41 / 412
第一章 幼少期編
第四十話 乙女の秘密
しおりを挟む
「つまりは、ユミリアお嬢様が、私を助けてくださった、と?」
「みゅっ」
あれから、大変だった。とっても、とーっても、大変だった。何せ、私はまだ一歳半の幼女。まさか、そんな幼女がメリーを治す薬を調合できるとは誰も思わないだろう。しかし、それでも一切の誤魔化しをしなかったのは、ひとえに、メリーには私の味方で居てほしいからだ。前世のことまではまだ話していないものの、メリーをセイ達と会わせた後にでも、時間を作って話すつもりではある。
「……」
「めりー?」
全ての経緯は説明した。そして、それをメリーがどう捉えるか。それが問題だ。
うつむいて表情の見えないメリー。何を言われるか分からない恐怖と、私は必死で戦う。長い、長い沈黙。その間に、メリーの肩がプルプルと震え出し、余計に心配で、怖くて、泣きそうになったところで……。
「………………ユミリアお嬢様が、天才過ぎるっ」
ガバッと顔を上げたかと思えば、キラッキラした瞳で、メリーは私を見つめてきた。
「み、みゅ?」
「あぁっ、可愛い! ユミリアお嬢様が可愛いっ」
そして、悶えるメリーを前に、私は思う。
(あれ? メリーってこんなキャラだっけ?)
見たことのないその姿に困惑していると、ふいに、メリーはキリッと表情を引き締める。
「では、ユミリアお嬢様。ユミリアお嬢様を助けてくださった方々というのは、そちらに居られる二人と、入り口に居られる方で合っていますでしょうか?」
(…………みゅ!?)
「えっ? バレてる?」
「ユミリアの乳母、すごい」
「へぇ、軽くしてたとはいえ、俺の隠密を見破るたぁ、ただもんじゃねぇな」
あまりの衝撃に固まっていると、セイ達がゾロゾロと姿を現す。
「なるほど、星妖精に蒼月狼に竜人……そうそうたる顔ぶれですね」
しかも、ローランの職業は分からないまでも、それ以外は全て言い当ててしまうメリーに、私は戦慄する。
「さて、私が何者か、でしたね。私は、メリー・オラクル。現在はユミリアお嬢様の乳母兼メイド兼護衛ですが、昔は『狂乱のメリー』と呼ばれたS級冒険者をしておりました。この度は、お嬢様にお力添えいただいたこと、心より感謝申し上げます」
セイ達の姿に一切動揺することなく、綺麗なカーテシーをするメリー。私が思うことは、一つだけだ。
(何やってたの!? メリー!?)
前世の話をする前に落とされた大きな爆弾に、私はしばらく硬直するのだった。
「みゅっ」
あれから、大変だった。とっても、とーっても、大変だった。何せ、私はまだ一歳半の幼女。まさか、そんな幼女がメリーを治す薬を調合できるとは誰も思わないだろう。しかし、それでも一切の誤魔化しをしなかったのは、ひとえに、メリーには私の味方で居てほしいからだ。前世のことまではまだ話していないものの、メリーをセイ達と会わせた後にでも、時間を作って話すつもりではある。
「……」
「めりー?」
全ての経緯は説明した。そして、それをメリーがどう捉えるか。それが問題だ。
うつむいて表情の見えないメリー。何を言われるか分からない恐怖と、私は必死で戦う。長い、長い沈黙。その間に、メリーの肩がプルプルと震え出し、余計に心配で、怖くて、泣きそうになったところで……。
「………………ユミリアお嬢様が、天才過ぎるっ」
ガバッと顔を上げたかと思えば、キラッキラした瞳で、メリーは私を見つめてきた。
「み、みゅ?」
「あぁっ、可愛い! ユミリアお嬢様が可愛いっ」
そして、悶えるメリーを前に、私は思う。
(あれ? メリーってこんなキャラだっけ?)
見たことのないその姿に困惑していると、ふいに、メリーはキリッと表情を引き締める。
「では、ユミリアお嬢様。ユミリアお嬢様を助けてくださった方々というのは、そちらに居られる二人と、入り口に居られる方で合っていますでしょうか?」
(…………みゅ!?)
「えっ? バレてる?」
「ユミリアの乳母、すごい」
「へぇ、軽くしてたとはいえ、俺の隠密を見破るたぁ、ただもんじゃねぇな」
あまりの衝撃に固まっていると、セイ達がゾロゾロと姿を現す。
「なるほど、星妖精に蒼月狼に竜人……そうそうたる顔ぶれですね」
しかも、ローランの職業は分からないまでも、それ以外は全て言い当ててしまうメリーに、私は戦慄する。
「さて、私が何者か、でしたね。私は、メリー・オラクル。現在はユミリアお嬢様の乳母兼メイド兼護衛ですが、昔は『狂乱のメリー』と呼ばれたS級冒険者をしておりました。この度は、お嬢様にお力添えいただいたこと、心より感謝申し上げます」
セイ達の姿に一切動揺することなく、綺麗なカーテシーをするメリー。私が思うことは、一つだけだ。
(何やってたの!? メリー!?)
前世の話をする前に落とされた大きな爆弾に、私はしばらく硬直するのだった。
応援ありがとうございます!
21
お気に入りに追加
5,542
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる