ未来が変わってきているみたいですわね?」
「みゅっ、私はアルト王子の婚約者じゃないし、アルト王子を孤独にすることもないだろうから、多分、アルト王子のルートは潰れた……と思いたいところですね」
私の自信のない答えを訝しむお継母様に向けて、私は世界の強制力について話す。
「つまりは、その強制力で似たような流れが生み出されるかもしれないと?」
「まだ、はっきりとは分からないですけど、そうなる可能性もある状態ですね」
婚約者はアルト王子ではなく、イルト王子だ。しかし、それでも強制力が一度発動するということになれば、どうなるか分からない。
「ハイルは、騎士団長の息子ということで、期待を一身に背負っているという事実が辛く感じている中、ミーシャに励まされて、事件を解決して、少しずつ自分に自信をつけていく。そんな中、ユミリアとイルト王子が犯罪組織と繋がっていることをミーシャが偶然知ってしまい、命を狙われるようになる。ハイルは、ミーシャを守り、二人はどんどん惹かれ合い、バッドエンドではミーシャが犯罪組織に殺されてしまい、ハイルは絶望の中、犯罪組織との壮絶な戦いを繰り広げて戦死、そして、ユミリアとイルト王子もその戦いの中で死亡。それで、また魔王が復活して世界の滅亡。ハッピーエンドは、ハイルがどうにか犯罪組織の魔の手からミーシャを救い出し、組織をほぼ壊滅状態にまで追いやる。ユミリアは逃したものの、イルト王子を仕留めることには成功し、その後、魔王復活、ミーシャの浄化という流れで二人が結ばれる。ちなみに、ユミリアは行方知れず」
そこまで話した私は、一度、紅茶を口に含むと、後の二人の話を思い出していく。
「アルト王子殿下の時は、魔王が復活した時としなかった時があるようだが、魔王復活は確定事項ではないのか?」
「それは……確かに、確定事項ではないですね。他の二人の場合も、復活する場合とそうでない場合があるし、正直、何が基準なのかいまいち分からない状態です」
お父様の言葉の通り、魔王は復活したりしなかったりする。そして、ミーシャさえ生きていれば、浄化の魔法で魔王は倒せるが、そうでなければ待つのは滅亡のみだ。
「このまま、続きを話せるか?」
「もちろん」
そうして、私は残りの二人のストーリーを頭の中でまとめて話を始めた。
あり得ない事態に戸惑っていると、お父様から心配そうな声をかけられる。
「いえ、大丈夫、です」
まだ、意図的に誰かが干渉したと決まったわけではない。むしろ、そんなことができるとすれば、あの女神くらいしか思い浮かばないのだが、そんなことをする意味が分からない。
「五人目は分からないとして、それ以外の攻略対象者っていうのは、どういう経緯で主人公と関わるようになっていくの?」
セイは、とりあえず五人目のことは保留にしておこうと判断したらしく、そう尋ねてくる。
「確か、ハイルとティトは、アルト王子の側に居たから、自動的にアルト王子に関わるようになったミーシャに目を向けるようになる。それで、公爵家の息子であるディランは、魔力を見る力を持っていたために、ミーシャの特殊な力に目をつけて、利用しようと近づくって内容だったと思う」
そんな前提を話してから、私はそれぞれのルートの説明に入る。
「まず、アルト王子は白の獣つきであったがために孤独で、その孤独を埋めてくれるミーシャに少しずつ惹かれていく。それで、それが気にくわないアルト王子の婚約者であるユミリアは、イルト王子と共謀してミーシャに嫌がらせを行い……バッドエンドなら、ユミリアがミーシャに毒を飲ませ、殺害。そして、それに怒り狂ったアルト王子によってユミリアはイルト王子ともども斬られて死亡。そして、魔王出現で世界が滅亡。ハッピーエンドなら、すんでのところでアルト王子が毒に気づき、ユミリアとイルト王子は国外追放され、二人が結ばれてめでたしめでたし」
「それは……だいぶ未来が変わってきているみたいですわね?」
「みゅっ、私はアルト王子の婚約者じゃないし、アルト王子を孤独にすることもないだろうから、多分、アルト王子のルートは潰れた……と思いたいところですね」
私の自信のない答えを訝しむお継母様に向けて、私は世界の強制力について話す。
「つまりは、その強制力で似たような流れが生み出されるかもしれないと?」
「まだ、はっきりとは分からないですけど、そうなる可能性もある状態ですね」
婚約者はアルト王子ではなく、イルト王子だ。しかし、それでも強制力が一度発動するということになれば、どうなるか分からない。
「ハイルは、騎士団長の息子ということで、期待を一身に背負っているという事実が辛く感じている中、ミーシャに励まされて、事件を解決して、少しずつ自分に自信をつけていく。そんな中、ユミリアとイルト王子が犯罪組織と繋がっていることをミーシャが偶然知ってしまい、命を狙われるようになる。ハイルは、ミーシャを守り、二人はどんどん惹かれ合い、バッドエンドではミーシャが犯罪組織に殺されてしまい、ハイルは絶望の中、犯罪組織との壮絶な戦いを繰り広げて戦死、そして、ユミリアとイルト王子もその戦いの中で死亡。それで、また魔王が復活して世界の滅亡。ハッピーエンドは、ハイルがどうにか犯罪組織の魔の手からミーシャを救い出し、組織をほぼ壊滅状態にまで追いやる。ユミリアは逃したものの、イルト王子を仕留めることには成功し、その後、魔王復活、ミーシャの浄化という流れで二人が結ばれる。ちなみに、ユミリアは行方知れず」
そこまで話した私は、一度、紅茶を口に含むと、後の二人の話を思い出していく。
「アルト王子殿下の時は、魔王が復活した時としなかった時があるようだが、魔王復活は確定事項ではないのか?」
「それは……確かに、確定事項ではないですね。他の二人の場合も、復活する場合とそうでない場合があるし、正直、何が基準なのかいまいち分からない状態です」
お父様の言葉の通り、魔王は復活したりしなかったりする。そして、ミーシャさえ生きていれば、浄化の魔法で魔王は倒せるが、そうでなければ待つのは滅亡のみだ。
「このまま、続きを話せるか?」
「もちろん」
そうして、私は残りの二人のストーリーを頭の中でまとめて話を始めた。
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