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第二章 三団子、旅をする
第四十話 再び商業ギルドと三団子3
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なにはともあれ、聞かないことには何も分からない。
三団子は大きく頷いて、『僕達は大丈夫』と告げる。そして、それを聞いてしまえば、ロドフとて同じように聞くという決断をするわけで、『俺も大丈夫です』と応えた。
「それじゃあ、そうだな……一気に結論から言ってしまおう。今回の干ばつや飢饉は、人為的に引き起こされたものの可能性が高い」
「…………はっ……?」
三団子のついでくらいのつもりで聞いていたであろうロドフにとって、地雷のような言葉が投げかけられる。
ロドフ自身、混乱しているのか一言発したきり固まっていたが、それでも徐々に内容を理解し始めたらしく、その表情が憤怒に染まる。
「それって……俺の、両親を、故郷を、奪った奴が居るってことですか?」
ともすれば殺気すらも纏わせるロドフの様子に、スフィンは痛ましげにしながらも頷く。
「そう捉えてもらって構わない。そして、そいつらにとって、この種は都合の悪いものでもあるんだ」
人為的に引き起こされた干ばつと飢饉。そして、それを解決するための種を都合の悪いものとして見る者達の存在。
それは、三団子達の予想を遥かに超えた内容であったが、それでも三団子はグッと分厚い唇を噛み締めて何かを我慢するかのような表情になる。
「『そいつら』ってことは、当然、大きな団体ってことですよね? そして、その目的に関しても、何か掴んでいるんじゃないですか?」
問いかけたのは、末っ子赤団子。いつもながらに鋭い発言ではあるものの、今回の場合、それが良いことなのか悪いことなのか……。察しが良すぎるのも、もしかしたら考えものなのかもしれない。
「……そうだ。相手がどういう集団なのかも、その目的に関しても、断片的な情報ばかりだが、それでも少しは分かっている状態だ。ただ……当然ながら、胸くそ悪い内容になる」
そう言ったスフィンは、再度三団子達の覚悟を確認するようにその視線を三団子達へと向ける。しかし、誰一人として目を逸らすことなく、スフィンを見つめ返す。
どんな内容だとしても、三団子達は知らなくてはならない情報なのだということを理解していたのか、はたまた、怒りからくる無謀なのか、その辺りは不明だが、それでも、スフィンは『覚悟十分』と判断したのだけは確かだった。
「相手は、この国の上層部。そして、目的は、まだ推測の段階ではあるが、全国民の奴隷化だ」
それは、三団子達にとって、あまりにも大きな敵であるということを示す情報だった。
三団子は大きく頷いて、『僕達は大丈夫』と告げる。そして、それを聞いてしまえば、ロドフとて同じように聞くという決断をするわけで、『俺も大丈夫です』と応えた。
「それじゃあ、そうだな……一気に結論から言ってしまおう。今回の干ばつや飢饉は、人為的に引き起こされたものの可能性が高い」
「…………はっ……?」
三団子のついでくらいのつもりで聞いていたであろうロドフにとって、地雷のような言葉が投げかけられる。
ロドフ自身、混乱しているのか一言発したきり固まっていたが、それでも徐々に内容を理解し始めたらしく、その表情が憤怒に染まる。
「それって……俺の、両親を、故郷を、奪った奴が居るってことですか?」
ともすれば殺気すらも纏わせるロドフの様子に、スフィンは痛ましげにしながらも頷く。
「そう捉えてもらって構わない。そして、そいつらにとって、この種は都合の悪いものでもあるんだ」
人為的に引き起こされた干ばつと飢饉。そして、それを解決するための種を都合の悪いものとして見る者達の存在。
それは、三団子達の予想を遥かに超えた内容であったが、それでも三団子はグッと分厚い唇を噛み締めて何かを我慢するかのような表情になる。
「『そいつら』ってことは、当然、大きな団体ってことですよね? そして、その目的に関しても、何か掴んでいるんじゃないですか?」
問いかけたのは、末っ子赤団子。いつもながらに鋭い発言ではあるものの、今回の場合、それが良いことなのか悪いことなのか……。察しが良すぎるのも、もしかしたら考えものなのかもしれない。
「……そうだ。相手がどういう集団なのかも、その目的に関しても、断片的な情報ばかりだが、それでも少しは分かっている状態だ。ただ……当然ながら、胸くそ悪い内容になる」
そう言ったスフィンは、再度三団子達の覚悟を確認するようにその視線を三団子達へと向ける。しかし、誰一人として目を逸らすことなく、スフィンを見つめ返す。
どんな内容だとしても、三団子達は知らなくてはならない情報なのだということを理解していたのか、はたまた、怒りからくる無謀なのか、その辺りは不明だが、それでも、スフィンは『覚悟十分』と判断したのだけは確かだった。
「相手は、この国の上層部。そして、目的は、まだ推測の段階ではあるが、全国民の奴隷化だ」
それは、三団子達にとって、あまりにも大きな敵であるということを示す情報だった。
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