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第二章 三団子、旅をする
第二十四話 空腹の町と三団子1
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説明するより、見せる方が早い。百聞は一見に如かずとばかりに、三団子はスフィンの目の前に食べ物を召喚することにしたようだ。
「ステーキ!」
「ウーロン茶!」
「いちごのケーキ!」
いきなり食べ物の名前を叫ぶ不審者……いや、三団子にスフィンが怪訝な表情を浮かべたのは一瞬だった。
分厚いステーキ肉がジュージューと音を立てた状態で鉄板ごと現れ、ビールジョッキサイズのグラスに注がれた烏龍茶と、いちごと生クリームがふんだんに使われたホールケーキがドンと現れる。
「……はっ……?」
スフィンの目が点になるのは仕方のないこと。そして、三団子のドヤ顔がただそのでっぷりと大きく膨れた腹を突き出しただけにしか見えないのも仕方のないことだ。
パチ、パチと瞬きをして、目をぐしぐしと擦って、そっと開いて、ポカンと呆ける。そんな動作を行って、しばらくするとギギギギッと音がしそうなほどにぎこちない動きで三団子、及びロドフへと視線を向けるスフィン。
「こ、れは、いったい……?」
そう、スフィンが告げた直後だった。
グーギュルルルルゥ。
スフィンの腹の虫が盛大に鳴いたのは。
「とりあえず、食べてみてほしいなぁ」
「そうそう、美味しいよ!」
「ケーキは皆で食べようっ」
取り分けるための皿をリュックの中からいそいそと出す三団子。ロドフも黙々とカトラリーを並べ、スフィンの戸惑いに応える様子はない。
「え? は? いや……えっ?」
「「「いっただっきまーすっ!!」」」
「いただきます」
「……ワフ……」
完全に置いていかれてしまうスフィンと、通常運行な三団子。三団子に合わせるロドフと呆れる子狼。そんな各々の反応はあれど、やることは決まっている。
「あっ、剛! リンゴジュースお願い!」
「僕はオレンジジュース!」
「俺は、紅茶でお願いします」
「了解! 僕はブドウジュースにしようっと」
ご丁寧に飲み物まで用意して、三団子達はケーキを取り分けて食べ始める。
「……早く食べないと冷めますよ?」
そして、混乱のただ中にあるスフィンに、それだけを告げたロドフは、ケーキを一口頬張り、頬を緩ませる。
それにしても……不味い。三団子が、新たな団子を増産しようとしているのかもしれない。しかも、主人公属性が高そうなロドフがターゲット。今後、ロドフの食生活には注意が必要かもしれない。
ロドフの忠告が効いたのか、それとも、自棄になったのか、スフィンはカトラリーを手に取る。
商業ギルドのギルド長とはいえ、食料問題に直面していたのは同じだ。常に空腹感はなくならず、それでも必死に町を守るために配給の制度を整えた功労者。
そんな彼も、目の前に美味しそうなステーキが用意されてしまえば、それに抗うだけの力はなかった。
一口、二口と食べれば、そのまま黙ったまま、ひたすらにステーキを貪る。
その様子をロドフがじっと見ていることにすら気づかず、スフィンは、久々に食べる上等な肉を必死に食べ進めたのだった。
「ステーキ!」
「ウーロン茶!」
「いちごのケーキ!」
いきなり食べ物の名前を叫ぶ不審者……いや、三団子にスフィンが怪訝な表情を浮かべたのは一瞬だった。
分厚いステーキ肉がジュージューと音を立てた状態で鉄板ごと現れ、ビールジョッキサイズのグラスに注がれた烏龍茶と、いちごと生クリームがふんだんに使われたホールケーキがドンと現れる。
「……はっ……?」
スフィンの目が点になるのは仕方のないこと。そして、三団子のドヤ顔がただそのでっぷりと大きく膨れた腹を突き出しただけにしか見えないのも仕方のないことだ。
パチ、パチと瞬きをして、目をぐしぐしと擦って、そっと開いて、ポカンと呆ける。そんな動作を行って、しばらくするとギギギギッと音がしそうなほどにぎこちない動きで三団子、及びロドフへと視線を向けるスフィン。
「こ、れは、いったい……?」
そう、スフィンが告げた直後だった。
グーギュルルルルゥ。
スフィンの腹の虫が盛大に鳴いたのは。
「とりあえず、食べてみてほしいなぁ」
「そうそう、美味しいよ!」
「ケーキは皆で食べようっ」
取り分けるための皿をリュックの中からいそいそと出す三団子。ロドフも黙々とカトラリーを並べ、スフィンの戸惑いに応える様子はない。
「え? は? いや……えっ?」
「「「いっただっきまーすっ!!」」」
「いただきます」
「……ワフ……」
完全に置いていかれてしまうスフィンと、通常運行な三団子。三団子に合わせるロドフと呆れる子狼。そんな各々の反応はあれど、やることは決まっている。
「あっ、剛! リンゴジュースお願い!」
「僕はオレンジジュース!」
「俺は、紅茶でお願いします」
「了解! 僕はブドウジュースにしようっと」
ご丁寧に飲み物まで用意して、三団子達はケーキを取り分けて食べ始める。
「……早く食べないと冷めますよ?」
そして、混乱のただ中にあるスフィンに、それだけを告げたロドフは、ケーキを一口頬張り、頬を緩ませる。
それにしても……不味い。三団子が、新たな団子を増産しようとしているのかもしれない。しかも、主人公属性が高そうなロドフがターゲット。今後、ロドフの食生活には注意が必要かもしれない。
ロドフの忠告が効いたのか、それとも、自棄になったのか、スフィンはカトラリーを手に取る。
商業ギルドのギルド長とはいえ、食料問題に直面していたのは同じだ。常に空腹感はなくならず、それでも必死に町を守るために配給の制度を整えた功労者。
そんな彼も、目の前に美味しそうなステーキが用意されてしまえば、それに抗うだけの力はなかった。
一口、二口と食べれば、そのまま黙ったまま、ひたすらにステーキを貪る。
その様子をロドフがじっと見ていることにすら気づかず、スフィンは、久々に食べる上等な肉を必死に食べ進めたのだった。
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