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第一章 幼少期編
第七十五話 モフ恋のシナリオ2
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主人公、ミーシャの魔力は、確かに膨大だった。そして、何よりもそのミーシャの属性は今は失われた属性、聖属性であり、その中でも最も重要とされる浄化の魔法を魔石に込めることができたのだ。
「お待ちください。ユミリアお嬢様は、確か全属性の魔法が使えるとおっしゃっていませんでしたか?」
「みゅ? そうだけど?」
「その浄化も、使えるのではありませんか?」
「「「「あっ」」」」
メリーの指摘に、私を含め、全員が今気づいたとばかりに声をあげる。
(ん? あれ? もしかして、主人公、いらない?)
私の魔力は、恐らくはミーシャよりも膨大だ。そして、その状態で浄化の魔法まで使えるとなると……主人公の存在意義がペラッペラに薄れてしまう。
「と、とりあえず、それは後で。話を続けるね?」
何だか、物語の根幹を大きく揺るがす事実がある気はするものの、そちらは後で考えることにする。
「ミーシャは、その魔法を用いて、攻略対象となる五人の男性の心の闇を払っていくの」
「ユミリアちゃん。浄化魔法で心の闇を払うのかしら?」
「みゅ? そうだけど……」
「それはおかしいわ。浄化魔法は、あくまでも瘴気を払う力しかないはずですわ。もし、その女性が浄化魔法を使ったのだとすれば、それは、その男性達が瘴気に飲まれていたから、ということになってしまいますわ」
そんなお継母様の指摘に、私は大きなショックを受ける。
「えっ? それって、ミーシャに出会う前から、攻略対象者達は瘴気に飲まれていたってこと?」
「瘴気か……確か、そういうのを操る魔王が昔存在したらしいってのは聞いたことがあるな。んでもって、確か瘴気ってやつは人の負の感情を糧にする魔法だから……まぁ、いつから飲まれていたかまでは分からないが、魔王復活までに時間がかかるだろうことを予測すれば、それなりに前から飲まれていたんじゃないのか?」
それはつまり、ゲーム開始前から、魔王復活の予兆は起こっているということになる。
「攻略対象者って、第一王子以外は誰なの?」
そうセイに問われて、私は彼らの名前を挙げていく。
「騎士団長の息子、ハイル。魔法省長官の息子、ティト。公爵家の息子、ディラン。後は……あれ? 後一人が思い出せない……?」
家名を覚えていないのは仕方ないにしても、攻略対象者の名前を覚えていないのはどこか違和感がある。と、いうより……。
「……あ、れ? 五人目の攻略対象者のことが、全く思い出せない?」
せめて、その物語の内容だけでも思い出そうとするものの、全く思い出すことができない。何かに邪魔をされているように、その情報だけが浮かばない。
(どういう、こと……?)
私は、ここで初めて、記憶に何者かが干渉したことに気づき、戦慄した。
「お待ちください。ユミリアお嬢様は、確か全属性の魔法が使えるとおっしゃっていませんでしたか?」
「みゅ? そうだけど?」
「その浄化も、使えるのではありませんか?」
「「「「あっ」」」」
メリーの指摘に、私を含め、全員が今気づいたとばかりに声をあげる。
(ん? あれ? もしかして、主人公、いらない?)
私の魔力は、恐らくはミーシャよりも膨大だ。そして、その状態で浄化の魔法まで使えるとなると……主人公の存在意義がペラッペラに薄れてしまう。
「と、とりあえず、それは後で。話を続けるね?」
何だか、物語の根幹を大きく揺るがす事実がある気はするものの、そちらは後で考えることにする。
「ミーシャは、その魔法を用いて、攻略対象となる五人の男性の心の闇を払っていくの」
「ユミリアちゃん。浄化魔法で心の闇を払うのかしら?」
「みゅ? そうだけど……」
「それはおかしいわ。浄化魔法は、あくまでも瘴気を払う力しかないはずですわ。もし、その女性が浄化魔法を使ったのだとすれば、それは、その男性達が瘴気に飲まれていたから、ということになってしまいますわ」
そんなお継母様の指摘に、私は大きなショックを受ける。
「えっ? それって、ミーシャに出会う前から、攻略対象者達は瘴気に飲まれていたってこと?」
「瘴気か……確か、そういうのを操る魔王が昔存在したらしいってのは聞いたことがあるな。んでもって、確か瘴気ってやつは人の負の感情を糧にする魔法だから……まぁ、いつから飲まれていたかまでは分からないが、魔王復活までに時間がかかるだろうことを予測すれば、それなりに前から飲まれていたんじゃないのか?」
それはつまり、ゲーム開始前から、魔王復活の予兆は起こっているということになる。
「攻略対象者って、第一王子以外は誰なの?」
そうセイに問われて、私は彼らの名前を挙げていく。
「騎士団長の息子、ハイル。魔法省長官の息子、ティト。公爵家の息子、ディラン。後は……あれ? 後一人が思い出せない……?」
家名を覚えていないのは仕方ないにしても、攻略対象者の名前を覚えていないのはどこか違和感がある。と、いうより……。
「……あ、れ? 五人目の攻略対象者のことが、全く思い出せない?」
せめて、その物語の内容だけでも思い出そうとするものの、全く思い出すことができない。何かに邪魔をされているように、その情報だけが浮かばない。
(どういう、こと……?)
私は、ここで初めて、記憶に何者かが干渉したことに気づき、戦慄した。
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