ポッチャリ三団子の逆襲 〜異世界で要らないと捨てられました〜

星宮歌

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第二章 三団子、旅をする

第二十話 商業ギルドと三団子1

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 翌日、三団子達は早速商業ギルドへと向かった。

 やはり、三団子は目立つらしく、道行く人達は皆三団子の姿に怯えて道を譲ったり、後退りしたりと様々な反応を示す。ただ、肝心の三団子はそんなことには気づかず、気づいているであろうロドフは我関せず、子狼は当然、伝える手段もないので除外だ。

 そういうわけで、三団子達は誰に邪魔されることもなく、ロドフの案内もあってすんなりと商業ギルドへと辿り着いていた。


「いらっしゃ……ひぇっ!」


 ただひたすらに哀れなのは、職務上、三団子に対応しなければならない人達。
 宿屋の主人もそうだったが、ここでも三団子は悲鳴をあげられる。しかも、この世界であまり見ることのなかった年若い女性だ。

 ……あぁ、女王様も、もしかしたら若い女性という括りなのかもしれないが、ちょっとまともとは言い難いので除外する方向でお願いします。

 商業ギルドの受付嬢。運が悪いことに、この時間を担当していた彼女は、魔物なのかどうか判断に迷う巨大の三団子を前に、へたり込んでしまう。


「あれ? 大丈夫ぅ?」

「うーん、ちょっと顔色も悪い?」

「誰か呼んだほうが良いかもっ」


 三団子、そこで駆け寄るのは悪手でしかない。
 あぁ、可哀想に、巨大な魔物に見下されているくらいの感覚であろう受付嬢は、どんどんその顔色を青から白へと変えていく。
 これにはさすがのロドフも困り顔ではあるものの、三団子を止める様子はない。


「俺、人を呼んで、説明してきますね」


 商業ギルドの中は、けっして無人ではない。しかし、三団子の登場とともに、その姿を確認した者から顔を引きつらせて固まるという異様な状況に陥っていた。
 これが冒険者ギルドであったならば、そこに居るものにはある程度の戦闘の心得があったことだろう。そして、商業ギルドであっても、様々な重要書類を扱うために雇っている専属護衛が居れば、もう少し対応も違ったかもしれない。
 ただ、現在のマルマの町は困窮している。そのために、護衛を雇う余裕すら、この商業ギルドにはなかった。つまり、この場には、非戦闘員しか存在しなかったのだ。

 そんな中、ロドフは一人さっさとその場を離脱して、遠巻きに見ていたギルド職員らしき人物に話しかけ、建物の奥へと引っ込んでいく。

 ロドフが戻るまでの間、そこは葬式でもしているのかと思えるほど、重い沈黙が落ちていたのは言うまでもない。
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