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第二章 三団子、旅をする
第二十二話 商業ギルドと三団子3
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三団子のまるまるでっぷりボヨヨン体型に比べると、随分ちまっとした椅子。しかし、三団子はその椅子に容赦なく腰掛けて……ロドフの重力操作のおかげで、少しだけ軋む音を発するだけで、破壊を免れた椅子。
そんな椅子の状態を見て、目を丸くしながらもホッとした様子のギルド長は、改めて三団子を見る。
この商業ギルドのギルド長は、優しげなおじさん、といった風貌の男性で、ともすれば気弱そうにすら見える。しかし、ギルド長という立場にあるからには、その手腕を見込まれているはずであり、けっして侮れない人物だ。
「それではまず、自己紹介をしよう。私の名は、スフィン・バルトロメオ。このマルマの町の商業ギルド長だ」
「俺は、ロドフです。カッツァ村から来ました」
「僕は、椎名実です。四人兄弟の次男です」
「僕は、椎名剛ですっ。同じく四人兄弟の中の三男です」
「僕は、椎名健です。四男です」
「ワフッ」
子狼も最後に鳴き声をあげるものの、スフィンはそれを一瞥しただけで、特に触れることはない。
ここで、少しでも子狼のことを言及していれば、もしかしたら、子狼にも名前ができたのかもしれないが、残念ながらその日はまだ遠いらしい。
「さて、私は、ひとまず下の階で起こったトラブルについて聞こうと思っていたのだが、もしかすると誘導されたのかな?」
そう問いかけるスフィンに、三団子はお揃いで首を傾げ、ロドフは苦笑する。
「いえ、そういうわけではなかったのですが、結果的にそうなった、という状況ですね」
実際、ロドフはトラブルを起こすつもりはなかったのだ。ただ、三団子への反応が予想以上に凄まじかっただけで、トラブルが起こったというのも語弊があるのかもしれない状態だ。
「なるほど、まぁ、私自身も、こうして対面して初めて意味が分かったという状態だ。悪意も無いのだろうし、後で職員への聞き取りをしておくとしよう」
三団子と対面したからこそ、ギルド長も軽く聞いていたトラブルの原因が良く分かったのだろう。そうでなければ、ただ初めて来る客が来て誰もが恐怖し、静まり返ったなどという状況を言われても意味が分からない。
未だに意味が分かっていなさそうな三団子は華麗に無視され、ギルド長は改めて居住まいを正す。
「それで、本来の用件は何だろうか? ロドフ君の様子を見る限り、受付で済ませるような用件ではないのだろう?」
交渉相手はロドフだろうと考えたのか、ギルド長はロドフへと問いかける。しかし、そんなロドフが顔を向けたのは三団子。それにつられて三団子へと視線を移したギルド長は、ヒクッと頬を引き攣らせる。
きっと、この一応人間の枠に入っているらしい三団子と交渉する勇気は、商業ギルドのギルド長という立場であったとしてもさほどなかったのだろう。
「それじゃあ、僕から説明しますね」
いつも頼りになる末っ子赤団子。しかし、この瞬間、ギルド長は死刑にも等しい宣告を受けたかのような顔をした。
そんな椅子の状態を見て、目を丸くしながらもホッとした様子のギルド長は、改めて三団子を見る。
この商業ギルドのギルド長は、優しげなおじさん、といった風貌の男性で、ともすれば気弱そうにすら見える。しかし、ギルド長という立場にあるからには、その手腕を見込まれているはずであり、けっして侮れない人物だ。
「それではまず、自己紹介をしよう。私の名は、スフィン・バルトロメオ。このマルマの町の商業ギルド長だ」
「俺は、ロドフです。カッツァ村から来ました」
「僕は、椎名実です。四人兄弟の次男です」
「僕は、椎名剛ですっ。同じく四人兄弟の中の三男です」
「僕は、椎名健です。四男です」
「ワフッ」
子狼も最後に鳴き声をあげるものの、スフィンはそれを一瞥しただけで、特に触れることはない。
ここで、少しでも子狼のことを言及していれば、もしかしたら、子狼にも名前ができたのかもしれないが、残念ながらその日はまだ遠いらしい。
「さて、私は、ひとまず下の階で起こったトラブルについて聞こうと思っていたのだが、もしかすると誘導されたのかな?」
そう問いかけるスフィンに、三団子はお揃いで首を傾げ、ロドフは苦笑する。
「いえ、そういうわけではなかったのですが、結果的にそうなった、という状況ですね」
実際、ロドフはトラブルを起こすつもりはなかったのだ。ただ、三団子への反応が予想以上に凄まじかっただけで、トラブルが起こったというのも語弊があるのかもしれない状態だ。
「なるほど、まぁ、私自身も、こうして対面して初めて意味が分かったという状態だ。悪意も無いのだろうし、後で職員への聞き取りをしておくとしよう」
三団子と対面したからこそ、ギルド長も軽く聞いていたトラブルの原因が良く分かったのだろう。そうでなければ、ただ初めて来る客が来て誰もが恐怖し、静まり返ったなどという状況を言われても意味が分からない。
未だに意味が分かっていなさそうな三団子は華麗に無視され、ギルド長は改めて居住まいを正す。
「それで、本来の用件は何だろうか? ロドフ君の様子を見る限り、受付で済ませるような用件ではないのだろう?」
交渉相手はロドフだろうと考えたのか、ギルド長はロドフへと問いかける。しかし、そんなロドフが顔を向けたのは三団子。それにつられて三団子へと視線を移したギルド長は、ヒクッと頬を引き攣らせる。
きっと、この一応人間の枠に入っているらしい三団子と交渉する勇気は、商業ギルドのギルド長という立場であったとしてもさほどなかったのだろう。
「それじゃあ、僕から説明しますね」
いつも頼りになる末っ子赤団子。しかし、この瞬間、ギルド長は死刑にも等しい宣告を受けたかのような顔をした。
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