ポッチャリ三団子の逆襲 〜異世界で要らないと捨てられました〜

星宮歌

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第三章 三団子、隣国へ

第二話 砦の中の三団子1

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 三団子が魔物だという誤解は何とか解いたものの、検問所の騎士達の総意で三団子をこのまま並ばせるわけにもいかないという結論に達したらしく、三団子達は検問所の砦の中へと案内される。


「とりあえず、今出てもらったら、さすがに人目に付きすぎて大変だろうから、人がほとんど居ない時間に出てもらおうということになった。すまないが、協力を頼む」


 砦を案内していた騎士の言葉に、三団子達は素直に頷く。
 実際、この検問所は長蛇の列が出来ていて、その長さはここからさらに伸びるであろう状況だ。
 三団子を見た人物が全員、騎士に通報するような状況になってしまえば、誰もが身動きの取れない状態になってしまうであろうことは想像に難くない。


「身分証明書は、全て問題なかった。恐らくは夜になってしまうだろうが、少しの間だけ辛抱してほしい」

「分かりました。それまでの間はこの部屋で待てば良いですか?」

「あぁ、もちろん、外の騎士に声をかけて案内できる範囲を案内してもらうということもできるから、退屈を持て余すようなら話してみてくれ。俺は、まだ検問の仕事があるから、少し席を外すが、終わればすぐにそちらへ向かうと約束しよう」


 そう告げて、その騎士は他の騎士に呼ばれる形でこの場を後にする。

 デップリポヨヨン三団子は、初めて入る砦の中を目を輝かせて見渡しているのだが、残念ながら三団子が目を輝かせても良く見えない。贅肉が邪魔をして、その目をしっかり見ることは難しいのだ。


「ひとまず、何とかなりましたね」

「まもの、ひどい」


 ロドフは現状に一安心したのか、肩の力を少し抜いている形だったが、ヘルは先程の騎士や周囲の人々の反応に憤慨しているようだった。
 ロドフもヘルも、三団子に助けられたという点では共通した仲間である。しかし、ロドフはヘルよりは大人で、ヘルはまだまだ経験の浅い子どもであることには変わりない。ヘルが直接的な表現をしたところで、誰も責める者は居なかった。


「僕達は大丈夫だよぉ」

「そうそう、別に不思議でもないしね!」

「ちょっとびっくりされるくらい、よくあることだから、ロドフ君もヘル君もそんな顔をしないで」


 とはいえ、ロドフとてヘルよりは大人であっても、大人ではない。何もかもを飲み込むだけの器量は持ち合わせていないのだ。だから、末っ子赤団子が指摘できるほどにその表情を歪めていても不思議ではなかった。


「……努力はします」

「むぅ……」


 表情を歪めながらもそう宣言するロドフと、納得がいかない様子のヘルに、三団子はお互いの顔を見合わせて……こういう時は食べるに限るとばかりに、二人が好きな食べ物を次々にスキルで登場させるのだった。
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