ポッチャリ三団子の逆襲 〜異世界で要らないと捨てられました〜

星宮歌

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第二章 三団子、旅をする

第四十二話 再び商業ギルドと三団子5

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 三団子達は、話し合いを行った結果、一つの結論を出した。それは、やはり……。


「「「僕達、種を提供します!」」」


 危険ではあれど、多くの人々の命を救うであろう道だった。


「契約内容は、先程、実さん達が話した通りに変えましょう。そうでなければ、こちらのデメリットが大きいので」


 三団子が種の提供者だという情報が漏れた場合、スフィンは命を失う。そんな契約内容だったそれは、現状では悪手だ。
 どう考えても、国から情報を探られることは不可避であるし、それで情報が漏れてスフィンが死んでしまえば、三団子を守る者も居なくなるのと同じだった。
 少し大きな町の商業ギルド長とはいえ、この短期間で国の上層部の思惑を掴んでくるその諜報能力はとても大きなものだ。そして何より、本気で町の住民を守りたいという思いが、スフィンにはしっかりと存在している。


「ギルド長には、俺達の情報を漏れないようにしてもらいたいというのはありますが、それだけではなく、何かあった時の守りにもなってもらいたい」


 だから、その意思をロドフは明確に伝える。


「僕達、戦闘能力はないんだぁ」

「一応、この国を離れるつもりではあるけど……」

「国を離れたからといって、僕達は兄さんを見捨てるつもりはないんです」


 今のままでは、三団子は兄の質を助けることはできない。しかし、国を離れ、安全を確保した上で態勢を立て直せば、もしかしたら何か救出するための手段が生まれるかもしれないのだ。
 三団子は、簡単に兄の質が国の上層部に囚われており、もしかしたら奴隷として扱われているかもしれないことをスフィンに説明する。


「なるほど、そういうことでしたら、契約の書き換えを行うとしよう。そして、私は必ず、貴方方の守りとなるよう手を尽くそう」

「「「ありがとうございます!」」」

「感謝します。スフィンギルド長」


 正直に言えば、国の追っ手がいつ来るか分からない以上、たった一人の守りが増えたところでどうにもならないかもしれない。
 今できることは、この種の情報を最大限隠すこと。そして、三団子の守りを固めること。それから……。


「じゃあ、僕達はぁ」

「種をたーくさん作って」

「色々と引っ掻き回すね!!」


 今回決めた作戦の一つに、情報の撹乱がある。
 三団子が城に種を送りつけることができていることが前提ではあるものの、それができてきるのであれば、あの女王様に対抗する勢力に種を送りつけることが今は一番有効だと思われた。
 今現在は、大きな勢力ではないかもしれない。しかし、ここに居るスフィンのように、民が食べられないという現実に心を痛める貴族とて居るはずなのだ。
 そうした貴族達の情報をスフィンから得て、その邸宅に種を送りつける。それが、三団子達が考えた最大の対抗手段だった。


「よく考えたものだ。元々、城にその種があったと判明した時には、貴族だけでなく民の不満を爆発させる起爆剤にもなる。そして、民に種を還元しようとした領主達は、民の信頼を得て、力を付けることもできる。上手くすれば、国をひっくり返すことも可能だろう」


 そんなことになれば、犯人捜しなどしている場合ではなくなる。そして、奴隷として扱われているかもしれない異世界人達が見つかれば、保護してもらえるかもしれない。

 どこまでも希望的観測ばかりではあるものの、現実にあり得ない話でもない。
 三団子達は、今、初めて、明確に召喚主達へと牙を剥いたのだ。
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