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第二章 三団子、旅をする
第二十八話 空腹の町と三団子5
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その後は結局、身分証明書の発行手続きなどはできず、騒ぎを聞きつけたスフィンによって発行してもらえることになった。
「次からは、何か用事がある際は『ギルド長を呼んでほしい』と言ってもらえたら、こちらで対応する」
どこか疲れたような表情でそう言ったスフィンに、三団子は遠慮しようとしたものの、すかさずロドフが同意したことによって、事なきを得た。
ギルド職員の失神の原因は、もちろん三団子という脅威を前に恐れ慄いたから、というのもあるのだが、根本的には栄養不足が大きかったらしく、食料問題が解決しない限り、動けるかどうか不明だった。
そもそも、この町の住人は、ガリガリに痩せているとか、骨と皮だけレベルとか、そんな表現でしか言い表せないような状態の人が多い。さすがに、町を守る門番などにはある程度は食料を融通している状況らしいが、それでも日々の職務内容を考えると、足りないであろう量しか食べていないらしい。
ギルド職員が動けないということで、ご老人は家に帰り、三団子達も今度こそ帰ろうと商業ギルドを出る。
「早く、改善すると良いけどねぇ」
「うん、そうだよね」
「でも、もう僕達にできることはないからなぁ……」
そんな話をコソコソとする三団子。しかし、声は小さくとも体は巨大な三団子。目立つのはどうしても仕方のないことだった。そして……。
「ご、はん……くださ、い……」
そんな目立つ三団子に、何を思ったのか、小さな子どもがボロボロの体で、膝をつき、頭を地面にこすりつけ、両手を掲げて懇願する。そう、その子どもは、物乞いだった。
「「「っ……」」」
三団子は、物乞いに遭遇するのは初めてだ。元の世界で、そうした人に出会うことがなかったのもあるが、この世界では三団子の姿が恐れられて、物乞いですら近づこうとしなかったからだ。
ただ、この子どもは、もう目が見えているのかどうかも分からないくらいにフラフラと歩いていた。だから、三団子がどれだけ異常な姿を持つのかも分かっていない可能性が高かった。
「ダメです」
つい、何か食べ物をと考えてしまう三団子を否定するように、ロドフはたった一言、そう告げる。
「「「っ、でもっ!」」」
「こんな風に、一人一人に構っていてはキリがありませんよ」
ロドフの言葉は正論だ。たとえ、ここで何かを施したとしても、この子ども以外にも困窮している者は数多く存在する。その都度その都度で対応していたのならば、あっという間に三団子のスキルは知れ渡ってしまうだろう。
三団子の身の安全のためにも、ロドフは険しい表情で、三団子の優しさを否定した。
「それに……この子は、もう……長くはないでしょう」
そう、ロドフが言った直後、子どもはそのまま、力を失ってパタリと倒れた。
「次からは、何か用事がある際は『ギルド長を呼んでほしい』と言ってもらえたら、こちらで対応する」
どこか疲れたような表情でそう言ったスフィンに、三団子は遠慮しようとしたものの、すかさずロドフが同意したことによって、事なきを得た。
ギルド職員の失神の原因は、もちろん三団子という脅威を前に恐れ慄いたから、というのもあるのだが、根本的には栄養不足が大きかったらしく、食料問題が解決しない限り、動けるかどうか不明だった。
そもそも、この町の住人は、ガリガリに痩せているとか、骨と皮だけレベルとか、そんな表現でしか言い表せないような状態の人が多い。さすがに、町を守る門番などにはある程度は食料を融通している状況らしいが、それでも日々の職務内容を考えると、足りないであろう量しか食べていないらしい。
ギルド職員が動けないということで、ご老人は家に帰り、三団子達も今度こそ帰ろうと商業ギルドを出る。
「早く、改善すると良いけどねぇ」
「うん、そうだよね」
「でも、もう僕達にできることはないからなぁ……」
そんな話をコソコソとする三団子。しかし、声は小さくとも体は巨大な三団子。目立つのはどうしても仕方のないことだった。そして……。
「ご、はん……くださ、い……」
そんな目立つ三団子に、何を思ったのか、小さな子どもがボロボロの体で、膝をつき、頭を地面にこすりつけ、両手を掲げて懇願する。そう、その子どもは、物乞いだった。
「「「っ……」」」
三団子は、物乞いに遭遇するのは初めてだ。元の世界で、そうした人に出会うことがなかったのもあるが、この世界では三団子の姿が恐れられて、物乞いですら近づこうとしなかったからだ。
ただ、この子どもは、もう目が見えているのかどうかも分からないくらいにフラフラと歩いていた。だから、三団子がどれだけ異常な姿を持つのかも分かっていない可能性が高かった。
「ダメです」
つい、何か食べ物をと考えてしまう三団子を否定するように、ロドフはたった一言、そう告げる。
「「「っ、でもっ!」」」
「こんな風に、一人一人に構っていてはキリがありませんよ」
ロドフの言葉は正論だ。たとえ、ここで何かを施したとしても、この子ども以外にも困窮している者は数多く存在する。その都度その都度で対応していたのならば、あっという間に三団子のスキルは知れ渡ってしまうだろう。
三団子の身の安全のためにも、ロドフは険しい表情で、三団子の優しさを否定した。
「それに……この子は、もう……長くはないでしょう」
そう、ロドフが言った直後、子どもはそのまま、力を失ってパタリと倒れた。
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