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第一章 幼少期編
第十話 転移
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転移の魔石を手に入れた私は、早速、翌日から行動を開始した。
(何がなんでも、素材をゲットしなきゃっ)
ベッドの上に腰かけて、耳と尻尾をピンっと立てて誓う私は、まずは動作確認ということで、この前探索した庭へと転移してみることにする。
「おにわ、ちぇんいっ(お庭、転移っ)」
青い魔石が淡く輝いたと思った瞬間、私の視界は切り替わり、庭の前へと出る。
体勢が悪かったせいで、尻餅をついてしまったものの、そこに人の気配はなく、ホッとする。
「ちぇーこーなにょっ(成功なのっ)」
行ったことのある場所への転移は、どうやら問題ないらしい。しかし、問題はここからだ。
この体で行ったことがない場所で、知識としてその光景を知っている場所に、果たして転移できるのか。
(本来は、行ったことのある場所にしか転移できないんだけど……『コツ生』と『モフ恋』はほぼ同じ舞台だから、行けない、かなぁ?)
違うゲームということで、一応違う舞台も用意されているが、それでも被る部分は多い。それならば、ゲームの力を部分的に引き継いでいる私なら、行けるのではないかと考えていた。
(もし無理だったら……この半年で、何とか素材調達しなきゃ)
その場合、活動範囲の関係から、錬金術による万能薬作成は不可能だろう。調薬の方ならば、素材の種類は豊富になっても、多分、きっと、集められる範囲内だ。
(本当は、病名とかが分かればピンポイントの薬を作れるんだけどなぁ……)
しかし、残念ながら、私は医者ではない。そして、それとなくメリーに聞いてみたことはあるものの、誤魔化されてしまって、分からなかった。
(医学書とか、ここにはないし、病名なんて、調べられないよなぁ……)
薬には、その病気に対応した名前がついており、私はその全てを記憶できている自信があった。しかし、所詮はゲーム。その病気の症状までは描かれない。
(とりあえず、今は実験! 危険が少なくて、人が来ない場所で、素材の種類が豊富な場所とくれば、一つしかないっ)
そこは、高レベルの錬金術師か調薬師、鍛冶師のみが行けるボーナスステージ。そこで手に入れた素材はとても良質で、わりと色々な種類のものが作れるはずだ。
「ようちぇいにょもりに、ちぇんいっ(妖精の森に、転移っ)」
手にした魔石に魔力を込めれば、それはやはり青く、淡く光……また、視界が切り替わった。
とても、とても、静かな森。木々は鬱蒼としているのに、暗いとは感じられない、どこか華やかな森。その森を目の前にした私は、小さくガッツポーズを作って、歩き出すのだった。
(何がなんでも、素材をゲットしなきゃっ)
ベッドの上に腰かけて、耳と尻尾をピンっと立てて誓う私は、まずは動作確認ということで、この前探索した庭へと転移してみることにする。
「おにわ、ちぇんいっ(お庭、転移っ)」
青い魔石が淡く輝いたと思った瞬間、私の視界は切り替わり、庭の前へと出る。
体勢が悪かったせいで、尻餅をついてしまったものの、そこに人の気配はなく、ホッとする。
「ちぇーこーなにょっ(成功なのっ)」
行ったことのある場所への転移は、どうやら問題ないらしい。しかし、問題はここからだ。
この体で行ったことがない場所で、知識としてその光景を知っている場所に、果たして転移できるのか。
(本来は、行ったことのある場所にしか転移できないんだけど……『コツ生』と『モフ恋』はほぼ同じ舞台だから、行けない、かなぁ?)
違うゲームということで、一応違う舞台も用意されているが、それでも被る部分は多い。それならば、ゲームの力を部分的に引き継いでいる私なら、行けるのではないかと考えていた。
(もし無理だったら……この半年で、何とか素材調達しなきゃ)
その場合、活動範囲の関係から、錬金術による万能薬作成は不可能だろう。調薬の方ならば、素材の種類は豊富になっても、多分、きっと、集められる範囲内だ。
(本当は、病名とかが分かればピンポイントの薬を作れるんだけどなぁ……)
しかし、残念ながら、私は医者ではない。そして、それとなくメリーに聞いてみたことはあるものの、誤魔化されてしまって、分からなかった。
(医学書とか、ここにはないし、病名なんて、調べられないよなぁ……)
薬には、その病気に対応した名前がついており、私はその全てを記憶できている自信があった。しかし、所詮はゲーム。その病気の症状までは描かれない。
(とりあえず、今は実験! 危険が少なくて、人が来ない場所で、素材の種類が豊富な場所とくれば、一つしかないっ)
そこは、高レベルの錬金術師か調薬師、鍛冶師のみが行けるボーナスステージ。そこで手に入れた素材はとても良質で、わりと色々な種類のものが作れるはずだ。
「ようちぇいにょもりに、ちぇんいっ(妖精の森に、転移っ)」
手にした魔石に魔力を込めれば、それはやはり青く、淡く光……また、視界が切り替わった。
とても、とても、静かな森。木々は鬱蒼としているのに、暗いとは感じられない、どこか華やかな森。その森を目の前にした私は、小さくガッツポーズを作って、歩き出すのだった。
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