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第二章 三団子、旅をする

第二十五話 空腹の町と三団子2

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「「「ごちそーさまでしたっ!」」」

「ごちそうさまでした」

「キャンッ!」

「……はっ! わ、私は、いったい……」


 三団子の食事風景は色々と問題が多いため大幅カットをして、現在食後。三団子に負けず劣らずで、夢中になって食事を貪っていたスフィンは、ようやく我に返ったようだった。


「今、見て、体験してもらった通りだよぉ」

「僕達のスキルは、魔力を消費して食事類を出せるんだっ」

「それぞれ出せるものは違うけどね。それと、その食事には僕達が想像した能力を付与できる」


 未だ混乱冷めやらぬ状態のスフィンに、三団子は容赦なくとんでもスキルの内容を暴露する。


「は? 魔力で、食事? 能力? スキル?」


 もはや、単語しか紡げなくなってしまったスフィン。ただし、三団子はやはりマイペース全開。きっと、ずっとこんな調子だったからこそ、マイペースにずんずん成長したのであろう。


「そうそう、僕は、健康になぁれって願ったよぉ」

「僕は、疲れが取れますようにっ」

「僕は、適度にリラックスできますように」

「はぁ……?」


 いまいち理解ができていないのか、微妙な返事をするスフィン。
 そんなスフィンの様子を、ロドフはのんびり眺めるだけで、助け舟を出す様子は全くない。子狼も小さくあくびをして丸くなる有り様で、三団子の暴走は誰も止めることがなかった。

 ……ロドフが仲間になった当初、これで三団子のストッパーができるのではないかと、三団子が常識的な行動を取るようになるのではないかと期待した人達には、残念な結果になってしまって申し訳ない。ロドフは、三団子を尊重する方針が強いらしい。


「……ひとまず、そのスキルの存在そのものが異常だということが良く分かりました」


 恐らくは、三団子が提供した食事によって、ある程度健康になってリラックスしていたはずのスフィンだが、今は目頭を押さえてため息を吐いている。ただし、そこで終わらせるような三団子ではなかった。


「「「ん? それだけじゃないよ?」」」


 その一言で、スフィンの精神的負担は一気にアップしたことだろう。

 三団子よ。冗談は、そのまるまるでっぷりボヨンボヨン体型だけにしてくれと、もしかしたらスフィンも考えているかもしれない。


「僕と健だけができるんだけどぉ」

「種のある食材を召喚して、その食材の種に能力を付与させることに成功してるんだ!」


 次兄の青団子と末っ子赤団子の言葉に、スフィンは一瞬固まり、本来は素早く回転するはずのその頭を、本領発揮とばかりに回転させる。


「まさか、その種を植えれば、食料事情が改善するレベルのものができる、とか?」

「「「正解!」」」


 ほぼ正解に辿り着いたスフィンに、三団子はとても素直な称賛を送った。
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