ポッチャリ三団子の逆襲 〜異世界で要らないと捨てられました〜

星宮歌

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第三章 三団子、隣国へ

第一話 検問所と三団子

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 本来、隣国に着く時期はもう少し後になる予定だった。なんせ、ヘルという幼い子どもが居るのだ。無理はさせられないし、無理をさせるつもりも三団子達にはなかった。
 ただ、そのヘルのスキルがあまりにも有用だったのだ。


「すごかったねぇ」

「ヘル君、ありがとう!」

「亜空間収納って、絶対隠さなきゃならないスキルだよね」

「隠し事が増えるのは今更ですが、ひとまず、スキルに関しては全部秘密の方向でいきましょう」

「は、はい、あの、僕、みなさんにたすけてもらってるから、これくらいはとうぜんです」

「キャンッ!」


 そう、ヘルのスキルは、亜空間収納。異世界の便利スキルとして代表的なそれを、ヘルは持っていたのだった。

 ……もう、ロドフやヘルのどちらかが主人公でもおかしくはないのだが、やはりこの物語は三団子のもの。多少別人の視点が入ることになろうとも、このデップリボヨヨンボディから逃れることはできないのだ。


「さて、もうこの先は隣国。つまりは、国境の検問所を通過することになりますが、ひとまずは旅人ということで通しますので、そのつもりでお願いしますね」

「「「はーい」」」

「はい」

「キャンッ!」


 ロドフの確認にいい子のお返事をする三団子とヘル、そして、ヘルが加入したことによって、名前を付けてもらった子狼。

 ……ヘルや子狼は分かるが、三団子よ。それなりに良い歳をしているのだから、その返事はいかがなものかと思うぞ?

 そんなこんなで検問所へ向かえば、少なくない人数が行列を作っていた。


「検問所って、こんなに長い列ができるんだねぇ」

「僕達、こういうところ初めてだもんね!」

「商人さんとかも多いのかな?」


 そう、呑気に話す三団子だが、周囲の人間は三団子の出現にギョッとした表情を浮かべる。
 一応、人の言葉を話しているということと、ロドフやヘルが平然と話す姿を見ることで魔物ではないと分かりそうなものなのだが、遠目で確認する者にそれは分からない。
 誰かが呼んだのか、すぐに検問所の騎士が三団子達の前に現れる。


「君達、その魔物から離れるんだ!」


 抜剣して、いつでも三団子に斬りかかれる構えの騎士の姿に、ヘルは首を傾げ、ロドフはピキリと青筋を立てる。そして、三団子は理由も分からず困惑気味だ。


「検問所の騎士様とお見受けしますが……もし、この御三方のことを魔物とおっしゃっているのであれば、口を慎んでいただきたい。彼らは、れっきとした人間です」

「「「「え゛っ」」」」


 ロドフのその宣言に、周囲に居た人々は思わずといった形で声を洩らし、固まるのだった。
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