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第一章 幼少期編
第二十一話 落下
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「みゅうぅぅうっ」
はい、ユミリアです。現在、私はまたしても妖精の森で素材探しをしております。と、いうのも、さすがにあの一日では、ここで集められる全てを集められたとは言えなかったもので、何回か訪れる羽目になっていたのだ。
私としては、セイとも話せるし、素材も集まるしで、不自由なことは何一つない。と、いうより、セイは案外、私の知らないレシピを多く知っているようなので、師匠と呼ばせてもらいたいところだったりもする。
(まぁ、それよりは友達になりたいところ、なんだけどね?)
そして私は今、必死に手を伸ばして、崖の縁に生えている花を採取しようとしているところだった。
ピンクの何の変哲もなさそうなその花の名前は、『戦花』。なぜ、こんな物騒な名前がついているのかというと、この花を争って、何度も戦が起きたからなのだ。一般的に、この花は不老長寿の秘薬を作るための素材だとされており、実際に作れた者は存在せず、眉唾物だと思われているのだが……私は、素材さえ揃えば、その薬を作れたりする。
で、なぜこれを採ろうとしているかといえば、この花、わりと容赦なく周りの栄養を取る花で、その効果が災厄級なためだ。事実、この周囲には草木一本生えていない。その災厄を取り除くことが、今回のセイからの試練なのだ。これをクリアして、セイと取引できれば、あとはこの森以外での素材採取となる。
短い手を懸命に伸ばして、私はようやく、その花を手に掴んで……。
「みゅ?」
何か、地面が揺れたような気がした直後、崖の縁が崩壊し、私の体は宙に投げ出される。
「みゅうぅうぅっ!?」
「ユミリア!」
『おいっ!?』
崖から離れて見守っていた鋼と、やはり付いてきていたセイがほぼ同時に声をあげる。二人は、懸命に駆け寄ってくれているが、間に合わない。いや、それより、飛べるセイはまだしも、鋼は落ちる勢いだ。
(不味い不味い不味い不味いっ! この下は、魔境のはずっ!)
『魔境』。それは、とうとう私が生きている間に開放されることのなかった未知のエリアだ。どんな魔物が存在するのかも、どんな素材が存在するのかも不明。そもそも、その場所は妖精の森の崖の下にあるとされていながら、行き方すらも不明だったのだ。
私は、咄嗟にストレージから鉤針付きのロープを取り出して、崖に引っかける。グンッと腕に強い重力がかかり、一瞬私の体は止まり……。
「ユミリアァァァァアッ!」
「み、みゅうぅぅぅうっ!!?」
上から落下してきた鋼に巻き込まれて、ロープから手を離してしまい、結局は完全に落下してしまうのだった。
はい、ユミリアです。現在、私はまたしても妖精の森で素材探しをしております。と、いうのも、さすがにあの一日では、ここで集められる全てを集められたとは言えなかったもので、何回か訪れる羽目になっていたのだ。
私としては、セイとも話せるし、素材も集まるしで、不自由なことは何一つない。と、いうより、セイは案外、私の知らないレシピを多く知っているようなので、師匠と呼ばせてもらいたいところだったりもする。
(まぁ、それよりは友達になりたいところ、なんだけどね?)
そして私は今、必死に手を伸ばして、崖の縁に生えている花を採取しようとしているところだった。
ピンクの何の変哲もなさそうなその花の名前は、『戦花』。なぜ、こんな物騒な名前がついているのかというと、この花を争って、何度も戦が起きたからなのだ。一般的に、この花は不老長寿の秘薬を作るための素材だとされており、実際に作れた者は存在せず、眉唾物だと思われているのだが……私は、素材さえ揃えば、その薬を作れたりする。
で、なぜこれを採ろうとしているかといえば、この花、わりと容赦なく周りの栄養を取る花で、その効果が災厄級なためだ。事実、この周囲には草木一本生えていない。その災厄を取り除くことが、今回のセイからの試練なのだ。これをクリアして、セイと取引できれば、あとはこの森以外での素材採取となる。
短い手を懸命に伸ばして、私はようやく、その花を手に掴んで……。
「みゅ?」
何か、地面が揺れたような気がした直後、崖の縁が崩壊し、私の体は宙に投げ出される。
「みゅうぅうぅっ!?」
「ユミリア!」
『おいっ!?』
崖から離れて見守っていた鋼と、やはり付いてきていたセイがほぼ同時に声をあげる。二人は、懸命に駆け寄ってくれているが、間に合わない。いや、それより、飛べるセイはまだしも、鋼は落ちる勢いだ。
(不味い不味い不味い不味いっ! この下は、魔境のはずっ!)
『魔境』。それは、とうとう私が生きている間に開放されることのなかった未知のエリアだ。どんな魔物が存在するのかも、どんな素材が存在するのかも不明。そもそも、その場所は妖精の森の崖の下にあるとされていながら、行き方すらも不明だったのだ。
私は、咄嗟にストレージから鉤針付きのロープを取り出して、崖に引っかける。グンッと腕に強い重力がかかり、一瞬私の体は止まり……。
「ユミリアァァァァアッ!」
「み、みゅうぅぅぅうっ!!?」
上から落下してきた鋼に巻き込まれて、ロープから手を離してしまい、結局は完全に落下してしまうのだった。
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