ポッチャリ三団子の逆襲 〜異世界で要らないと捨てられました〜

星宮歌

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第三章 三団子、隣国へ

第五話 砦の中の三団子4

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 騎士の後ろ姿を見送り、三団子は再び部屋の中に戻る。もちろん、鍵をかけるのも忘れずに。


「どうしよう……」


 そんな情けない声を出すのは、末っ子赤団子。
 いつもいつもしっかりとしているイメージではあるものの、本当に行き詰まってしまった今、何も案は浮かばない様子だ。


「ロドフ君が危険かもしれないけど、助けにも行けない……」


 三男の黄団子も、状況は理解している。足手まといにしかならないであろう自分達が行動しても、何も良いことはないと分かっているのだ。
 そんな赤団子と黄団子の姿に、ヘルはオロオロとしながら、それでもどんな言葉を掛ければ良いのか分からないらしく、何も言えないままに交互に二人の姿を見る。


「……待とうかぁ」

「キャンッ!」


 そんな弟達の姿を見て、決断を下すのは次男の青団子だった。それに付随する形で、子狼も元気良く鳴き声をあげる。


「「でも……」」


 心情的には、心配だったり不安だったりするであろう黄団子と赤団子。反射的にそんな言葉を返して、それでもその先は続かない。


「大丈夫。ロドフ君は強いよぉ。それに、騎士さんだって居る。僕達は、帰ってきたロドフ君がのんびりできるように、美味しいものを準備して待っていれば良いんだよぉ」


 まるで、戦場に夫を送り出した妻のようなセリフだが、青団子の言葉は間違ってはいない。


「僕達には、僕達の出来ることで頑張れば良いんだぁ。適材適所だよぉ。できないことを無理にしたって、迷惑なだけだからねぇ」


 とっても正論な青団子の言葉は、何か悪いものでも食べたのではないかと疑いたくなるものではあったものの、きっと、三団子はどんなものでもお腹を壊すことなく食べてしまえると思えるため、それだけはないだろう。


「ヘル君も、怖いかもしれないけど、しばらくはここに隠れていようねぇ」

「う、うん」


 青団子の声かけによって、黄団子と赤団子はハッとした様子を見せる。
 今、この場には三団子と、どこに行っても生き抜けると思える子狼以外に、誰かの庇護がなければ死んでしまいかねないヘルが居るのだ。つまり、三団子には守るべきものがある。


「そうだよね。ロドフ君は心配だけど、ヘル君も守らなきゃ!」

「うん、しっかり立て籠もっておこう。まだ、外は騒がしいし、ここの騎士さん達を信じて待とう」


 意見が纏まった三団子は、早速とばかりに部屋の中央に移動する。
 扉は鍵をかけているし、頑丈だとの言葉をもらっていたものの、一応はバリケードになるものをということで、少し重い机や椅子を立て掛けてみたり、窓の方には近づかないようにしたりして、しっかりと対策をしていく。
 そうして、周囲が暗く鳴り始めた頃……コンコンコンと、扉をノックする音が聞こえた。
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