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第三章 三団子、隣国へ

第三話 砦の中の三団子2

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 サクッと食事シーンは飛ばして、最近は残った食器やカトラリーを消すこともできるようになった三団子は、証拠隠滅とばかりに全てを消して、何もなかった状態へと戻す。そして……。


「少し、砦の中の散策をさせてもらいますか?」


 休憩をしっかり挟んだことで、ロドフも落ち着きを取り戻したらしく、そんな提案をしてくる。


「うーん、僕は、ここで待ってるよぉ」

「うん、僕も、ちょっと眠くなってきたし」

「興味はあるけど、多分、僕達はあまり出歩かない方が騎士さん達も安心だろうからね。ロドフ君とヘル君の二人で散策してきても良いよ」


 黄団子の『眠くなってきた』という言葉も嘘ではないだろうが、赤団子のその気遣いが他の青団子、黄団子に無かったということもないのだろう。
 そんな言葉を受けたロドフは、少し戸惑ったような表情を浮かべた後、『ヘル君はどうしますか?』と問いかける。


「……僕も、ここにいる!」


 ぎゅっと赤団子の服を掴むヘルは、もしかしたら人見知りを発動しているのかもしれない。
 先程は騎士に憤っていたとはいえ、ヘルが三団子に助けられた状況を考えると、むやみに周囲の大人に助けを求められる環境ではなかったのだろう。知らない大人が居る場所を警戒するのは当然の流れだった。


「……なら、俺は情報収集がてら、散策してきますね。何もないとは思いますが、注意だけはしておいてください」

「「「はーい、ロドフ君も気をつけて!」」」

「うん」

「キャンキャンッ!」


 子狼はどこか張り切っている様子で鳴き声をあげているが、それを気にするのは現在、ヘルくらいのものらしく、ヘルは元気が有り余る様子の子狼の頭をよしよしと撫でる。
 そんな様子を確認したロドフは、そのまま扉の外に待機していた騎士に声をかけて、一人で散策に出ていってしまった。


「さて、僕達はどうしようかぁ?」

「お昼寝でも良いけど……」

「そうすると交代でお昼寝だね。ヘル君は、眠くない?」

「僕、だいじょうぶです」


 さすがの三団子も、見知らぬ人間が多く居るこの場所で、見張りも立てずに眠りこけるつもりはないらしい。
 話し合いの結果、先に青団子と黄団子が休み、その間は赤団子とヘル、子狼が起きておくということで決まった。備え付けのベッドの掛け布団だけを借りる形で、青団子と黄団子は背中を壁に寄りかからせる形で眠る。


「じゃあ、僕達ものんびりしながら警戒しておこうか」


 そうして、赤団子は黄団子に眠る前に出してもらったお茶を片手に、お菓子をいくつか並べておやつタイムに突入したのだった。
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