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第二章 三団子、旅をする
第三十三話 幼い子どもと三団子4
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ロドフの妙に圧のある笑顔に、子どもは少し涙目になったが、それでも言うか否かを迷っているようだった。
「それは、その……」
言い淀むヘルの様子に、三団子もようやくヘルが何かを隠していることに気付いたようだった。
「僕達、ある程度なら協力できるよぉ」
「言えないことなら仕方ないけど……」
「迷惑だとかは、今は考えなくて良いんだよ」
「キャンキャンッ!」
三団子の優しい声かけと、子狼の鳴き声に励まされてからか、ヘルはゆっくりと顔を上げる。
「その、ぼくの、こきょうは、とてもとおいんです。でも、ぼく、そこにもどるしゅだんがなくて……」
しゅんと項垂れるヘルに、三団子は一斉に手を差し伸べようとして……。
「その場所はどこですか?」
そんなロドフの言葉で現実に引き戻される。
三団子の旅は、きっと危険だ。それに、幼いヘルを巻き込むわけにはいかない。
「……ハプナていこく、です」
「っ!? ハプナ帝国ですか!?」
三団子の知らない国の名前だが、実際、その国は今三団子が居る国の遙か南方に位置する場所で、ここからだと馬車などを最大限に駆使したとしても二月以上はかかる。しかも、ハプナ帝国の領土はこの世界最大の広さでもあり、ヘルの頼れる人がどこに居るのかは分からないが、場合によってはさらに一月かかってもおかしくはなかった。
三団子は、ロドフからそんな説明を受けて軽く位置関係も教えてもらって、考え込む。
「うーん、僕達が向かう方向と同じではあるよねぇ」
「そうだよね。僕達、ずっと南に下ってるみたいだし」
「ただ、僕達と一緒だと、トラブルに巻き込まれるかもしれないっていうのが問題なんだよね」
「クゥン」
暑苦しい三団子がデデンと並んで腕組みをする中、ヘルがおずおずと声を出す。
「あ、の……ぼく、ひとりで、だいじょうぶです。その、めいわく、かけるわけには、いかなくて……、それに、きけん、だし……」
遠慮する様子を見せるヘルだが、ヘルが一人でハプナ帝国に問題なく帰れるとはとても思えない。それは、ロドフも同じだったらしく、大きく首を横に振る。
「ハプナ帝国に行くまでには、どうしても盗賊や人攫いに警戒しなければなりません。一人で行かせるわけにはいきませんよ」
「そうだよねぇ。ねぇ、ロドフ君、ヘル君が僕達と一緒に行くのと、ヘル君が一人で行くのとだと、さすがに僕達と一緒の方が安全だよね?」
青団子のその言葉に、ロドフは渋々といった様子で頷く。
「えぇ、ですが、そうするのであれば色々と話さなければなりませんよ?」
「大丈夫だよ!」
「うん、ヘル君はきっと賢いだろうから、秘密はしっかり守れるよ」
「キャン!」
黄団子、赤団子もそう後押ししたことによって三団子達の意見は纏まる。
「分かりました。では、ヘル君は一緒に連れていきましょう」
そうして、ロドフはそんな決定を口にした。
「それは、その……」
言い淀むヘルの様子に、三団子もようやくヘルが何かを隠していることに気付いたようだった。
「僕達、ある程度なら協力できるよぉ」
「言えないことなら仕方ないけど……」
「迷惑だとかは、今は考えなくて良いんだよ」
「キャンキャンッ!」
三団子の優しい声かけと、子狼の鳴き声に励まされてからか、ヘルはゆっくりと顔を上げる。
「その、ぼくの、こきょうは、とてもとおいんです。でも、ぼく、そこにもどるしゅだんがなくて……」
しゅんと項垂れるヘルに、三団子は一斉に手を差し伸べようとして……。
「その場所はどこですか?」
そんなロドフの言葉で現実に引き戻される。
三団子の旅は、きっと危険だ。それに、幼いヘルを巻き込むわけにはいかない。
「……ハプナていこく、です」
「っ!? ハプナ帝国ですか!?」
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三団子は、ロドフからそんな説明を受けて軽く位置関係も教えてもらって、考え込む。
「うーん、僕達が向かう方向と同じではあるよねぇ」
「そうだよね。僕達、ずっと南に下ってるみたいだし」
「ただ、僕達と一緒だと、トラブルに巻き込まれるかもしれないっていうのが問題なんだよね」
「クゥン」
暑苦しい三団子がデデンと並んで腕組みをする中、ヘルがおずおずと声を出す。
「あ、の……ぼく、ひとりで、だいじょうぶです。その、めいわく、かけるわけには、いかなくて……、それに、きけん、だし……」
遠慮する様子を見せるヘルだが、ヘルが一人でハプナ帝国に問題なく帰れるとはとても思えない。それは、ロドフも同じだったらしく、大きく首を横に振る。
「ハプナ帝国に行くまでには、どうしても盗賊や人攫いに警戒しなければなりません。一人で行かせるわけにはいきませんよ」
「そうだよねぇ。ねぇ、ロドフ君、ヘル君が僕達と一緒に行くのと、ヘル君が一人で行くのとだと、さすがに僕達と一緒の方が安全だよね?」
青団子のその言葉に、ロドフは渋々といった様子で頷く。
「えぇ、ですが、そうするのであれば色々と話さなければなりませんよ?」
「大丈夫だよ!」
「うん、ヘル君はきっと賢いだろうから、秘密はしっかり守れるよ」
「キャン!」
黄団子、赤団子もそう後押ししたことによって三団子達の意見は纏まる。
「分かりました。では、ヘル君は一緒に連れていきましょう」
そうして、ロドフはそんな決定を口にした。
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