ポッチャリ三団子の逆襲 〜異世界で要らないと捨てられました〜

星宮歌

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第二章 三団子、旅をする

第三十二話 幼い子どもと三団子3

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「えっと、たすけてくれて、ありがと、ございました」


 ようやく、日中にも起きていられるようになった子どもは、まず、三団子達へ感謝を告げる。


「「「どういたしましてー」」」

「俺は、三人の指示に従っただけです」

「キャン!」


 ビクビクしながら、それでも、世話をされるうちに三団子の容姿に慣れたらしい子どもは、三団子達の言葉にホッとしたような表情を浮かべる。


「それで、もし君が良ければ、色々と聞きたいんだけどぉ」

「まずは名前とか?」

「うん、名前と年齢、誰か頼れる人が居るのかとかかな?」


 三団子は、どうやら子どものことをあまり深く聞くつもりはないらしい。
 例えば、この子どもが行方不明者となっていた場合、家族から名前や年齢で届け出があったかもしれない。そうであれば、ギルドと呼ばれる場所にはどのギルドでもその情報が登録されているので、そこから子どもを家族に引き渡すことができるかもしれないのだ。
 もちろん、子どもが家族から逃げてきたという可能性もあるわけで、その場合は問い合わせることなく頼れる人の下へ送り届けることになるだろう。


「なまえ、は、ヘル、です。としは、えっと……たぶん、じゅっさい?」


 コテンと首をかしげて答えるその子ども、ヘルは、どうやら自分の年齢が定かではないらしかった。


「それで、その、たよれるひとは、います。だから、だいじょうぶ、です」


 名前と年齢まではウンウンと頷きながら聞いていた三団子だったが、『頼れる人が居るから大丈夫』という返答には首を傾げる。
 なんせ、頼れる人が居て、大丈夫と言える状況ならば、ヘルは死にかけることなどなかったはずなのだから。
 そして、その疑念はロドフも感じ取っていたらしく、眉間にシワを寄せて尋ねる。


「その頼れる人というのは、どこにいますか?」


 もしかしたら、ヘルとその人物は離れ離れになっているのかもしれない。そして、相手の方が、ヘルを捜している状況かもしれない。そう思っての質問だったろうそれに、ヘルは少しだけ視線をさ迷わせて……。


「と、とおくに、います」


 そう濁して答える。


「遠いところかぁ」

「なら、僕達が連れて行った方が良いかな?」

「できることなら、相手に連絡もしたいね!」


 ひとまずは近くに居なかったせいでヘルが死にかけていたのだろうと納得した三団子は、ヘルの挙動不審な様子に気づかず、呑気にそんな相談をするのだが、ヘルの方はそれを聞いてどんどん視線がキョロキョロとしだす。


「それでは、諸々を含めて、正直に話してもらえますか?」


 そんなヘルに、ロドフはニッコリと笑いかけてそう告げるのだった。
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