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第三章 三団子、隣国へ
第四話 砦の中の三団子3
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本来ならば、平和に過ごして、時間が来れば隣国へと足を踏み入れるはずだった三団子達。
青団子と黄団子は夢の中。赤団子とヘルはのんびりおやつを食べながら待機をし、ロドフは砦の散策及び情報収集。
三団子達の行動には、何ら問題はなかった。しかし、問題はそれ以外のところで起こっていた。
カンカンカンカン――――。
突如として鳴り響く鐘の音。けたたましく、警鐘として使われているのだということは、何の知識もない赤団子にも理解できた。
「っ、二人とも、起きてっ!」
「んん……もう、朝ぁ?」
「朝、ご飯……」
何が起こったかは分からない。まだ、ロドフは散策から戻らず、この場には子狼以外に戦えそうな者も居ない。
だらしなく涎を垂らしている青団子と黄団子は、その汚らしい姿でどうにか目を覚ますと、ようやく異常に気がついたらしく、赤団子へと説明を求めてか視線を向ける。
「まだ、鐘が鳴ってるだけだけど、多分、外で何か起きてるんだと思う。ロドフ君はまだ戻ってなくて、それも心配だけど、今は何が起こってるのかを知らないとっ」
赤団子も多少は混乱しているのか、とにかく思いつくままに状況の説明やこれからのことを話す。そして、そんな赤団子の服の裾をギュッと掴むヘルは、怯えや恐怖の感情をその瞳に宿しながらも、取り乱すことなくじっとしている。
「扉の外の騎士さんに聞いてみよう!」
そう、青団子が告げて、扉を開けようとすると、その前に外から扉が開かれる。
「あぁ、すまん。今、騎士が魔物と交戦中なんだ。それで、極力ここから移動しないようにと話すつもりだったが……どこかに行くつもりだったのか?」
扉を開いたのは、先程三団子達をこの場所に案内してくれた騎士だった。
「いえ、ただ、何が起こっているのかを知りたくて、扉の前の騎士さんに聞こうと思っただけなので……」
そう答えた青団子だったが、周囲を確認してもロドフの姿が見えないことに気づく。
「あの、それと散策に行ったロドフ君の姿が見えないんですけど、大丈夫なんでしょうか?」
そう問えば、騎士は少し難しい顔をして話す。
「魔物が現れた場所を考えると問題ないと思いたいが、万が一がないわけではないだろうな。案内をしているであろう騎士が対処できればそれで良い。だが、魔物の量がとにかく多いから、絶対とは言えないな」
苦々しく告げる騎士の言葉は、きっと偽りのないものなのだろう。それだけに、その内容は三団子へ衝撃を与える。
三団子には、戦闘能力らしいものは欠片もない。そのため、きっと助けに行くなどというのは無茶無謀であるし、どう考えても足手まといにしかならない。
戦場で三団子にできることがあるとするならば、その巨体で注目を集める程度で、それ以上のことはこんなデップリボヨヨン体型に期待すべきではないのだ。
「この扉は施錠しておけばそれなりに頑丈な造りだそうだ。お前達は、ここで立て籠もっていれば良い。俺はこれから、応援に向かうからな」
そう言った騎士に、三団子達は何も言えないままに送り出すこととなった。
青団子と黄団子は夢の中。赤団子とヘルはのんびりおやつを食べながら待機をし、ロドフは砦の散策及び情報収集。
三団子達の行動には、何ら問題はなかった。しかし、問題はそれ以外のところで起こっていた。
カンカンカンカン――――。
突如として鳴り響く鐘の音。けたたましく、警鐘として使われているのだということは、何の知識もない赤団子にも理解できた。
「っ、二人とも、起きてっ!」
「んん……もう、朝ぁ?」
「朝、ご飯……」
何が起こったかは分からない。まだ、ロドフは散策から戻らず、この場には子狼以外に戦えそうな者も居ない。
だらしなく涎を垂らしている青団子と黄団子は、その汚らしい姿でどうにか目を覚ますと、ようやく異常に気がついたらしく、赤団子へと説明を求めてか視線を向ける。
「まだ、鐘が鳴ってるだけだけど、多分、外で何か起きてるんだと思う。ロドフ君はまだ戻ってなくて、それも心配だけど、今は何が起こってるのかを知らないとっ」
赤団子も多少は混乱しているのか、とにかく思いつくままに状況の説明やこれからのことを話す。そして、そんな赤団子の服の裾をギュッと掴むヘルは、怯えや恐怖の感情をその瞳に宿しながらも、取り乱すことなくじっとしている。
「扉の外の騎士さんに聞いてみよう!」
そう、青団子が告げて、扉を開けようとすると、その前に外から扉が開かれる。
「あぁ、すまん。今、騎士が魔物と交戦中なんだ。それで、極力ここから移動しないようにと話すつもりだったが……どこかに行くつもりだったのか?」
扉を開いたのは、先程三団子達をこの場所に案内してくれた騎士だった。
「いえ、ただ、何が起こっているのかを知りたくて、扉の前の騎士さんに聞こうと思っただけなので……」
そう答えた青団子だったが、周囲を確認してもロドフの姿が見えないことに気づく。
「あの、それと散策に行ったロドフ君の姿が見えないんですけど、大丈夫なんでしょうか?」
そう問えば、騎士は少し難しい顔をして話す。
「魔物が現れた場所を考えると問題ないと思いたいが、万が一がないわけではないだろうな。案内をしているであろう騎士が対処できればそれで良い。だが、魔物の量がとにかく多いから、絶対とは言えないな」
苦々しく告げる騎士の言葉は、きっと偽りのないものなのだろう。それだけに、その内容は三団子へ衝撃を与える。
三団子には、戦闘能力らしいものは欠片もない。そのため、きっと助けに行くなどというのは無茶無謀であるし、どう考えても足手まといにしかならない。
戦場で三団子にできることがあるとするならば、その巨体で注目を集める程度で、それ以上のことはこんなデップリボヨヨン体型に期待すべきではないのだ。
「この扉は施錠しておけばそれなりに頑丈な造りだそうだ。お前達は、ここで立て籠もっていれば良い。俺はこれから、応援に向かうからな」
そう言った騎士に、三団子達は何も言えないままに送り出すこととなった。
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