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第一章 肝試しの夜
第十六話 黒板(芦田・鹿野田・望月グループ)
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ふと視界に入った黒板。それは、本来なら注視すべきものなどないはずだった。しかし……。
「清美!?」
そんな芦田の声に、座り込んでいた鹿野田と望月も反応する。
「えっ!?」
「清美ちゃん!? どこっ!?」
キョロキョロと周囲を見渡した二人はやがて、芦田が何を見ているのかに気づく。
「キヨ、ちゃん……?」
「何……あれ……?」
芦田と同じく黒板へと視線を向けた二人は、ようやくその異常に気づく。
それは…………黒板に埋め込まれた清美の姿だった。
「ど、どうし……い、生きてる、の……?」
体勢としては、膝立ちなのだろう。清美の背面の膝から下は黒板に埋め込まれているが、それ以外は表に出ている。
清美自身は、しっかりと目を閉じていて、眠っているのか、それとも死んでしまっているのか……それすらも分からない。
ただ……顔色は、とても悪く見えた。
「っ……助けるぞ!」
少しの間、呆然としていた芦田だったが、すぐに現状を把握して、何か清美を救う手段がないかと周辺へ視線を巡らせ、教室の椅子に目を留める。
「手伝え、鹿野田っ」
「わ、分かった!」
椅子を手に取って掲げる芦田の姿に、鹿野田も何をするつもりなのかを理解して、同じように別の椅子を手に取る。
「わ、私は!?」
「優愛ちゃんはー、しっかり照らして!」
「っ、分かった!!」
清美から少し離れたサイド。そこに、芦田と鹿野田がそれぞれ椅子を構えて……。
「いくぞっ!」
「うんっ!」
大きく振り下ろされた椅子。しかし……。
「ぐっ」
「うわっ!」
「っ、二人ともっ、大丈夫!?」
黒板に椅子が当たる直前、その椅子は、見えない何かに弾き飛ばされる。そして、反動が大きかったのか、芦田は後方へよろめくだけで済んだものの、鹿野田はそのままひっくり返る。
「俺は大丈夫だっ。鹿野田は!?」
「っ……結構、手が痺れたけどー、何とか?」
そう言いながらも、やはりどこか怪我をしたのか動かない鹿野田。しかし、次の瞬間。
「っ、危ない!」
芦田に向かって声を張り上げた鹿野田。その視線の先には……。
黒板から、無数に伸びる白い手があった。
「うおっ」
「っ、芦田君っ、鹿野田君! 黒板から離れて!」
と、そこで、望月は大きく振りかぶって……。
「これでも、くらえーっ!!」
恐らくは、筆箱の中身と思われるもの。鉛筆、シャーペン、ラインマーカー、三角定規、コンパス、カッターやハサミなどなど、多少は凶器にもなりそうな物も含めて、大量の白い手に降り注ぐ。
「逃げるよ!」
「っ、待て! 清美がっ」
「そんなこと言ってる場合じゃないから! 鹿野田君もっ!」
「うん、そうだねー」
芦田と鹿野田の手を取って、とにかく黒板から離れようとする望月。
芦田はそれでも、清美が気になるようだったが、今はそれどころではないと望月も全力で引っ張る。
鹿野田は、少し声に元気がないものの、それでも望月の手に逆らうことなく進む。そして……。
「きゃあっ!」
「うおっ」
「わっ」
いつの間にか空いていた穴に落ちて、三者三様の悲鳴を上げる羽目になった。
「清美!?」
そんな芦田の声に、座り込んでいた鹿野田と望月も反応する。
「えっ!?」
「清美ちゃん!? どこっ!?」
キョロキョロと周囲を見渡した二人はやがて、芦田が何を見ているのかに気づく。
「キヨ、ちゃん……?」
「何……あれ……?」
芦田と同じく黒板へと視線を向けた二人は、ようやくその異常に気づく。
それは…………黒板に埋め込まれた清美の姿だった。
「ど、どうし……い、生きてる、の……?」
体勢としては、膝立ちなのだろう。清美の背面の膝から下は黒板に埋め込まれているが、それ以外は表に出ている。
清美自身は、しっかりと目を閉じていて、眠っているのか、それとも死んでしまっているのか……それすらも分からない。
ただ……顔色は、とても悪く見えた。
「っ……助けるぞ!」
少しの間、呆然としていた芦田だったが、すぐに現状を把握して、何か清美を救う手段がないかと周辺へ視線を巡らせ、教室の椅子に目を留める。
「手伝え、鹿野田っ」
「わ、分かった!」
椅子を手に取って掲げる芦田の姿に、鹿野田も何をするつもりなのかを理解して、同じように別の椅子を手に取る。
「わ、私は!?」
「優愛ちゃんはー、しっかり照らして!」
「っ、分かった!!」
清美から少し離れたサイド。そこに、芦田と鹿野田がそれぞれ椅子を構えて……。
「いくぞっ!」
「うんっ!」
大きく振り下ろされた椅子。しかし……。
「ぐっ」
「うわっ!」
「っ、二人ともっ、大丈夫!?」
黒板に椅子が当たる直前、その椅子は、見えない何かに弾き飛ばされる。そして、反動が大きかったのか、芦田は後方へよろめくだけで済んだものの、鹿野田はそのままひっくり返る。
「俺は大丈夫だっ。鹿野田は!?」
「っ……結構、手が痺れたけどー、何とか?」
そう言いながらも、やはりどこか怪我をしたのか動かない鹿野田。しかし、次の瞬間。
「っ、危ない!」
芦田に向かって声を張り上げた鹿野田。その視線の先には……。
黒板から、無数に伸びる白い手があった。
「うおっ」
「っ、芦田君っ、鹿野田君! 黒板から離れて!」
と、そこで、望月は大きく振りかぶって……。
「これでも、くらえーっ!!」
恐らくは、筆箱の中身と思われるもの。鉛筆、シャーペン、ラインマーカー、三角定規、コンパス、カッターやハサミなどなど、多少は凶器にもなりそうな物も含めて、大量の白い手に降り注ぐ。
「逃げるよ!」
「っ、待て! 清美がっ」
「そんなこと言ってる場合じゃないから! 鹿野田君もっ!」
「うん、そうだねー」
芦田と鹿野田の手を取って、とにかく黒板から離れようとする望月。
芦田はそれでも、清美が気になるようだったが、今はそれどころではないと望月も全力で引っ張る。
鹿野田は、少し声に元気がないものの、それでも望月の手に逆らうことなく進む。そして……。
「きゃあっ!」
「うおっ」
「わっ」
いつの間にか空いていた穴に落ちて、三者三様の悲鳴を上げる羽目になった。
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