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第一章 幼少期編
第七話 庭、到着!
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そこから先は、試練の連続だった。長く果ての見えない堅牢な道『廊下』を走り抜け、ふいにやってくる黒い影『メイド』達から隠れ、断崖絶壁のごとく立ちはだかる『階段』を下りる。それは、さながらスパイ映画のごとく……。
(って、そんなわけないよね)
要するに、幼児の体は不便の連続だったというだけのことだ。しかし、努力した甲斐はあった。どこに外へ通じる道があるのかも分からず、ただただ、自分の居た部屋が二階ぐらいだろうということしか分からなかったことを考えると、ここへ辿り着けたのは快挙といえる。
「しょとっ(外っ)」
正確にいうならば、『庭』なのだが、それでも外であることに変わりはない。外であれば、素材の十や二十、集められる。
(なにせ、ただの小石さえも素材なんだからっ)
とりあえず、私のリミットは、夕食だ。その時までに、目一杯素材集めができるというわけだ。
(疲れた、けど、ここからが踏ん張り時っ!)
そっと小さな足を踏み出して、私は庭をちょこちょこと歩き回る。
(小石、雑草、夜光石、雑草、虫はいやぁ!)
夜光石なんていう珍しいものも見つけたが、とりあえず、サクサクと採取していく。……雑草と虫以外。
(うー、ない。あれなら、そこら辺に転がってるイメージなんだけどなぁ……)
メリーを助けるためには、やはり、神霊樹の森に行かなければならない。そう結論を出した私は、それを実現させるための道具を作ろうと、必死に材料を探していた。
「かりゃのましぇき、にゃいー(空の魔石、ないー)」
『コツ生』では、小石に紛れて、空の魔石は大量に転がっているものだった。それこそ、序盤はもちろん、終盤になってもその出現率は変わらないという徹底っぷり。だからこそ、私は、そのくらい簡単に入手できると思っていたのだが……見事に、欠片も見当たらない。
「うー」
この時の私は忘れていた。ここが公爵家であるということを。そして、それを考えれば、空の魔石を庭に捨てるなどあり得ないということを。
「みゅー」
手に入るのは、やはり、小石ばかり。こんなに小石を集めても、できるのはせいぜい鈍器くらいのものだ。
「っ、しょーだっ、しゃーち! (っ、そうだっ、サーチ!)」
と、そこで、私は素材集めに必須の魔法、『サーチ』を発動させる。ここ一年ちょっとの間、まだこの魔法を使っていなかったため忘れていたが、これは案外優秀な魔法なのだ。今の私なら、半径五メートルほどの範囲に絞るくらいでもちょうどいい。
「みゅ?」
そして、私は見つけた反応に、首をかしげた。
(って、そんなわけないよね)
要するに、幼児の体は不便の連続だったというだけのことだ。しかし、努力した甲斐はあった。どこに外へ通じる道があるのかも分からず、ただただ、自分の居た部屋が二階ぐらいだろうということしか分からなかったことを考えると、ここへ辿り着けたのは快挙といえる。
「しょとっ(外っ)」
正確にいうならば、『庭』なのだが、それでも外であることに変わりはない。外であれば、素材の十や二十、集められる。
(なにせ、ただの小石さえも素材なんだからっ)
とりあえず、私のリミットは、夕食だ。その時までに、目一杯素材集めができるというわけだ。
(疲れた、けど、ここからが踏ん張り時っ!)
そっと小さな足を踏み出して、私は庭をちょこちょこと歩き回る。
(小石、雑草、夜光石、雑草、虫はいやぁ!)
夜光石なんていう珍しいものも見つけたが、とりあえず、サクサクと採取していく。……雑草と虫以外。
(うー、ない。あれなら、そこら辺に転がってるイメージなんだけどなぁ……)
メリーを助けるためには、やはり、神霊樹の森に行かなければならない。そう結論を出した私は、それを実現させるための道具を作ろうと、必死に材料を探していた。
「かりゃのましぇき、にゃいー(空の魔石、ないー)」
『コツ生』では、小石に紛れて、空の魔石は大量に転がっているものだった。それこそ、序盤はもちろん、終盤になってもその出現率は変わらないという徹底っぷり。だからこそ、私は、そのくらい簡単に入手できると思っていたのだが……見事に、欠片も見当たらない。
「うー」
この時の私は忘れていた。ここが公爵家であるということを。そして、それを考えれば、空の魔石を庭に捨てるなどあり得ないということを。
「みゅー」
手に入るのは、やはり、小石ばかり。こんなに小石を集めても、できるのはせいぜい鈍器くらいのものだ。
「っ、しょーだっ、しゃーち! (っ、そうだっ、サーチ!)」
と、そこで、私は素材集めに必須の魔法、『サーチ』を発動させる。ここ一年ちょっとの間、まだこの魔法を使っていなかったため忘れていたが、これは案外優秀な魔法なのだ。今の私なら、半径五メートルほどの範囲に絞るくらいでもちょうどいい。
「みゅ?」
そして、私は見つけた反応に、首をかしげた。
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